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保健だより(2016年3月)


園医 芦田先生から

目がかゆいから目をこするのと同じように

 今年はインフルエンザシーズンが遅れてやってきたことで、流行のピークが2月になりました。それもAとBとが混在しているので、1回かかって自宅療養し、やっと治って登園した途端に違うタイプのインフルエンザにかかってしまうケースも見られます。予防接種をしているグループとしていないグループと比較をするとその差が出るのですけれど、残念ながら個人それぞれに100%の効果は期待できません。早くにもっと効果が高い予防接種が開発されればいいのになって常々思います。
 さて今日のお話は予防接種と関係ありません。子ども(幼児)の自慰行為のお話です。男の子でも女の子でも、自分の性器をいじったり机の角に押し当てたりしている子を見たことがありませんか?その表情を見ていると、見ている大人の方が恥ずかしくなるくらいです。こういう時、どのように対処したらいいのかが今日のテーマです。結論から先に言います。何もしなくていいんです。慌ててやめさせる必要はありません。「それでも早くに手を打たないとそれが癖になって、将来自慰行為にふける子になってしまわないでしょうか?」との質問が来そうですね。
 それではまずどうして子どもが自慰行為を行うのかを考えてみましょう。それは、単に気持ちがいいからです。ただその気持ち良さは、思春期以降に行うオナニーと違って性的な快感を追い求めての物ではありません。どちらかと言うと、目がかゆいから目をこするとか、鼻が気持ち悪いから鼻をほじるとか、そんな気持ちの良さです。目をこすることは別に罪悪視されませんよね。子どもの自慰行為はこれと同じようなレベルなんです。だから、そのままにしておいたからといってどんどんエスカレートして、将来取り返しのつかないことにはなりません。だからむやみにやめさせることはしなくて結構です。ただそれでも気になるのであれば「ばばちいお手てで触っていると、バイキンマンがくっついちゃうぞ」とか「今はみんなと一緒に遊ぶ時間だから、あとにしようか」とか言って、いったんその手を止める方法はありかと思います。「もう、そんなことをしたらいけません。ママ、とっても恥ずかしいわ!」なんて叱り方は、本人に罪悪感だけ与える一番よくない方法です。また、もしよそのお子さんがしていても、変な目で見ないであげてください。「子どもの間はいろいろあるわね」くらいの温かい目で見てあげることで、当人の親御さんの気持ちがとても楽になります。なんといっても一番気にされているのはその親御さんでしょうから。親御さんの気持ちを楽にしてあげると、本人への無用のプレッシャーもなくなるはずです。
 私が過去に相談を受けたお子さんも一時期自慰行為にふけっていましたが、お母さんが私の言葉を受け入れてそのまま何にも介入せずに様子を見てくださいました。するといつの間にかそんなことをしなくなっていきました。お母さんにとって何も言わないことはつらい事だったかもしれませんけれど、でも最良の結果となりました。ただ単に気持ちがいいから行っている子どもの自慰行為、不純な大人の視線で見ることを避けてもらうことが一番の対処法だと思います。

芦田 乃介 (関西学院 聖和幼稚園園医)