法学部 守屋浩光ゼミ

[ 編集者:広報室       2015年6月24日 更新  ]

 

江戸時代の法や裁判の実態を明らかにし、庶民の利益実現の手法を探る

守屋 浩光 教授

 

 研究分野は法史学です。江戸時代の法や裁判について、大きく二つの分野を研究しています。
 一つ目は、江戸時代の一般庶民がどのように裁判制度を使って自分たちの利益を実現したかを明らかにしています。商人を例にしましょう。八百屋や酒屋など、商人は自分が扱う分野ごとに組合をつくっていました。新規参入により商売敵が増えることは、組合の構成員には不利益になります。各組合は自身の利益を守るため、幕府に新規参入の禁止法をつくってもらう陳情をしました。また団体としてまとまって申し入れることで、幕府の「切羽詰まった事情があるのだろう」という感情に訴え、新法の実現率を上げる手法も実践していました。このように一般庶民が用いた訴えのテクニックも解明しています。

 二つ目は、幕府や諸藩がつくった法規範や裁判制度の実態を明らかにすることです。そのために全国各地で史料を探し、分析や調査を行っています。
 もっぱら武士が政治権力を握っていた江戸時代には、武士が自分たちの利益だけを考えて政治を動かしていたと思っている人は多いかと思います。研究を進めるにつれて、実際は武士がかなり一般庶民の利益を考えていたことが分かりました。また庶民も積極的に自分たちの利益を得るため、より効果的な手段を考えて訴えを起こしていました。
 「誰も知らないことが分かる!」。これが研究の醍醐味です。また研究は自分にしかできないことを世間に発信していくことでもあり、社会の発展に貢献できます。私が取り組んでいる、発掘した史料のネット配信や古文書の翻刻・刊行など時代に即した研究資料の提供もその一つだと思っています。

 研究や教養は用語だけ覚えても意味がありません。学生には一つひとつの背景を理解し、一歩先の知識を深めてほしいですね。また多様な視点を持つために、好きな分野以外の教養も身につけてほしいです。

島原・天草の乱におけるキリスト教と法を読み解く

蔭山 愛海さん(法学部4年生)

 

 守屋ゼミのテーマは「江戸時代の日本法史」です。私は「江戸時代のキリスト教と法」に注目し、島原・天草の乱に関する法律を研究。禁教令やバテレン追放令などキリシタンを迫害する法律が関係します。さらに読み解いていくと、鎮圧に向かった武士が武家諸法度を遵守したことで、結果的に乱の長期化につながったことが分かりました。鎮圧を長引かせてしまった武士には、領地の没収など法律に則って処分が下されています。

 他にも古文書を読み、刑罰の種類や基準を調査しています。死刑、禁固刑、市中引き廻しなど、想像以上に刑罰が細分化されていることが分かり、どんどん興味が湧いています。

 守屋ゼミは日本史好きの集まりです。遠慮せず、次々に鋭い質問をして、互いに高め合っています。