理工学部生命科学科 北条賢 研究室

[ 編集者:広報室       2017年7月3日 更新  ]

アリの個体間相互作用を研究し協力的な社会の仕組みを理解

理工学部生命科学科 北条賢研究室の様子

 私の専門分野は化学生態学、進化生態学、神経行動学です。動物の個体間の相互作用の研究をしています。具体的には動物同士のコミュニケーションがどのようにして成立しているかを調べています。

 研究材料はアリです。アリは真社会性という特殊な社会を築いています。真社会性とは、社会の中に不妊で労働に特化した個体(働きアリ)が存在する現象を指します。

北條 賢 准教授

北條 賢 准教授

 アリはメス社会で、女王アリをはじめ、働きアリも全てメスです。オスは交尾の時に一時的に生産されるだけで、交尾後に死んでしまいます。メスはフェロモンと呼ばれる化学物質を放し、この匂いを感知したアリたちが「食べ物があるか」「危険であるか」などを判断し、集団として統率のとれた行動を示します。このようにアリは人間のように言語ではなく、嗅覚や味覚を主に用いて仲間に情報を伝達します。このようなアリのケミカルコミュニケーションに関する研究を通して協力的な社会の仕組みを理解するのと同時に、最近注目されているバイオミメティクス(生物の優れた特性を生かし工学・医療に役立てる分野)の研究にも取り組んでいます。

 私は今年の4月、神戸大学から理工学部に着任しました。関西学院大学は美しいキャンパスであると同時に、研究設備・施設が充実しているので、教育・研究を進めるには最適な環境で、非常に闊達で多様な考え方を持った学生が多く集まっていると感じます。学生には主体性を持って研究・勉強を進めてほしいと考えています。社会に出たとき、学生時代の自主的な研究力はきっと自信につながるでしょう。

小倉 吉暁さん 理工学部4年生、松田 典子さん 理工学部4年生

アリの分業システムを支えるフェロモンを研究

(左)小倉 吉暁さん 理工学部4年生、(右)松田 典子さん 理工学部4年生

(左)小倉 吉暁さん 理工学部4年生、(右)松田 典子さん 理工学部4年生

 アリの社会は強固な分業システムで支えられています。例えば繁殖分業では、女王アリがいるときには働きアリは自らの繁殖を抑制して労働に徹します。また、巣外で採餌を担当する働きアリは餌の情報を仲間に伝えて食料を効率的に確保しています。そのような分業に関わるフェロモンについて行動実験や分析化学の手法を用いて研究しています。

3年生に行われた研究室紹介で北條先生の研究内容に興味を持ち、ここを選びました。学生3人と北條先生、助教の下地先生の合計5人、少人数なので先生との距離が近いカジュアルな研究室です。先生は自分の力で考えるよう導いてくれます。4月から研究を始めたばかりなので分からないこともたくさんありますが、先生に教えを乞いつつまい進していきます。