国連学生ボランティア活動日誌(2010年秋学期)

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[ 編集者:広報室       2011年3月3日 更新  ]

関西学院大学は、アジアの大学では初めて、世界でも3校目に国連ボランティア計画(UNV)と協定を結び、情報格差、教育、環境、健康などの重要問題に取り組むために学生をボランティアとして途上国へ派遣しています。

2010年度秋学期は2人の学生が派遣されています。3月上旬まで現地で活動します。派遣者と業務は次のとおりとなっています。

○濱野 麻湖さん(法学部2年生)
派遣国:マラウイ
活動内容:UNVマラウイオフィスでウェブサイトの更新、コミュニケーションツールの作成などに従事します。
○中村 静香さん(総合政策学部2年生)
派遣国:マラウイ
活動内容:マラウイの政府機関でウェブサイトの立ち上げ、運営に従事します。
○曽我部 遥さん(文学部3年生)
派遣国:フィリピン
活動内容:UNVフィリピンオフィスでウェブサイトの更新、広報活動支援等に携わります。

このページでは現地からの生の声をお届けします。

【マラウイからの報告4(中村)】

3月2日 中村静香(総合政策学部2年)

インタビューの様子

インタビューの様子

 私の携わるSocial Cash Transfer Program(SCTP)は現在まででマラウイ国内の7地方で行われています。先日私はインタビューを行うためにそのうちの一つの地域に赴きました。HIV患者の方や、親を亡くし兄弟だけで生活を行う子供達、体が不自由な方といったSCTPに参加する様々なタイプの受益者達にインタビューを行うことが出来ました。
 私の職務はホームページ作成というオフィス内で行う作業なので、受益者との距離は遠いものです。毎日パソコンの前で作業をしていると「私が誰のためになぜここで働いているのか」ということを忘れそうになるときがあります。
 しかし、今回の訪問でそのことを再確認することが出来ました。私がよりよいホームページを作ることで、よりSCTPの存在を多くの方に知ってもらうと同時にプロジェクト関係者内での情報共有を促進することで、SCTPに貢献できると信じています。
 異文化の中で働くということはとても簡単なことではなく、くじけそうになることもありますが、目標を見失わずに最後までプロジェクトに貢献できるように頑張りたいと思います。

【フィリピンからの報告3】子供たちから学ぶこと

2月8日 曽我部遥(文学部3年生)

フィリピンの子どもたちと

フィリピンの子どもたちと

 「ボランティアに来て君は人の役に立てていると思うか。」韓国からボランティアに来ている友人に言われた一言です。はっとしました。私が今ここでやっていることはどれくらい人の役に立っているのだろう。私が首を横に振ると、「私もそうだ。彼らの方が私のことを助けてくれている。」彼の言う通りでした。
 誰かの役に立ちたいと思って興味を持ち始めたボランティア活動ですが、実際は現地の人や友人に助けてもらうことの方が多いのです。そして、彼らから日々、様々なことを学ばせてもらうことの方が多いのです。
 途上国の暮らしは楽ではありません。騙されることもあれば、事故やテロで簡単に人が亡くなることもあります。それでも、日本のように自ら命を絶つ人がほとんどいないのは彼らが一生懸命に生活し、思いやりを持って家族や友人同士が支えあって生きているからだと思います。
 日本での恵まれた生活、家族と離れて暮らす生活に慣れてしまっていた私は当たり前の幸せを忘れ、大切にしていなかったような気がします。また、貧しくても笑顔で力一杯勉強するフィリピンの子どもたちからは大学で学べることがどんなに贅沢なことか気づかせてくれました。フィリピンでの生活は物質的には十分でなくても、精神的に満たされた人生を考えさせてくれます。

【フィリピンからの報告2】ボランティア活動に参加して

12月10日 曽我部遥(文学部3年生)

ボランティア活動の様子

ボランティア活動の様子

 フィリピンでは12月はボランティアの月。UNVもいくつかボランティアイベントをサポートしたのでご紹介します。
 まず、12月3日にMiriam Collegeという大学内で開催されたYouth Forumでは、国連が掲げるミレニアム開発目標(MDG)についてワークショップ、ディスカッション、プレゼンテーションが開かれました。マニラ中の大学生たちが集まり、熱心な議論を重ねました。12月5日にはマニラ湾のクリーンアップイベントが行われ、8000人を超えるボランティアがマニラ湾周辺の清掃をしました。テレビや新聞などの取材が来たり、政府やUNDP関係者が駈け付けてくれたり、大イベントになりました。
 UNVはイベントをサポートする立場でしたが、イベントに向けての準備として、会議の設定と参加、提案、資料の作成、関係者の表敬訪問、招待状の送付、ホームページに載せる記事の作成などに携わらせていただきました。背景や考え方の違う者が集まり、話をしてひとつのイベントを創り上げるということは簡単なことではありませんでした。しかし、参加したボランティアの積極的な参加、そして一生懸命に頑張っている姿を見ると、ここまで準備した甲斐があったと元気付けられました。この経験は、私の自信になりましたし、今後の大きなステップになると思っています。

【フィリピンからの報告1】フィリピンの表と裏

11月30日 曽我部遥(文学部3年生)

マカティ市内

マカティ市内

 11月からフィリピンのUNV事務所で学生ボランティアとして派遣されています。フィリピンと聞くと、豊かな自然が残る発展途上の国というイメージを持つ人も少なくないかもしれませんが、私の生活の拠点になっているマカティ市は大都会です。巨大なモールが立ち並び、生活面ではとても便利です。フィリピン、スペイン、アメリカ、中国、韓国、日本、多文化が入り混じるフィリピンは、日本よりも遥かに国際色豊かです。しかし、その大都会の裏にはストリートチルドレンや物乞いで生計を立てている人たちが大勢います。メリークリスマス、ハッピーニューイヤーと言いながら手を差し出す子どもたちを見ない日はありません。巨大モールで買い物を楽しむ人がいる一方で、その日の食事さえままならない痩せ細った子どもたちがいるのです。日本で生まれ育った私にとっては異空間とさえ感じてしまう場所であり、ショッキングな光景でした。お金や物資を与えるだけでは自立発展していかないことを考えると、子どもたちに対して何が最善の方法であるのか、私にできることは何なのか、わからなくなってしまうこともあります。けれども、フィリピンの人たちはボランティアに対してとても積極的で、国内のボランティア活動が非常に活発な国です。彼らの前向きさをバックアップできるようにUNVの一員として何ができるのか限られた派遣期間の中で考えていきたいと思います。

【マラウイからの報告3(中村)】WEBサイトのコンテンツ作り

1月31日 中村静香(総合政策学部2年生)

プロジェクトのミーティング風景

プロジェクトのミーティング風景

 12月はクリスマスホリデーだったので、オフィス全体がクリスマスムード。しかし長い休暇が終わり、1月の中頃から本格的にMinistry全体が動き始めました。同時になかなか進まなかった私の業務も、上司から資料や意見をもらえるようになり、やっと進み始めました。
 私の携わるSocial Cash Transfer Scheme(以下SCT)は現在マラウイの7都市で行われています。私はWebサイトのコンテンツの一部を作るために、各地方に赴き受益者にインタビューを行う予定です。残り1ヶ月半ですが、少しでもプロジェクトに貢献できるように力を尽くしたいと思います。

【マラウイからの報告2(中村)】異文化理解

1月28日 中村 静香さん(総合政策学部2年生)

私のシェアメイト

私のシェアメイト

 私はマラウイ人の同僚が提供するシェアハウスにマラウイ人の同僚、その娘、ドイツ人とスペイン人の女の子と住んでいます。家の隣にはガードマンとハウスメイドも住んでいます。シェアハウス、ガードマン、ハウスメイド…私にとって初めての経験ばかりです。初めは戸惑いましたが、今ではシェアメイト達と毎日色んな話をすることが、私の楽しみの一つになっています。肌の色も国籍も全く異なる私達が、お互いの国の文化、習慣、言語を伝えあうことでたくさんの新しい発見があります。
 先日私の持参した日本食の一つである“塩昆布”をシェアメイト達に紹介すると「なにそれ!insect?」と言われました。必死で説明し、彼らも挑戦してみましたが口に合わなかったようで、それ以来日本食恐怖症になってしまい、私の作る料理をなかなか食べてくれません。日本に帰るまでにおいしい日本食を作り、日本食=deliciousのイメージに変えたいと思います。

【マラウイからの報告1(中村)】なんとかなる!なんとかしよう!の精神

1月27日 中村静香(総合政策学部2年生)

私の働くオフィス

私の働くオフィス

 私は12月よりアフリカのマラウイ共和国の政府機関で任務にあたっています。私はSocial Cash Transfer Schemeという国内の最貧困層の人々に資金援助を行うプロジェクトに参加し、WEBサイトの作成とそのトレーニングに取り組んでいます。
こちらに来て約1か月が経ち、ようやくマラウイの生活にも慣れてきました。マラウイは本当にのんびりした国です。日本にいると“時間をお金で買いたい”という人がたくさんいますが、こっちではそんな人はまずいないでしょう。都市でさえ週に何回も停電にあう、水が止まる…そんなことは日常茶飯事。
“最悪の事態に陥らないように、自分で先を読んで動くことの大切さ”を実感しました。いつ停電がおきてネットが使えなくなるかわからない。そんな中、日本で過ごしていたように何もかもが自分の思う時間通りに物事が進むことはまず無理です。そんな状況にはじめは戸惑いましたが、今では“やばい!でもなんとかなる!なんとかしよう!”精神で過ごしています。

【マラウイからの報告4(濱野)】仕事に対する価値観の違い

12月21日 濱野 麻湖(法学部2年生)

 マラウイに来て2ヶ月が経ちました。慣れなかったアフリカなまりの英語もようやく聞き取れるようになり、会話もスムーズにとれるようになりました。日々感じているのはマラウイ人と日本人の仕事に対する価値観の違いです。たいていの同僚は遅れて来て、定時きっちり帰宅。オフィスでは音楽をかけ、楽しそうに仕事しています。また、じっとしているのが好きではないようでオフィスにいない時間の方が多いです。日本だとすぐクビ!と言われる状況(笑)同僚にそのことをどう思っているのかと尋ねると、「これがアフリカ。日本が変わってるのよ」と言われる始末。その日から私がマラウイに慣れるしかないと思うようになりました。
 作成物を提出しても何のコメントもないことがほとんどです。ですから、メールを送った後にはすぐメールを確認してねと直接伝えるようにしています。メールの最後には「必ず返信してね。次の仕事に進めないから」とプレッシャーをかけることも忘れずに!これもアフリカで働く醍醐味ととらえ、工夫しながら過ごしています。

【マラウイからの報告3(濱野)】産婦人科を訪問

11月22日 濱野 麻湖(法学部2年生)

妊婦と子ども

妊婦と子ども

 先週、ドキュメンタリー作成のため地方に取材旅行に出かけました。UNVマラウイは現在、医師を地方に派遣し、医療技術の発展や人手不足解消に努めるプロジェクト(ドクターズプロジェクト)を実施しています。今回私たちは国連が掲げるミレニアム開発目標に着目し、産婦人科医にインタビューを行いました。
 産婦人科での光景は私にとって衝撃的でした。まず、驚いたことは廊下にたくさんの妊婦が寝転んでいたことです。ドクターに理由を尋ねると、赤ちゃんが生まれるのを待っている、つまり陣痛がきていて分娩を待っている状態だというのです。思わず「え!こんなとこで?」と日本語で叫んでしまいました。
 もう一つ驚いたことは妊婦の数の多さです。大きな部屋(約10m×10m)にたくさんのベッドがあり、常に満床状態。ベッドが足りず床にマットレスを敷いて寝ている妊婦もいるほどです。少子化が進む日本では決して見られない光景です。その病院では一日に平均25人の赤ちゃんが生まれるそうです。しかし、それと同時に乳幼児、妊婦の死亡率が高いのも事実です。その原因はアフリカの環境にあります。せっかく生まれてきてもマラリアや肺炎にかかって死んでしまう子どもは少なくありません。私が見た光景は見聞よりもひどい現実で、今自分が開発途上国にいることを実感させられた瞬間でもありました。

※MDGs=Millennium Development Goals(ミレニアム開発目標)について詳しく知りたい方はUNDP(国連開発計画)のHPを参照してください。

【マラウイからの報告2(濱野)】アフリカの価値観

11月15日 濱野 麻湖(法学部2年生)

マラウイ

マラウイ

 みなさんはアフリカというとどの国を思い浮かべますか。ケニア、ガーナ、最近だとワールドカップ開催国だった南アフリカ共和国を思い浮かべた人もいるかもしれません。しかし、アフリカの人の中でメジャーな国といえばナイジェリアだそうです。例えばマラウイの人が外国へ行って、出身国を聞かれても、「どうせマラウイを知らないだろうから無難にナイジェリアと答えておけばいい」というようなノリだそうです(笑)。ちょっと面白いステータスだと思いませんか?
 アフリカの人からは日々さまざまな価値観を学びます。
 庭でホームステイ先の家族と団欒していたときのことです。日本はマラウイより豊かな国かと聞かれ、私は迷わず「はい」と答えました。すると「でも、広い庭でもぎたてのマンゴーを食べることはないでしょ?こうやって外に出てリラックスする時間はある?その点ではきっとマラウイの方が豊かよ」と言われたのです。
 経済や教育のレベルを見れば、日本はマラウイより優れているのは事実です。しかし、心や時間のゆとりはマラウイの方が豊かなのかもしれません。私のものさしで測っていた豊かさは前者でした。何が豊かで何が貧しいかのか、それは誰にもわからないのかもしれません。何気なく話していたことでしたが、私にはとても充実した時間でした。

【マラウイからの報告1(濱野)】マラウイでの生活が始まりました

11月1日 濱野 麻湖(法学部2年生)

 私は南アフリカに位置するマラウイ共和国というところで任務にあたっています。到着して1週間が経ち、だんだんとマラウイやマラウイ人と気質に慣れてきたところです。
 先週日曜日、インターン先であるUNVとUNDPのみんなでマラウイ湖に行ってきました。マラウイは内陸国で海がなく、遊びに行くといえば湖だそうです。島国の日本で育った私には少しカルチャーショック。湖では泳いだり、バーベキューをしたり、踊ったり、とても楽しい時間を過ごしました。中でも多国籍の人と話せたことは私にとっていい経験になりました。マラウイにいながらベトナム、タンザニア、モザンビーク、イギリス、韓国の人たちと話せるのは国連機関ならではの経験です。
 もちろんマラウイでは楽しいことばかりではありません。私は首都リロングウェに住んでいて大抵のものは手に入れることができ、生活に不自由することはありません。しかし、車で1時間も走れば別世界です。テレビのドキュメンタリーで見るような野原が広がり、野生のロバやヤギがいます。電気はおろかトイレ、食べ物も十分にありません。その光景を見たとき、なんとも言えない複雑な気持ちになりました。同時に日本がいかに発展しているか、豊かな国なのかを実感しました。私のマラウイ生活はまだ始まったばかりです。今後も私が感じたこと、疑問に思ったこと、仕事のことなどを日記を通してお伝えしていきたいと思います。