◇農村調査◇

[ 編集者:経済学部・経済学研究科       2018年2月23日   更新  ]

Fieldwork

 農村調査では朝の7時から夕方の16時までそれぞれの担当の村で一世帯あたり約1~2時間の調査を行いました。村の人たちの中には2014年にも調査に来たことを覚えてくださる方たちも多く、調査にとても協力してくださいました。一方で、3年間の間で益々貧困状態が悪化している現状を目にすることもしばしばで、貧困の深刻さを感じた日々でした。

加藤 要

 日本での想像と違い、思っていた以上に調査は過酷で発見がたくさんありました。毎日朝7時半から8時間調査をした後深夜までデータと向き合うことの辛さは、やってみないとわからないものです。通訳の方に手伝ってもらってはいるものの、初めのうちは村人とのコミュニケーションもままならず、自分が理想としている調査とは幾分違いました。しかし、村人と会話を重ねるごとに徐々に仲が深まっていきました。調査を進めるうちに暮らしている人皆が様々な悩みを抱えていることがわかりました。お金はある程度持ってはいるけれど、ゴールドトレーダーの通訳のため朝の6時に家を出て夜の10時に帰ってくるためほとんど子供と会えない旦那さん。お米が大好きなのにお金がないため好きでもないキャッサバを食べてばかりの子供。貧困のため私たちにお金をくれと言ってくるお婆さん。彼ら全てが悩みを解決できることは残念ながらないと思います。しかし悩みを聞くうちに、「これは私たちの研究が直接関わっているため解決できるのでは?」と思える悩みもありました。調査をしている際、ご飯をご馳走になったり、次はあそこの家で調査をするといいと教えてくれたりするなどたくさんの優しさが感じられました。調査漬けの日々でへとへとになっていても、優しさに触れるとモチベーションが上がり調査に前向きに向き合えました。実地に行き調査をすることは、単に論文を書くためのデータが得られるだけではありません。どんな環境にいるどんな人に論文を書くのか、現地の人の気持ちを思いながら論文を執筆できるようになります。過酷だったものの、マダガスカル人の優しさに触れられた大学3回生の夏をいつまでも忘れることはありません。

加藤 要さん

河端 里咲

 日本とは違う異国の地で、マダガスカル人の通訳と二人で世帯調査を行うことに初めは不安しかありませんでした。通訳に対し、自分の思っていることがきちんと伝わっていないこと、相手の気持ちをはっきりと理解できないことなど意思疎通の面で困難なことが何度もありました。もちろん言語が障壁になることがありましたが、それだけではなく調査に対する態度について通訳と言い合うこともありました。それだけ、私も彼も調査に対して必死だったのです。しかし、なぜこんなにも必死になれたのか。それは、調査を受けてくださったすべて世帯の人たちが私たちの質問に対し、一生懸命答えようとしてくれたからでした。どの世帯の人たちも私たち二人を受け入れてくれ、時には現地でよく食べられているキャッサバをご馳走してくれる世帯もありました。最初は、私たちのことを恐れている人たちもいましたが、徐々に心を開いてくれているように感じました。調査の終わりのほうでは、村の人全員が、私たちが歩いていると挨拶を交わしてくれるようになりました。もちろん現地の人と私は、通訳を通さないと話すことはできません。しかし、何か言語以外のもので意思疎通できているのではないかと感じる場面が何度もありました。ずっと何か冗談を言って笑っているおじさん、私たちの周りをかけまわってはしゃいでいる子どもたち、バス乗り場まで一緒に荷物を持ってくれたおばさん。その人たちが何を言っていたのか正確にはわかりませんが、彼らが示してくれたものを私は今も心の中で受け止めています。農村調査によって彼らと出会えたことが私の一生の宝だと思っています。

河端 里咲さん

村上 鈴佳

 私は初めてマダガスカルに行きました。何もかもが未知の世界で、正直農村調査も全く想像がつきませんでした。まず始めに各自で通訳パートナーと打ち合わせをしました。独自で作った調査票をすべて英語で説明しなければなりません。その時に私は、もう農村調査が始まったと思いました。調査票の説明をなかなかうまく伝えることができなくて、本当に農村調査ができるのかと常に心配でした。そして自分の英語力のなさを痛感しました。
 初めは1世帯の調査を終えるのにかなりの時間を費やしていました。2時間以上かかることが普通でしたが、ずっと続けていると1時間ちょっとで終えられることもありました。毎日毎日同じ農村に訪れて調査をしていると、村人が私の名前を呼ぶようになって毎日挨拶してくれました。とても温かい村だなと常々思いました。とても素敵な人たちですが、電気が家にない、お風呂もないというのが現実でした。そしてほぼ毎日同じ服を着ていました。テレビでアフリカの事を放送していることがあるので、こういう生活をしている人が世界中にはいるということは分かっていましたが、実際に自分で訪れて見てみると驚きを隠せませんでした。やはり実際に行って自分の目でリアルを見ることが大切なのだなと感じました。
 マダガスカルにいる時から思っていましたが、本当に調査は体力勝負です。たかが3~4週間の調査と思うかもしれませんが、非常に過酷だったと思います。寒暖差が激しいマダガスカルでしかも全く慣れない生活で、本当に体力があった人だけが体調を壊さず調査に参加できていたように思います。
 調査はしんどいですが、色々な世帯を訪問しているとここの世帯はこの村の中でお金持ちだとかだんだん分かってくるし、各家庭によって暮らしも背景も全く違って、それを分かってくることがとても面白かったです。そして調査の楽しい部分でもありました。

村上 鈴佳さん