千刈の自然(関西学院事典)

[ 編集者:学院史編纂室 2014年9月28日 更新 ]
関西学院事典

千刈の自然

千刈

千刈

〔気象〕三田市の東部、羽束川と千刈水源地とで宝塚市に接する標高200~250mの高台に「千刈キャンプ」があり、かつて「千刈セミナーハウス」があった。
三田は六甲山系と北摂の山々に囲まれた盆地で、内陸的な気候で冬には寒冷地の一つにあげられる。
「神戸港で積んだ水は赤道を越えても腐らない」と昔外洋航路の船員の間でもてはやされた「神戸ウオーター」とはほかならぬ千刈の水で、冬に冷え込むことがその要因といわれている。

〔植生〕上記の気象条件から千刈の植生はアカマツの針葉樹、ソヨゴ、ヒサカキ、イヌツゲ等の常緑樹、コナラ、コバノミツバツツジ、ガマズミなどの落葉広葉樹の混成林を形成している。
千刈キャンプの土地が取得された1955年ごろは薪炭林として樹木は伐採された状態で、開設当初千刈キャンプは「木陰のない」キャンプ場だった。
その後、樹木の保護が進み、約60年を経た現在は樹木が繁茂高層化し、林床部に日が射さない状況となっている。
今後は里山としての景観を備えた樹木管理を進めていく必要がある。

〔鳥類〕樹木に囲まれた千刈地区内には多くの野鳥が姿を現す。
春先はメジロ、オオルリ、ルリビタキ、ウグイス、イカル、カワセミが、夏になればホトトギス、キジ、アオゲラ、ヨタカが、秋から冬にかけてはカケスがそれぞれ目と耳を楽しませてくれる。
また四季を通じてセグロセキレイ、コゲラ、エナガ、シジュウカラ、カワラヒワ、シロハラ、ヒヨ、アオサギ、フクロウ、コジュケイが確認できる。

〔ほ乳類〕林内を散策していると、あたり一面に南京豆の皮をまきちらしたような中に小さなエビフライに似たものを見かけることがある。
これは松ぼっくりを剥いて松の実を食べたリスの食痕である。
高い松の樹上にボール状の茂みを見ることもあるが、これはリスの巣である。
また昨今イノシシが増えて近隣の農作物を荒らす被害も出てきている。
千刈セミナーハウスの用水池でイノシシの仔「ウリボウ」が発見され捕獲されたこともある。
このほかタヌキ、イタチ、キツネ、ノウサギ、モグラ、ヒミズも確認されている。

 ほかに環境省により準絶滅危惧(NT)に指定され、国蝶とも言われるオオムラサキが観察されるほか、モリアオガエルの産卵も毎年みられる。

 このように、千刈の自然の中には多様な生物が生活を営んでいることからも、それらの生物の餌が確保される豊かな自然が残されていることが理解できる。