理工学部物理学科 加藤知 研究室

[ 編集者:広報室       2017年10月16日 更新  ]

皮膚の表面にある薄い脂質膜について
その構造と水の抜け方との関係解明を

加藤研究室の様子

 私の専門分野は生物物理です。生物材料を使って物理学の研究をしています。

 使っている材料は脂質の膜。皮膚の表面には角層と呼ばれる約10ミクロンの薄い膜があり、脂質がたくさん詰まっています。脂質膜は体内の水分を逃がさない役割を持っているため、私たち人間は陸上で生きることができます。私はこの重要な役割を担っている脂質膜の構造や水分透過の仕組みを電子顕微鏡やエックス線を用いて解明することに取り組んでいます。

加藤 知(かとう さとる)教授

加藤 知(かとう さとる)教授

 大学だけではなく、化粧品会社とも共同で研究を進めています。例えば、荒れ肌やアトピーの人の皮膚では水が抜けやすくなっていることが知られています。これを改善するために、化粧品会社の研究者が日々努力をされています。脂質の膜の構造が水の抜け方に関係しているため、私たちの研究室ではこの膜の構造を調べて、水の抜け方との関係を評価しています。

 また、直接人間の皮膚を使って研究すると、試料入手がむずかしい上、莫大なコストがかかり、倫理的な問題も生じます。そこで私たちは、人の皮膚そのものではなく、角層に含まれているセラミドやコレステロールから角層のモデルとして使える人工膜を作製することにも注力しています。

 重要な生命活動の大半は脂質膜を介して行われていますので、膜の研究は生物研究のメインストリートともいえる重要な研究だと考えています。

 研究は「好きこそものの上手なれ」です。研究が好きな学生は必ず伸びます。関学生は真面目。真面目なことはいいことですが、良い意味で変わった学生がいてもいいと思います。学生には失敗を恐れず、突飛な発想力を持って、研究に取り組んでもらいたいです。

より人間の皮膚に近い人工膜の作製を

赤下部 奈月さん 理工学研究科 M1年生

赤下部 奈月さん

赤下部 奈月さん

 生物物理学に興味を持っていたので、加藤研究室を選択しました。人間の皮膚をモデル化した人工膜を作製する研究を進めています。人間の皮膚がバリアの働きを持っていることは分かっていますが、どういう仕組みでこの働きがなされているかは分かっていません。そこで皮膚の構造を簡便に評価できる人工的なモデルを使って研究するために、より人の皮膚に近い人工膜を作製できるよう取り組んでいます。将来はこの人工膜を使って薬品の浸透性などを調べたいと考えています。

 世界最高性能を誇る大型放射光施設「SPring-8」で実験できるのも魅力の一つ。関西学院大学専用のビームラインもあり、世界レベルの施設で取ったデータを解析することに喜びを感じています。

 加藤先生は学生の自主性を重んじてくれる指導者です。いつも笑顔なので、研究で困った時なども相談しやすい雰囲気です。卒業後は、先生に学んだことや現在の研究を生かせる仕事に就きたいです。