文学部
K.G.

久保 昭博 教授

文学理論、フィクション理論、フランス近現代文学

文学研究には「フランス文学」や「イギリス文学」のように特定の国や言語圏の名前が付けられたものの他に、物語の構造、ジャンルや文体、あるいは文学とそれ以外の芸術の関係などを考察する「文学理論」という研究分野があります。私はそのような文学理論のなかでも、とりわけフィクションという問題に関心を抱いて研究を行っています。フィクションは、私たちのもっとも身近にあるものでありながら、いざその正体をつかもうとするととたんに難しい問題として現れます。歴史書に現れる「ナポレオン」と、小説の登場人物として現れる「ナポレオン」は同じ人物を指しているのか。なぜ私たちは、実在しないと分かっている小説の登場人物に感情移入したり、その運命に共感したりできるのか。嘘やフェイクニュースはフィクションと言えるのか……。小説はもちろん、映画や漫画など文学以外のジャンルにも関わるフィクションをめぐるこうした問いを通じて、文学を人間的な営みの一つとして捉えなおすことが私の研究の目的です。