文学部
K.G.

山川 曉 教授

染織工芸史、服飾史、博物館

この服を着ると明るい気分になる、この器に盛ると美味しそうに見える、そう感じることはありませんか。衣食住さまざまな場面を支える工芸品は、身近にあって私たちの日々を豊かにしてくれます。
博物館に学芸員として勤務していたため、私は工芸品を手に取って調査する機会に恵まれました。その経験は、作品の形や文様、さらには製作技法などから、情報を読み取る訓練でもありました。寡黙な作品ですが、ひたすら向き合っていると、秘められた事象が見えてくることがあります。とりわけ、私が研究している、仏教において師の教えを正しく相承した証として授けられる伝法衣〈でんぼうえ〉には、たくさんの物語が詰まっています。
保存の難しい染織品が、いつどのような文化圏で製作され、どのような人々の手を経て今ここに伝えられているのか、染織品そのものを見定める眼を養うとともに、そこに込められた人々の想いや祈りに迫る研究を目指しています。