保健だより(2014年5月)

~園医・芦田先生から~

2014年5月15日

~皆さん、はしか(=麻しん)、風疹の予防接種を受けてください!~

 新学期が始まって1ヵ月が経ち、お子さんも新しい生活に慣れてきたと思います。そこで今回は予防接種のお話をします。年長さんのお家には市から麻しん、風疹ワクチンの問診表が届いたかと思います(市町村によっては個別に配布されないところもあります)。「確かこの予防接種1歳の時に受けたはずなんだけど、また受けなくてはならないの?」なんて思っておられる親御さんがおられるかもしれません。そうなんです、また受けなくてはならないのです。以前は1歳の時に1回だけ受けていたのですが、それだと大きくなる間に抵抗力が切れてしまい、大人になってからまたかかることが多々ありました。そのため2006年から年長さんでももう1回接種することになりました。接種率が低かった当初は2回接種の効果が現れませんでしたが、いろいろな啓発活動のおかげで接種率が徐々に高まり、それに伴ってはしかや風疹のこどもはどんどん減っていきました。ただ年長さんの時に接種をしていないお子さんではしかにかかっているケースが報告されています。だから年長さんになったら必ずはしか、風疹ワクチンを接種してください。
 さてここまではお子さんの話でした。ここからは親御さんの話に移ります。実は今年はしかが流行しています。ここ数年では一番患者さんが多く、4月の段階で既に昨年1年間の患者数を上回ってしまいました。その患者さんの内訳を見てみると、20代、30代の成人が半数以上を占めています。この世代ははしかの予防接種を受けていないか、受けていても小さい間に1回だけで終わっています。だから、はしかの抵抗力が完全に切れているのです。そのためこの世代を中心に流行がひろまっています。はしかに実際かかると高熱が1週間近く出ます。インフルエンザと違って特効薬がないので、とてもしんどいです。そして肺炎や脳炎の合併症も少なくありません。だからこの病気にかからないようにする、つまり予防接種を受けることが一番効果的な方法です。同じことが風疹にも言えます。昨年来全国で風疹が流行しています。はしかとちがって風疹自体はそれほどしんどくない病気ですが、妊婦さんがかかるとお腹の中の赤ちゃんに障がい(発達、心臓、目などの症状)が出ます。先天性風疹症候群と呼びます。先天性風疹症候群のお子さんは2006年から2008年の間は日本中で誰も出なかったのに、昨年1年だけで日本中で32人の報告があります。これは由々しき事態です。先天性風疹症候群を予防するためには、周りのみんなが予防接種を受けて風疹の流行を抑えなくてはなりません。これは男女関係ありません。
 自分自身を守るだけでなく社会全体を守る、お腹の中の赤ちゃんを守る、そのような観点から皆さんにぜひともはしか、風疹ワクチンを受けていただきたいと思っています。

 

芦田 乃介 (関西学院 聖和幼稚園園医)