北村 昌幸 教授

中世文学、軍記物語、歴史叙述
「事実は小説より奇なり」という言葉があります。そんな「事実」を物語に仕立てれば、ますます「奇」に磨きがかかるはず。中世という戦乱の時代は驚嘆すべき「事実」で満ちており、それを正面から描いた軍記物語というジャンルは鮮烈な「奇」を備えています。しかも、何度もリライト(書き直し)が施されたことにより、味わい深いものとなっているのです。
ゼミでは学生たちとともに、微妙に異なる五種類の『平家物語』の文章を読み比べながら、中世日本人が何を求めて改作していたのかについて議論しています。そのかたわら、私自身は南北朝時代の『太平記』を主軸にして研究に取り組んでいます。