理工学部生命医化学科 関 由行 研究室

[ 編集者:広報室       2018年4月4日 更新  ]

生物の進化に関与する生殖細胞 次代への命をつなぐ仕組みの解明を

 

 

 私たちの体は、約37兆個、270種類の細胞で作られているのですが、それらは、個体の死とともに消滅する体細胞と、次の世代に命をつなぐことができる生殖細胞の二つに大きく分けることができます。私はこの生殖細胞が、どのような仕組みで生命の連続性を保証しているのかについて解明したく、研究に取り組んでいます。

 

 

 これまでの研究成果でいえば、マウス生殖細胞の成長段階の巻き戻しに人工的に成功しました。卵や精子になる生殖細胞は、受精するとさまざまな細胞に変化できる万能性を獲得しますが、その万能性は細胞が成長する中で失われます。しかし、生殖細胞を作る時に重要となる遺伝子を働かせることで、細胞の成長段階を巻き戻し、再び万能性を持った細胞に戻すことに成功しました。

 また最近は、生物の性別がどのように決まるかについても研究をしています。この研究では、ヤモリを使うことが多く、実際に研究室で飼育して、彼らが産んだ卵を使って実験をしています。従来の研究ではマウスを使うことが多かったのですが、マウスは特有の進化を遂げているため、その構造がヒトとは大きく異なることが分かってきました。そのため、実験としては使いやすいものの、参考にならない部分も多かったのです。そこで、初期胚の形状がヒトに比較的近いヤモリに注目するようになりました。マウスとヤモリを実験に使っている研究室は世界的にも珍しいです。

 現在、日本では6組に1組が不妊、32人に1人は生殖医療で生まれてきているといわれており、高齢出産も増えてきています。自分の研究が将来的に不妊治療などにつながればと思っています。「進化」の研究にも興味があります。どの生物も生殖細胞を通して進化を遂げてきているので、さまざまな生物を調べることで、どのように生物が進化し、ヒトが生まれてきたのかを知
りたいと思っています。

始原生殖細胞の形成の仕組みを明らかに

杉山 昂太さん 理工学研究科M1年生

  

 

 精子や卵子のもととなるヒトの始原生殖細胞の形成の仕組みを解明することを目的に研究をしています。具体的には、ELK1とMED23という因子が、始原生殖細胞の形成にどのように関与しているのかを明らかにしたいと考えています。

 始原生殖細胞の形成の仕組みを解明することは不妊治療の発展につながります。さらに、初期の胚発生の仕組みを明らかにすることで、生殖細胞への誘導方法のみならず、その他の体組織への分化誘導方法についての解明につながり、iPS細胞などを用いた再生医療の発展にも応用できると期待されます。研究をする中で、新しい発見や思い通りの結果を得られた時は、大きな喜びを感じます。

 研究には失敗がつきもので、研究を通して、失敗しても諦めずに挑戦し続ける精神力と、物事をあらゆる角度から考える思考力が身に付いたと思います。大学院では、より研究に励み、得られた成果を社会に還元していきたいと考えています。