村山 功光 教授

グリム兄弟、自然観、18・19世紀の文化
多様な思想的・芸術的志向を内包するドイツ・ロマン派を、グリム兄弟を通じて研究しています。彼らは〈本来の人間性〉を問う啓蒙主義の思潮圏内で思考していますが、文学や言語の歴史をたどるうちに、〈人間は固有の民族言語に規定された文化の中で自然に自己形成した〉とも考えるに至りました。
グリム兄弟の創りだした世界には、〈民族的なもの〉を実体化したり〈異文化〉の影響を否定的に捉える危険性もひそんでいます。グリム兄弟の研究を通じて、18世紀後半以降のさまざまな近代批判言説、自然志向の多様な表出、幼年期観の変遷、メールヒェンの可能性などを考えています。