荒山 正彦 教授

旅行の文化史、旅行印刷物、風景論の系譜
16世紀以降数多くの探険家や博物学者たちがおこなった世界周遊は、19世紀から大きく様相を変えます。太平洋や大西洋などの海洋の定期船航路の開設、陸上では鉄道網の整備、またスエズ運河の開通(1869年)など。ヨーロッパとアジアの移動はたいへん便利になり、世界を旅行するツーリストが次第に増加します。
ツーリストの増大に伴って、その目的地となる地表面の事物も、意味や価値の変化を経験しました。このように、ツーリズムという現象を生み出した近代社会そのもの、そして19世紀以降に再編成される空間の諸相を、地理思想史の課題として取り組んでいます。