桑原 圭裕 教授

演劇、映像、アニメーション、現代の諸芸術
演劇と映画は隣接する分野です。いずれの劇場も観客を別世界へ誘う特別な空間でした。ゆえにそれらの研究も物語構造の分析を中心に議論が重ねられてきました。しかし、現在は演劇も映画もスマホやタブレットの映像として消費される時代です。一方で、映像を用いた舞台演出も多く見られるようになりました。このように演劇と映像の空間概念が接近するのにともなって、演劇・映画研究の対象も物語から離れて、劇空間を構成する光・色・音波など、映像のメディウムや物質性の視点に関心が高まっています。今や、映像は見て聴くものから、体感するものと捉えたほうが正確でしょう。例えば、映画のある場面を見て、頭の中では平常な視聴なのに、なぜか鳥肌がたった経験はないでしょうか。そのような体験の中には、映像の肌理や触感性が大きく関わっていると考えています。映像をミクロな視点で捉えることを研究基盤としつつ、具体的には「アニメーションのゆらぎ」をキーワードに、国内外のアニメーション表現について比較研究を行っています。