保健だより(2013年8月)

園医より

B型肝炎ワクチンの勧め

 最近の母子手帳を見ると、予防接種のページに「B型肝炎」の欄があるのをご存知でしょうか?以前は記載がなかったB型肝炎ワクチンが登場したのはなぜでしょうか?

 実は以前からB型肝炎ワクチンは存在していました。ただ接種対象者が限られていて、こどもの場合は家族にB型肝炎のウイルスを持った人がいる場合だけ接種すればよいと考えられていました。その根拠は「B型肝炎は血液や精液以外は感染源にならない」とのデータでした。ところが実際のところは違っていました。汗や涙、それに尿からも感染する可能性があることが分かってきたのです。そしてB型肝炎にかかると有効な治療法がなく一生ウイルスはその人の肝臓に棲みついてしまいますし、こどもの頃に感染すると重症化(肝硬変や肝がん)する度合いが高いことも研究結果から判明しました。だから、今はすべてのこどもにB型肝炎ワクチンを接種することが世界標準になっています。日本でもやっと昨年くらいからその動きが出てきて、日本小児科学会の「接種が勧められるワクチン」の中にもB型肝炎ワクチンが記載されるようになりました。
接種時期はできるだけ早い方がいいです。だから今の標準は生後2カ月から開始します。全部で3回接種して完了で、3回受ければ将来的に追加の必要はありません。

 日本の予防接種は世界から約20年遅れています。残念ながらB型肝炎ワクチンもその例に漏れません。「こんなに受けなくてはいけないの。上の子の時はこんなにたくさんの予防接種なんかなかったのに」と思われる親御さんも多くおられると思います。でもこれでもまだ世界的には少ない方なんです。欧米では当然のこと、中国、台湾、韓国、北朝鮮でも広く接種されているB型肝炎ワクチン接種をぜひご検討ください。

 
 

芦田 乃介 (関西学院 聖和幼稚園園医)