人間福祉学部 藤井美和ゼミ

[ 編集者:広報室       2017年5月15日 更新  ]

死を含めた生き方を考えいのちに対する価値観を構築する

人間福祉学部 藤井美和ゼミの様子

人間福祉学部 藤井美和ゼミの様子

 「死」を意識することによって見えてくる「生」に注目し、いかに生きるかを考えるのが「死生学」です。生と死にまつわる問題について、その背後にどのような価値観があるのか明らかしながら、生きる意味やQuality of Life(いのちの質)について考察します。

 現代は、死ぬ場所が家から病院に移り、「ホンモノの死」を目にすることはほとんどなくなりました。一方で、映像やゲーム等のバーチャルリアリティの世界には「ニセモノの死」があふれています。このような環境の中で、学生は未知なる「死」にどう向き合えばよいのか分からなくなっているようです。

 ゼミでは「ターミナルケア」「代理母出産」「自殺」など、学生が選んだ事象について、まず、その背景にある理論や価値観を学問的視点から学びます。次に、それが「自分や家族に起きたら」と、視点を変えていきます。例えば、「自殺」について、三人称の視点だけで考えると、「自殺も一つの生き方」と捉える学生はいます。

藤井美和 教授

藤井美和 教授

 しかし、「もし大切な人が自殺したいと言ったら」「もしそれが自分なら」と、二人称、一人称へ視点を移していくと、自分自身の価値観も社会に対する見方も大きく変わっていきます。どこか他人事であった「死」を身近な人の問題、あるいは、自分の問題として捉えることで、いのちの在り方、死を含めた生き方について、積極的に向き合うことができるのです。

 生と死の問題は、自らの死生観を持っていないと大勢に流されてしまいます。学生には、いのちに対する価値観を構築し、それに基づいて自分の判断ができるようになってほしいと伝えています。「いのち」をどう捉えるのか─これからの社会を生きていく上で、この問いはますます重要なものになっていくと考えています。

志智 可奈子さん 人間福祉学部4年生

さまざまな視点から「生と死」を考察

志智 可奈子さん 人間福祉学部4年生

志智 可奈子さん 人間福祉学部4年生

 中学2年生の時に祖母を亡くしてから「死」が身近なものになり、「死」について考えることが多くなりました。「死」を見つめることは「生きること」を見つめることだと考え、「死生学」を扱う藤井先生のゼミで学ぶことを決めました。

 ゼミではまず、優生思想や功利主義・選好功利主義といった「いのち」の議論において重要な考え方を徹底的に調べ、リポートにまとめます。その後、2人一組で「あなたにとっての生きがいとは」や「殺処分の是非」など、ゼミ生自身が選んだトピックについてリサーチし、プレゼンテーションします。こうした活動を通して、生き方や命の在り方などを学んでいきます。

 藤井ゼミは少人数だからこそ討論などが活発で、中身の濃い時間を過ごすことができます。また、「生と死」という正解のない問題についてさまざまな視点から考えるため、自然と他の人の意見を尊重できるようになり、物事を多方面から深く考える力が付くと思います。