心理科学研究室
K.G.
2026.07.14[セミナー]

第74回KG CAPSセミナー 9/14 萩原広道先生(大阪大学・岡山大学)

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講演者:萩原広道先生(大阪大学大学院人間科学研究科、岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域)
日 時:2026年9月14日(月)17:00〜18:20
場 所:関西学院大学西宮上ケ原キャンパス F号館104教室
講演タイトル:赤ちゃんの言語発達はどのような道筋を辿るのか:意味分化,学習バイアス,個人差,文化差から捉える語彙発達
要旨:
言語発達,なかでも語彙発達は,乳幼児が日々の経験のなかで自ら言語形式と経験世界との対応関係を構築していく過程だといえる。語彙の学習は,あらかじめ区切られた対象に単語ラベルを対応づけるだけで達成されるものではない。子どもは,モノや行為,出来事をどのように分節化するかを発達とともに変化させながら,単語の意味を学んでいく。
本講演では,乳幼児の単語学習を,意味分化,学習バイアス,個人差,文化差といった複数の観点から捉える。前半では,単語の意味表象が発達的に変化することや,単語理解において行為概念が重要な役割を果たすことを示した研究を紹介する。さらに,大規模な語彙データと機械学習モデルを用いた研究を通じて,子どもがどのような単語を,どのような順序で習得するかには個人差があること,また,語彙発達の傾向は言語や文化によって多様性をもつことを論じる。後半では,こうした発達過程とその多様性を理解するための方法論的な基盤研究を取り上げる。保護者への回答負担を抑えた語彙測定法,家庭から参加可能なオンライン注視実験と自動視線分類の精度検証,ならびに大規模言語モデルを言語発達研究に応用する際の可能性と留意点などを紹介する。
乳幼児の言語発達を理解することは,子どもの語彙数の増加を記述することに留まらない。それは,人間が自らの経験世界をどのように分節化し,他者と共有可能な意味の世界をどのように構築していくのかを明らかにする試みでもある。