ご挨拶

[ 編集者:文学部・文学研究科        2018年6月8日   更新  ]

Que sais-je?

授業中のオリヴィエ・ビルマン教授

フランス語学、フランス文学を学んで、「今までとは違った視点を持てるようになった」という学生がいます。そう口では簡単に言えても、ではどうやって? と具体策となるとなかなか難しいものです。でも、そこに身を置くだけで、それを自然に実感できるのが、フランス文学フランス語学専修なのです。なぜなら、日本語や英語とは異なる視点で物事をみざるを得ないからです。

 まずフランス語。これはラテン語の子孫ですから、英語とはシステムが違います。フランス語は、多くのフランス人が心血をそそいでつくりあげた、いわば結晶のような言葉です。そうした努力とともに、フランスは歴史的にも知性と感性の両面でヨーロッパをリードして来ました。現在でもユーロ圏の代表的な国の一つであり、その文化的な遺産は圧倒的です。生きる喜びの追求が文化だとすれば、モードや料理など、ごく身近な例をあげても、フランスは生きることと美的なものとを融合させたまれに見る文化的な大国だと言えるでしょう。

 そうした国の言葉を学び、その仕組みを知り、さらに掘り下げていく語学研究と、その言葉で書かれた詩や小説などを味読し、分析する文学研究、私たちの専修はこの二本の柱からなっています。しかも両者は分かちがたく結びついているのです。専修生は言葉から始めて広くフランスの文化と、それを支えているものの考え方を知り、複眼的な視点や、物事を相対的に見る眼を養うことになります。

 そのための基本となるフランス語教育については、プログラムがしっかりしているというのが専修生の評価です。ネイティヴ・スピーカーの授業も多く、「フランス語を始めて2年半経った今では、少なからず読み、聞き取り、話せるように」なり、そんな自分に驚いているという人もいます。言語教育研究センターでもインテンシヴ・コースが開講されていますので、その気があれば、一週間フランス語づけという状態も可能です。ブザンソンへの夏期語学研修、秋から約半年のリヨン第二大学への留学制度等、言語習得のための制度は充実しています。

 ところで、私たちの専修の特徴は、教員と学生の間に垣根がないことです。3年生になって、それぞれが別々に文学あるいは語学のゼミに属しても、学生は自由にどの先生にでも質問や相談ができるし、教員も自然にそれに対応します。要するに教員と学生の仲がいい。それが私たち仏文専修の風土です。少人数なので友だちとすごく仲良しになれるとか、何よりも「明るい」「授業が楽しい」とか、先生が熱心 (これはちょっとうれしい!) とか、いろんな声があります。だからなのか、仏文の共同研究室には学生がしょっちゅう出入りしますし、フランス週間というイベントでも、さまざまなプログラムに学生が参加し、カフェも開いて一週間を楽しみます。

 就職のことも気になるでしょうが、なにも問題はありません。事実、卒業生の中にはメガバンクに勤めて、大阪のビル街を自転車で得意先回りをしている人もいれば、客室乗務員になって空を飛んでいる人もいます。金融、保険、印刷、人材派遣、公務員その他、分野を問わずいろいろな仕事に従事しています。変わった職種では、アナウンサー、フラーランスのカメラマンもいます。最近では外交官も誕生しました。

 冒頭の小見出しには、あえてフランス語を使いました。クセージュ? モンテーニュの言葉です。「私は何を知っているのか?」まだ何も知らないのではないか? たえずそう自問できる人間を育てたい、そのためには尽力を惜しまない、しかも学生のみなさんとともに楽しみながらそうしたい、それが私たち教員の願いです。