2001年度 卒業生 寅貝 真知子 さん

[ 編集者:文学部・文学研究科       2018年2月26日   更新  ]

大学で学んだ心理学を生かし、被写体の気持ちに寄り添い作品制作。

写真家 寅貝 真知子

写真家 寅貝 真知子

写真の表面を塗って立体感を出す

写真の表面を塗って立体感を出す

大学卒業後、民間企業での勤務を経てカメラマンになりました。「ローレフォト」という手法を用いて作品を制作しています。「ローレフォト」とは、フランス語で役割の意味である「ローレル」と写真の「フォト」を組み合わせた造語です。被写体をただきれいに撮影するのではなく、その人の気持ちや感情を表現し、その人の励みになれるような作品を制作したいと思い考案しました。撮影対象者の多くは30代以上の女性です。大半のお客様が結婚や誕生日などの記念に撮影を希望されます。撮影前に「どんな自分になりたいか」「大切な思い出」というようなお客様のバックグラウンドを中心に、1〜2時間かけてヒアリングします。その後、撮影をし、その中からセレクトした写真にパソコン上で色彩や背景をつけていきます。最後に写真を出力後、重厚感と立体感を表現するために油絵のように樹脂を塗り重ねれば完成です。完成までには約2カ月かかります。

心理学科のゼミメンバーと大好きな中央芝生で(右二人目が虎貝さん)

心理学科のゼミメンバーと大好きな中央芝生で(右二人目が虎貝さん)

「ローレフォト」を制作するには、被写体の気持ちに寄り添うことが最も重要です。被写体が求める写真を理解するためのヒアリングには心理学が必要で、関西学院大学で心理学を学んだことがとても役立っています。心理学の魅力は「人の心が読める」といった霊感のようなものではなく、誰が試みても同じ結果になる科学的な根拠があることです。心理学の授業は私が苦手だった数学・算数の要素もありましたが、授業を通じて考え方や物事に対して新鮮な視点を持つことができました。学生時代に心理学を学んだことは、私の人生やカメラマンの仕事にとってかけがえのないものになりました。

伊勢丹新宿店「近未来美術展―DOORS」に出展

伊勢丹新宿店「近未来美術展―DOORS」に出展

人物だけでなく、風景も撮影しています。国内のスポットのほかドイツやイタリアなどのヨーロッパで遺跡などを撮影し、人物写真同様に樹脂を塗って立体感を表す作品に仕上げています。

2015年に大阪から東京へ拠点を移しました。1年かけて制作した作品が2016年10月、ニューヨークで開催された世界最大規模の国際フォトコンテスト「International Photography Awards(IPA)」のプロフェッショナルカテゴリーで、HonorableMentionを受賞しました。世界162カ国のカメラマンが参加するコンテストだけに受賞できたことはとてもうれしかったです。

ローレフォト心象風景

ローレフォト心象風景

大学時代は人生で一番楽しい時間だと思っていましたが、今考えると社会に出てからワクワクするであろうことについて想像できなかっただけでした。大学時代は楽しい時間を過ごせるスタート地点です。自分が楽しめる、ドキドキすることを見つけ、実際にそれに挑戦することが社会です。今後も他分野の専門家たちとコラボレーションをするなど新しいことに挑戦し、人の励みや希望になること(私が思う写真観)を多くの人に伝えていきたいです。