理工学部・生命科学科 西脇研究室

[ 編集者:広報室       2015年5月13日 更新  ]

日頃の研究室の雰囲気

日頃の研究室の雰囲気

体長1㍉の線虫を研究材料に30年 人の遺伝子の仕組みを明らかに

西脇 清二 教授

西脇教授

西脇教授

 研究テーマは動物の「発生」「器官形成」です。動物の器官の形が、どのような遺伝子の働きにより形成されていくのかを調べる研究をしています。
 人間の体は1個の受精卵から細胞分裂を繰り返し形成されていきます。しかしながら、複雑な器官の形ができるためには、細胞が移動することも重要です。例えば、神経細胞は他の細胞よりも長い距離を移動し、軸索を伸ばして神経になります。細胞は本来動く能力を持っていますが、この能力の調節が異常となり、不適切な場所や時期に発現すると癌などの疾患の原因になります。
 私の研究材料は体長約1㍉の土壌線虫。人間の体は約60兆個の細胞で形成されていますが、線虫は成虫になっても959個の細胞しかなく、細胞系譜(受精卵から成虫になるまでの細胞の分裂の仕方)が全て解明されている動物です。線虫と人間の遺伝子は約70%が類似していて、細胞分裂や移動といった基本的な細胞の挙動を調節する遺伝子は共通しています。つまり、線虫の遺伝子を調べることで人の遺伝子の仕組みが明らかになります。
 大腸菌などを材料にして遺伝子の構造が解明されたのが1960年代。現在も多くの研究者が大腸菌の研究を続けていますが、約60年経過しても大腸菌の細胞分裂の仕組みを完全に説明することはできません。それは生命が驚くほど巧妙につくられているからです。私は線虫の研究に30年以上携わっていますが、もちろん線虫の細胞移動の仕組みを完全に説明することはまだできません。私にとって線虫は先生です。今後も線虫から生命の秘密を学び続けたいと思います。
 科学を研究することは自然の成り立ちを知ることです。研究が何の役に立つのかということが重要視されがちですが、自然界の仕組みを知るという作業は非常に重要な人間の営みであり文化であると私は考えます。学生にも自然・生命を観察し、その仕組みを解明することの面白さを教えたいと思っています。

器官形成の過程における細胞移動のメカニズムに迫る

近藤 祥平さん(理工学研究科M2年生)

近藤さん

近藤さん

 器官の形成は人類が誕生する最初のステップです。人類誕生という壮大なテーマに携わる研究がしたくて、西脇研究室に入りました。現在は器官が形成される過程での細胞移動を調節するメカニズムを研究しています。注目しているのはrpl-20 という名前の遺伝子です。ここから作られるタンパク質を蛍光で標識して、移動している細胞がどのような働きをしているかを調べています。
 西脇研究室は雰囲気がとても良く、メンバーも仲良しです。先生は学生の意見を尊重してくれるので、自主的に考えて行動する人におすすめの研究室です。将来は大学院で学んだ研究が生かせる企業に就職したいです。