海洋生命理工学(松田研究室)

米田 広平 (よねだ こうへい) 助教

研究分野:
藻類応用、脂質代謝、バイオ燃料

研究テーマ

光合成生物を中心とした原生生物を対象に、細胞内に貯まった油が蓄積したり、分解されたりする仕組みを研究しています。バイオ燃料や、DHAやEPAなどの脂質を微生物に作らせる取り組みが近年なされていますが、より生産性を向上させるためには、脂質の代謝系を改良する必要があります。しかし、貯まった油が、その周りにあるタンパク質を介して分解される機構は、実は生物種間でかなり異なっており、未知の部分が多いです。
脂質の中には、生体膜を構成する極性脂質(リン脂質など)と、主にエネルギーの貯蔵を目的として蓄積される中性脂質(トリアシルグリセロールなど)があります。サラダ油やラードなどは、中性脂質に分類されます。微生物の脂質の蓄積能を考えるうえで、この中性脂質の蓄積維持や分解制御が重要になってきます。
水と油をまぜると分離しますが、この中性脂質もやはり細胞質中では、水とは混ざることができません。なので、周りに極性脂質と特定種類のタンパク質とを纏うことで、うまく細胞質の中で維持されています。例えば、哺乳類の脂肪細胞は、エネルギーが必要な時に、ホルモン刺激などを介して、細胞内に貯蔵された脂質を分解します。微生物も同じで、周りの環境を察知して、脂質を蓄積したり分解したりしています。その制御は、油の表面に存在するタンパク質を介して行われると考えられています。

具体的に行っている研究活動

現在は、脂質生産性の高い生物である珪藻やオーランチオキトリウムという原生生物を対象に、どんなタンパク質がオイル蓄積部分である油滴の周囲に存在するかをプロテオーム解析という手法を使ってしらべたり、そのタンパク質の発現量を改変することで、脂質生産性を向上させた微生物を作ったりする取り組みをしています。すでに知られている油滴タンパク質として、哺乳類の脂肪細胞が持つペリリピンや、種子植物の種子が持つオレオシンなどがありますが、それら既知の油滴タンパク質とは異なる、新規の油滴タンパク質StLDPを珪藻細胞から発見し報告しています。