文学部 田和正孝ゼミ

[ 編集者:広報室       2016年1月14日 更新  ]

 

 

漁業者が頼る感覚的な知恵や技術を聞き取りや観察で学術的に検証

田和 正孝 教授

 

 専門は漁業地理学で、海洋文化と沿岸の漁場利用形態について、フィールドワークを中心に据えて研究しています。主たる研究の場は、西南太平洋地域、特に東南アジアと瀬戸内海を含む西南日本です。
 魚の生息や移動状況は、季節、天候、潮流などさまざまな条件が関与し、漁獲量に影響します。日々変化する環境条件の中で、「この潮なら、この磯でタイがよく釣れる」「今日の天候は大荒れするから危険だ」など、漁業者は何代にもわたって培ってきた知恵や経験を頼りに漁に出ます。私は目には見えない漁業者の知識の体系を解明するため、現地に行っては漁船に乗せてもらい、漁業者の生の声を聞くことを大切にしてきました。とはいっても、知恵や技術を解明することは易しくありません。聞き取り、観察、時間計測などで収集したデータを地図に落とし込んだり、グラフにまとめたりとさまざまな手法で、漁業者の語ることや漁業の活動を学術的に検証しています。
 最近は石干見という、海岸に石を馬蹄形に積み上げ、干潮時に石積みの内側に取り残された魚
介類を捕る伝統的な漁法に関心を持っています。石干見は古くから小さな地域社会で発展してき
た歴史があり、世界中に存在します。同じように構築された石干見でも設置場所や環境条件で漁獲量に差が生じます。台湾・澎湖諸島では共同で築かれた石干見の1年間にわたる利用順をくじ引きによって決めるなど、利用形態についても地域ごとに特徴があります。
 フィールドワークの魅力は、研究の枠を超えて現地の人々と深い人間関係を築けること。「先生っ!」と漁師さんはみんな温かく迎えてくれますよ。学生には現場に行く醍醐味を感じてほしいです。

流通を通じ水産物の地産地消の可能性を探る

柴切 克樹さん(文学部3年生)

 

 「水産物の地産地消における流通システム」について研究しています。
 具体的には「漁業者」「卸売業」「飲食店や小売業」の3つに焦点を当て、水揚げされた魚が消費者に届くまでの流通経路、季節や天候の影響が水産物の流通にどう影響するのかなどを調べています。調査はフィールドワークや関係者への聞き取りが中心。春季休暇には漁業者と一緒に漁に出たり、漁業協同組合から漁獲量などのデータを収集したりと、積極的に足を運ぶ予定です。輸入した水産物に頼る飲食店や小売業、観光業なども対象に、水産物の地産地消の可能性を探っていきます。
 ゼミ生は「海苔の養殖」「地域ブランドの形成過程」など、各自が興味を持ったテーマを研究。みんな活発に発言するので、さまざまな考えを吸収できます。チームワークもばっちりです。研究に熱く温厚な田和先生とともに、みんな楽しく研究しています。