商学部長からのメッセージ

[ 編集者:商学部・商学研究科       2018年9月10日   更新  ]

商学部長 林 隆敏

商学部

商学部長 林 隆敏

 キリスト教主義を建学の精神として1889年に創立された関西学院は、明治以降のめざましい経済発展の中で日本各地に高等商業学校が設立された動きを受けて、1912年に神戸の原田の森(今の王子公園)に高等学部商科を開設しました。これが関西学院大学商学部の起源です。その後、1934年に旧制大学の商経学部が開設され、1951年に新制大学としての経済学部から分離独立して現在の商学部が誕生しました。2018年度は、1912年の商科開設から106年目、商学部開設から67年目に当たります。
 商学部本館の建物は、関西学院が1929年に神戸の原田の森から上ヶ原へ移転した際に、近江兄弟社の創業者としても知られる建築家、ヴォーリズ(Vories, W. M., 1880-1964)の設計によって建築された高等商業学部の校舎をそのまま使っています。建築後約90年が経過し、いささか古びた印象を与えるかも知れませんが、そこには関西学院と商学部の歴史と伝統が深く刻み込まれています。商学部に在籍したすべての卒業生が同じ建物で学んできたことに思いを馳せてみてください。

スクールモットー

 “Mastery for Service”(奉仕のための練達)は、原田の森時代の初代の高等学部長であり、後の第4代院長(そして初代大学学長)であるベーツ(Bates, C.J.L., 1877-1963)の提唱したスクールモットーです。このスクールモットーの元となる文章は、高等学部商科の学生が1915年に創刊した『商光』創刊号に「講演原稿」というかたちで掲載されました。そこには、卒業後に事業家として活躍する高等学部商科の学生に向けて、次のように書かれています。
 「私たちが理想とする事業家は賭博師でも守銭奴でもありません。マスターであるがゆえに、成功する人、事業の基本原理を理解し、なすべきことを知っている人、他の人ならば失敗しかねない場合でも勤勉と正直により成功を収める能力がある人です。たんに銀行の預金高を増やすことでなく、その財力を社会状況の改良に用いることを人生の目的とする人、公共心をもち、社会的義務に鋭い感覚をもっている人なのです。そのような事業家は従業員からも敬愛され、顧客からも尊敬されるでしょう。(現代語訳(新訳))」
 商学部の長い歴史の中で学び巣立った卒業生は、このスクールモットーの精神に基づいて社会のさまざまな分野において活躍しています。歴史と伝統に裏打ちされたスクールモットーが存在することは、誇るべきことです。商学部に連なる私たちは、この伝統を継承しつつ、今後、さらに新たな伝統を創造していかなければなりません。

商学部での学び

 商学部は、「真に創造的な能力を有するビジネス・パーソン」を育成することを教育理念として掲げています。商学部の学生諸君が学ぶ学問はすべて経験科学たる社会科学ですから、それは理論的かつ実践的でなければなりません。それ故、商学部では開設以来、理論と実践の有機的関連を絶えず重視しながら、経済活動の担い手である企業や個人の多様でダイナミックな行動をさまざまな側面から明らかにすることをめざして教育と研究を行ってきました。特に、現在の商学部では、現代社会のなかで企業などの経済主体が果たす役割、その行動原理と仕組み、そこで用いられる政策や管理方法とそれらが社会に及ぼす影響、経済主体の社会的責任・倫理の重要性、などを体系的に把握・分析・理解すると共に、情報化、グローバル化の進展が著しい激動の社会にあって、常に問題の本質を問い、論理的考察力と多面的視点から物事を的確に判断する能力を養うことに力点を置いています。
 グローバル化や国際分業の進展、制度や規制の国際的調和の進行、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能などの新しいICTによる技術革新、長引くデフレ、少子高齢化とそれに伴う人口減少の進行、所得格差の拡大。実にさまざまな国内外の要因の影響により、あるいは新しい時代を切り開くために、日本の社会システムは大きな構造変化の時を迎えています。厳しい状況に直面している社会において、つねに問題意識を持って物事を的確に判断し、主体的に行動することのできる能力をこの商学部で培ってください。

 商学部で学ぶ学生諸君が、卒業後、社会において大いに活躍することができる礎を築くことができるように、教職員一同、最善を尽くしたいと考えています。