ご挨拶

[ 編集者:文学部・文学研究科        2018年6月8日   更新  ]

哲学って何を勉強するの?

哲学研究室での授業風景

オープンキャンパスなどでよく聞かれるのは「哲学って何ですか」、「何を勉強するのですか」ということです。多分、他の専修ではこのような質問はあまりでないと思いますが、哲学に関しては当然の質問だと思います。

 ところが困ったことに、この質問に答えるのはそれほど簡単ではありません。その理由の一つは、哲学があまりにいろいろな分野を含んでいるからということです。哲学の歴史を見てみますと、数学や幾何学のようなことに没頭した人もいれば、「神様は実在するのか」という問題に取り組んだ人もいれば、「真の幸福を得るにはどうすべきか」と問うた人もいます。また専修の名称にもなっている倫理学は善や悪、正義や不正とは何かを問う学問です。このようにそれぞれに異なったさまざまな問題を扱う学問ですから、「哲学って何」と聞かれてもなかなか一言では答えにくいのです。

授業風景

しかしこの「何か?」と聞かれても答えにくい理由が、また哲学の魅力でもあり、一見すると取っつきにくいこの学問を親しみやすいものにしていると思います。みなさんも、暇な時に、「宇宙の果てはどうなっているのだろう」とか「肉体は死ぬけど魂はどうなるのだろう」とか考えたことはありませんか。哲学は、人間の好奇心の最も純粋な現れであり、またその好奇心にまじめに、論理的に答えようとした努力の展示場のようなものですから、みなさんの心に浮かんだ疑問の解答例はいくらでも見つかるはずです。
 
 もちろんこのような少し浮世離れした疑問ばかりでなく、「脳死は人の死なのか」とか「世界で生じている環境の異変や飢餓をどう解決するのか」といったわれわれの現在や将来にとって深刻な問題も哲学の領分に属しています。つまり人間の内と外のあらゆることが哲学の領分ですが、他の学問のようにその問題に直接的に取り組むのではなく、むしろ一歩下がって問題自体を問い直すといえば、「哲学って何?」という問いの比較的正しい答えかも知れません。

 哲学に限らず、大学で研究される学問の多くは、社会に出て、直接的に役に立つということはありません。しかしいろいろなことに好奇心を抱き、疑問をもち、その解決に努力する、しかも物事を根本から考えて解決を図るということは人間の最も基本的な要素の一つです。大学の4年間で、この人間の最も根源的な営みに耽溺するのも悪くはないと信じています。