理工学部先進エネルギーナノ工学科 吉川研究室

[ 編集者:広報室       2017年5月15日 更新  ]

高性能で信頼性と安全性の高い新しい二次電池の開発に取り組む

理工学部先進エネルギーナノ工学科 吉川研究室の様子

理工学部先進エネルギーナノ工学科 吉川研究室の様子

 大容量や急速充電、高い信頼性と安全性の確保を目的に、分子性物質を電極材料に用いた新しい二次電池の開発に取り組んでいます。

 現在、一般的に使用されているほとんどの二次電池の正極には、リチウムコバルト酸などの金属酸化物が使われていますが、金属酸化物は有毒な上に、環境面やコスト面においても問題を抱えています。そこで、環境とコストの問題が解決でき、電池の機能に必要な酸化還元ができる分子性物質を正極に使うことができないかと考えました。金属酸化物よりも電子の移動を効率よく行う分子性物質を、リチウム二次電池の正極活物質として使うことで、汎用的なリチウム電池よりも大きな電池容量を実現できました。

吉川浩史 准教授

吉川浩史 准教授

 最近では、分子がどのように電子を出し入れして電池としての機能を果たしているのかを、放射光を用いて解明することに取り組んでいます。これを明らかにすることで、新たな電池の開発につながるのではと考えています。また、乾電池に使用されている液体の電解質溶液を固体の有機高分子ゲルにするための研究も進めています。固体にすることで、液漏れなどを防ぐことができ、より高い安全性を確保することができるからです。将来的には、従来よりも高性能で、信頼性と安全性の高い二次電池を実用化につなげていきたいと考えています。

 学生たちには、結果が出なかった時こそ成長のチャンスがあると考えるように伝えています。予想通りの結果にならなかった理由を考え、工夫を凝らして努力してほしいと思うからです。現在ある理論や技術を応用するだけではなく、新しい原理・原則を見つけることも大事にしたいと考えています。

市場 遥介さん 理工学研究科M1年生

ポリマーを使用した固体電解質を研究

市場 遥介さん 理工学研究科M1年生

市場 遥介さん 理工学研究科M1年生

 通常、二次電池には電解質溶液が用いられていますが、それよりも高性能で安全な固体電解質の開発を目指して研究を進めています。将来的には、固体電解質をスマートフォンなどの携帯型電子機器に用いられている二次電池へ応用したいと考えています。

 電解質溶液を用いた電池は、液漏れや発火の恐れがある上に、充電・放電を何度も繰り返すうちに容量が小さくなってしまうなどの欠点があります。しかし、固体電解質を用いることができれば、それらの心配がなくなり、電池も長持ちします。固体電解質の作成には、ポリマー(高分子)を使用しています。有機溶媒に溶かすことで一度液状にし、それを電池の中に組み込める形に整えることで固体電解質として使えるようにする実験を続けています。

 まずは固体電解質の作成の研究を進め、将来的には安全で高性能な二次電池を開発できればと思っています。