◇事前準備◇

[ 編集者:経済学部・経済学研究科       2018年2月23日   更新  ]

Preparation:

 海外でスムーズに調査を行うにあたって決定的に重要な事前準備。私たちはこの準備に多くの時間と労力を費やしました。二年生の冬から開発経済学や計量経済学を学習し、三年生の春から夏にかけて各班100本以上の論文を読み込みました。調査で使用する調査表も何度も修正を行いながら約1か月かけて作成をしました。さらに現地では通訳と英語を使いコミュニケーションをとるため、英語の学習も同時に行いました。事前準備の時間はチームのメンバーと何度も何度も話し合いを重ねながら絆が深まった非常に大事な時間でした。

中野 隆一郎

 マダガスカルへ行くにあたって、聞き取り調査で用いる調査票の準備が一番苦労しました。最終的に43ページにも及ぶ調査票になったのですが、質問設定やレイアウトなど、作成するのにとても時間がかかりました。調査票は名前や年齢など基本的な情報から、研究で用いる健康や農業、教育、幸福、ジェンダーに関する質問で構成されています。マダガスカルについて研究するにあたって、テーマ設定を行い、リサーチクエスチョンを作成し、分析に使用する変数を決定しなければなりません。私はジェンダー班だったのですが、はじめのテーマを設定するのに苦労しました。テーマが決まった後、リサーチクエスチョンを設定し、分析に使用する変数を考えながら、調査票の質問を考えなければいけません。質問は多すぎると、1世帯の調査時間が長くなってしまうため、必要最低限に抑えなければなりません。必要な質問とそうでない質問の取捨選択が大変でした。しかし、調査票が完成した瞬間はとても感動し、飛び跳ねて喜びました。長い時間をかけて準備したからこそ、達成感が生まれました。また、調査では現地の大学生が通訳として同行してくれたが、日本語は話せないため、英語の勉強も必要でした。私は英語が得意であったため、英語班のリーダーとして他のゼミ生をサポートしました。ゼミではTOEICで最低730点以上取るようにと言われており、毎日英語の勉強に励みました。また、会話力も必要となってくるので、英会話も実施していました。マダガスカルで調査する前に大変な準備があったからこそ、調査が成功したのだと思います。

中野 隆一郎さん

田中 雄太

 主に渡航前に行った論文のテーマ設定について振り返っていきたいと思う。ゼミに入って半年が過ぎた4月、私はマダガスカルを教育面から研究していく教育班に所属していたのだが、訳あって健康班に移動させてもらえることになった。それというのも、春休み中の課題などを通じて、「死ぬ人を減らすことにつながる研究」をしてみたいと強く思うようになったからだ。さっそく健康班のメンバー達と論文のテーマ設定を進めて行くのだが、思い通りにはいかずに何度もつまずくこととなった。「死ぬ人を減らしたい 新しい研究をしたい」この2つがメンバーの中での共通意識であり、全員が納得するまでテーマを何度も変えることとなった。また、徹夜を何度も繰り返し自信をもって設定したテーマが経済学的な研究ではないという理由で考え直すことになったり、新しいトピックについての知識を詰め込むために100本以上の英語での研究がまとまった論文集を手分けして読んだりもした。冷静に振り返ってみると、他の班に比べると何度も大きな回り道をしたし、無駄な労力を多く費やしてしまっていたのかもしれない。また、私たちが必死に向き合ってきたものは、はたから見ると「たかが論文」とも思えるものだったのかもしれない。しかし、それでも最後まで諦めずに向き合うことができたのは、仲間とも呼べる論文チームのメンバーのおかげであると私は確信している。勉強が苦手である私に対し、真剣に叱ってくれたり奮い立たせてくれた。少し癖のあるメンバーが集まってしまったがゆえに苦労することも多かった健康班だったと思うが、このメンバーで研究することができて本当に良かったと心から思う。

田中 雄太さん

菅原 萌子

 マダガスカルでのフィールド調査に向けての事前準備では、英語の勉強、計量の勉強、調査票の作成など様々なことを行いましたが、特に時間と想いをかけたのは、各班それぞれリサーチクエスチョンを設定し、自分たちの研究について考えることでした。
 私はハピネス(幸福)班です。幸福と言うと、なにか大きくシンプルな言葉に聞こえますが、幸福の定義や考え方などは様々で、リサーチクエスチョンを設定するためにとにかく論文を読み漁り、勉強に励みました。班員やゼミ生に会わない日はなかったと言っても過言ではないほど、毎日学校に集まり朝から晩まで時間を共にしました。そのほとんどの時間は、論文を読み、議論し、自分たちの研究や開発途上国に住む人たちのことを考えることでした。小さなことにもこだわり、自分たちはどのようなことを考えたいのか、苦しみを改善することに貢献するにはどうしたらよいのか、妥協せずに時間をかけ、四六時中議論しあったことを思い返します。
 最終的にハピネス班の研究のテーマは、人々の能力や可能性にアプローチするものでした。マダガスカルのような開発途上国には、学校に通えないことや、衛生面に恵まれないなど様々な理由から、人々が自身の可能性や能力を発揮できない状況があります。自分たちの研究を考えれば考えるほど、これからマダガスカルで出会う人々の生活や人生に密着した問題を心から改善したい、考えたいという想いが、日々募っていきました。

菅原 萌子さん