文学部
K.G.

福岡 弘彬 教授

デカダンス、戦後文学、坂口安吾

日本近代文学におけるデカダンスという概念について考察しています。「頽廃」「堕落」などと翻訳されるこの概念は、道徳的には退けられることが多いのですが、文学において、しばしば理念化されています。

デカダンスとは、壊滅的状況を眼の前にしたときの身構えであり、廃墟の中で新たな何ものかが動き出すことを凝視しようとする態度のことでもあると、デカダンス文学者たちの言葉から知った私は、今、戦後文学をもう一度読み直そうとしています。今、言葉が言葉でなくなっていくような壊滅的状況の中で、文学に埋め込まれたさまざまな可能性を、掘り起こしたいと考えています。