保健だより(2014年7月)

*検査ってそんなに大事なの?*

2014年7月9日 ~園医・芦田先生から~

 医療が進歩して、検査によっていろいろな事がわかるようになりました。インフルエンザ、アデノウイルス、RSウイルス、ロタウイルスにノロウイルス、最近はヒトメタニューモウイルスなんてウイルスによる感染症も診断がつくようになりました。これらの病気、つい最近までは全部「風邪」で片付けられていました。「あ〜、これは風邪ですね。ちょっと長引いているけど心配ないですよ」なんてお医者さんは言っていたわけです。ところが最近はそうはいきません。おかあさん方から「きちんと診断をつけてください」と言われ、私達はいろいろな検査を行なう事がしばしばあります。ただ本当にこれらの病気の診断をつけなくてはならないのでしょうか?今回はその事について少し述べさせてください。
 例に挙げた5つの病気のうち、特効薬と言われる薬があるのはインフルエンザだけです。そして、そのインフルエンザもタミフルやリレンザを使わなくてもちゃんと治ります。確かにこれらの薬を使うと熱が下がるのが少し早くなります。しかし、インフルエンザ脳症や脳炎などの合併症を防ぐ効果については、まだ現時点ではっきりとしたデータが出ていません。ましてやそれ以外の4つの病気については、診断がついても特効薬はなくただ単に様子を見ているだけになります。診断がつく事で余分な薬(この場合は抗生物質)を使わずに済むメリットはありますが、それ以上のものはありません。逆に言えば、特効薬がないのですから診断がつかなくても手遅れになる事は全くないのです。
 となると、わざわざ診断をつける意味はあるのでしょうか?実際、これらの検査を行なわない医者もいます。このあたりはなかなか難しい問題ですが、どちらにしても熱が出た当日に診断がつかないと手遅れになる事は絶対にないのですから、検査をあわてて行なう必要はありません。それと、これらの検査の中には健康保険が使えない検査もあります。保険が使えないとなると検査料は全額自費扱いになります。当然窓口で支払うお金は数千円を超える事もあり得ます。それだけのお金を払って診断がついても特別な治療がないとしたら、皆さんはどうされますか?
 検査をすると何でも解決すると思っている方、検査は魔法の杖ではありません。検査をするタイミング、するメリット、いろいろな事を考えて検査をする事が求められます。「とりあえず検査」は正しい考え方ではないのです。


 

芦田 乃介 (関西学院 聖和幼稚園園医)