2011.10.15.
「われら関学経済人」 宮畑 譲 さん

【卒業年月】2004年9月
【名前】宮畑 譲 (ミヤハタ ユズル)
【出身高校名】兵庫県立北須磨高等学校
【研究演習名】大谷 強 教授
【勤務先】 中日新聞

※ 本ページの内容は2011年11月現在のものです。

これまでどんな仕事をしてきましたか?

 記者として初任地は岐阜市に配属され、2年間、警察を中心に取材しました。日々発生する事件事故への対応はもちろんですが、町の小さなイベントもたくさん取材しました。盆踊りや展覧会とか。毎日多くの記事を書くことで、仕事を効率よくこなすことや、早く原稿を書くことを覚えました。メチャクチャ怒られたデスクにも今は感謝です。現在は、石川県の能登半島にある穴水町というところに一人で勤務しています。小さな事件事故から行政の取材など一人ですべてをこなします。  最近は自分で決めたテーマを取材できる機会も多くなりました。昨年は、人口減少の進む町で浮上している医療問題を考えるため、北海道夕張市に出張して、診療所を運営している医師にインタビューしました。今年3月に起きた東日本大震災以後は、勤務地の近くにある北陸電力志賀原発を取材し、原子力施設の防災計画が不十分であると訴えるキャンペーン報道に携わりました。また、戦争の体験者への聞き取りもライフワークとして続けたいと考えていて、昨年と今年は2年続けて8月15日に合わせた連載記事を書きました。

経済学部ではどんな学生でしたか?また、どんなことを学びましたか?

 まったくもって不真面目な学生で、好きなことしかしていませんでした。体育会の準硬式野球部に所属していたのですが、午前中、授業には出ずに図書館で映画を見たり、雑誌や新聞を読んだ後、午後から練習をして・・・。部活には一生懸命だったので、夜まで練習した後、帰宅して読書、というような一日のサイクルを送っていました。講義中も本を読んだりして、まともに聞いていなかったので、卒業までずいぶんと時間がかかりました(笑)。  そんな学生時代に学んだことと言えば、自分と向き合う時間を大事にすることと、人とのコミュニケーションの大切さでしょうか。読書などでじっくりと世の中や人生について考えることができたのは本当に良かったです。一方で、何事も一人の力では限界がある。自分が学生時代、準硬式野球部はやや低迷していました。部を強化するために、自分なりにいろいろ働きかけたつもりでしたが、結局、「××優勝」というような結果は残せませんでした。組織が前向きに動くために人とコミュニケーションを取る大切さと難しさを実感しました。人との折衝は社会に出てから常に必要とされます。学生には、一人の時間を大切にしつつ、仲間や周りの人と良い意味でぶつかり合ってほしいです。

今の経済学部生にメッセージをお願いします!

 上記のような学生だった自分が、えらそうに言えることなんて何一つありません。けれど、そんな私に言わせてもらえるなら、自分が好きなこと、夢中になっていることを大事にして、とことん突き詰めてほしいということです。まだまだ仕事が分かる年齢ではありませんが、自分が携わっている仕事は、必ず本人が持っている経験やパーソナリティが問われる瞬間がある。そして何より「書きたい」と思う事象がないと、記者として仕事をしている意味がない。けれど、そうした自分の中の引き出しみたいなものは、仕事をこなしながら身につくものばかりではなく、学生時代に好きで吸収したことがものを言う時があります。これは、ほかの仕事でも同じではないでしょうか。  あと、少しでもいいから、読書をしてほしいです。知識や思考力を養うのには、やはり活字を読むことが一番。できれば、古典といわれて長く読み継がれているものをお勧めします。読むのに時間がかかりますが、それこそ時間のある学生のうちに挑戦してみてください。月に2冊のペースで読んでも、4年間続ければ100冊近く読めるわけですから。

これから経済学部を目指す高校生にメッセージをお願いします!

 高校生に「経済学」ってどんなものか、想像はつかないと思います。かく言う私もあまり何も考えずに入学しました。今でも「経済学とは何か」なんて答えられません。「経済学は身近な生活とつながっている」という人もいますが、大学で授業を受けていてそう感じることは難しい。でも、むしろ「生活感がない」学問ほど、大学でしか学べない貴重なものだと私は考えています。経済学を4年間学ぶことで、少しでも世の中を根っこに近いところから見ることができるようになっているはずです。仕事や生活に直結する勉強は、必要な時にやればいいと思います。  大学は授業以外に学ぶことはたくさんありますが、もし経済学部に入学したなら、しっかり授業も受けてください。「経済学とは何か」は分からなくても、後々の財産となると思います。授業を真面目に聞かなかった私は、今さらながら痛感しています。最後に一つ。大学入学は、あくまでスタートラインの前の準備に入った段階。ゴールなんて先の先です。入学して何かを達成した気にならず、どん欲にいろんなことを吸収してください。