海外短期研修プログラムの報告(東南アジア)
―東南アジアの新興国(ベトナム・インドネシア)における 人材マネジメントを現地で学ぶ―
関西学院大学商学部では、2025年8月24日から31日までの8日間、ベトナムおよびインドネシアにて現地の日系進出企業や教育機関を訪問する東南アジア研修プログラムを実施しました。本プログラムは、急成長を遂げる東南アジアの新興国における日本企業の人材マネジメントの実態を学び、学生のグローバルな視野と実践力を養うことを目的としています(担当教員: 商学部・古沢昌之教授、西村博昭非常勤講師)。
ベトナム(ホーチミン市およびその周辺)では、ベトナムワコール社、YKKベトナム社、NAKANO PRECISION社を訪問し、日本人駐在員や現地人社員から直接お話を伺いました。ベトナムワコール社では、現地化や現地人社員のキャリア形成に向けた取り組み、YKKベトナム社ではグローバルな品質管理と現地人社員の育成施策について学びました。東大阪市の中小企業である中農製作所の現地法人NAKANO PRECISION社では、現地人社長のもと現地生産に取り組む姿勢に触れるとともに、日本本社と現地の間の異文化コミュニケーションや信頼関係の重要性を実感しました。
インドネシア(ジャカルタ市およびその周辺)では、YKKインドネシア社、三菱電機オートモーティブインドネシア社、さらには日系工業団地内の職業高校(ミトラ・インダストリMM2100)を訪問しました。YKKインドネシア社では経営理念の浸透や顧客満足・社員満足の向上に向けた取り組み、三菱電機オートモーティブインドネシア社では現地生産拠点の自動化と現地人社員への宗教面での配慮について学びました。そして、ミトラ・インダストリMM2100では、産業界と連携して実践的な人材育成を行い、多数の卒業生を日系進出企業へと輩出していることをお教えいただきました。
これら訪問先でのレクチャーや質疑応答、工場見学・学校見学を通じて、日本企業における現地化に向けた課題と工夫、グローバルな人材育成の実際を深く理解することができました。
このほか、両国では本学の現地同窓会(サイゴン支部、インドネシア支部)との交流会を実施しました。現地のOB・OGの方々からは盛大な歓迎を受けるとともに、現地での就労や生活について意見交換を行い、学生にとって大きな刺激となりました。
本研修を通じて、学生たちはグローバル化が進展する中、自身の海外勤務の可能性も見据えて、グローバル社会で活躍するために必要な知識や、語学力・異文化理解力・柔軟な思考力・幅広い視野といった能力・スキルの重要性を強く認識しました。今後も関西学院大学商学部では、実践的な海外研修を通じて、国際社会で活躍できる人材の育成に努めてまいります。
以下、参加学生からの声
・企業訪問では、どのように現地人社員をマネジメントされているのか、また、異なるバックグラウンドを持った方々とどのように信頼関係を構築されているのかを実際に伺うことができました。例えば、インドネシアの日本人駐在員の方は、イスラム教の「ラマダン」(断食月)の期間中は、水を飲む時も別室へ行くという配慮をされていると話されていました。このような小さな配慮が現地人社員との信頼関係を築くための大きなきっかけになるのだと実感しました。日本とは異なる文化を現地で感じることができ、とても貴重な経験になりました。
・実際に企業や職業高校を訪れ、現地の仕事に対する価値観に触れることで、人材マネジメントに関する新たな知見や刺激を得ることができました。また、食事を含めた現地の文化に触れることで、将来自分自身が海外で働くイメージを持つことができました。
・日系企業への訪問では、工場内に5S「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seiso)」「清潔(Seiketsu)」「躾(Shitsuke)」のポスターが掲示されているのを見て、日本のモノづくりが海外に広まっていることを実感しました。また、インドネシアで訪れたモスクでは、ガイドさんの説明を通して、イスラム教の歴史を知ることができました。
・普段は経験できない日系企業の工場見学や、各社の社長をはじめとする日本人駐在員や現地人社員の方々との懇談を通じ、現地の活気を肌で感じる貴重な経験ができました。また、本学の同窓会(OB・OGの方々)との交流会では、海外勤務の魅力や留意点をリアルに感じ取れました。



