災害復興制度研究所(関西学院事典)

[ 編集者:学院史編纂室 2014年9月28日 更新 ]
関西学院事典

災害復興制度研究所

 災害復興制度研究所は阪神・淡路大震災から10年目の2005年1月17日、社会科学の視点から災害復興を研究する全国初の機関として設立された。
研究の理念を「人間の復興」、組織原理を「共存同衆」、運営指針を「現研融合」とする。

 「人間復興」とは、災害復興の主体を「社会全体」から、「人間一人ひとり」に置き換えるパラダイム・シフトを意味する。
最初の提唱者は、大正デモクラシーの旗手にして福祉国家論の先駆者である福田徳三である。
関東大震災の折、後藤新平の「帝都復興の儀」に対し、復興事業の第一は「人間の復興=生存機会の復興」でなければならないとして異議を申し立てた。
研究所は、この精神を受け継ぎ、2009年に災害復興基本法試案を発表し、12年には福田の『復興経済の原理及若干問題』を復刻。
自己決定権に基づく幸福追求こそ災害復興の第一歩だとして、復興法体系の整備を目指している。

 一方、「共存同衆」とは、自由民権運動家の馬場辰猪や小野梓らが1874年に結成した学会の原型。
官製的結社で閉ざされた組織だった日本学士会院とは対極にあり、広く社会に門戸を開いた。
研究所、さらには研究所が中心になって2008年に結成した日本災害復興学会もこの「共存同衆」をモデルとし、研究者だけでなく全国の被災地で活動する復興リーダーやボランティア、弁護士、ジャーナリストらも加わり、被災地で生まれた知恵を継承、課題を抽出し、「現研融合」の指針に基いて研究・調査・提言活動を進めている。
とりわけ、東日本大震災の発生に際しては、1週間後に政策提言を発表し、13年3月には原発避難者の救済策を具体的に提言する『震災難民―原発棄民』を刊行した。
また、毎年1月には全国被災地交流集会とシンポジウム、復興学会大会を開催、07年度からは全国初の災害復興学講座も開講して、「復興リベラリズムの拠点形成」を目指している。

【文献】『ニュースレターFUKKOU』(1-21)2005-2013;『災害復興研究』」(1-5)2009-2013