保健だより(2013年9月)

園医より

2013年9月5日

 私の周りにいる方のご主人(34才)のお話です。ご主人は、スナック菓子とコーラが大好き、ポテトチップスなら1袋を1回にペロッと平らげてしまいます。そして、このご主人、ファーストフードにも目がありません。突然衝動的にマクドに行きたくなったりします。まあ言ってみれば、今どきのこどもの食生活ですよね。このご主人が最近太ってこられました。心配された奥様がご主人に検査を勧められ採血されることになったのです。そして採った血液を見てビックリ、なんかドロドロしているんです。そして、そのまま血液を置いておくと、本来黄色でさらさらした液体である上澄み(血清と言います)がどんどん油にまみれてきました。イメージとしてはすきやき鍋が冷めていった時に徐々に固まってくる油です。「ぎょへ~っ!」見ただけで頭の血管に油が詰まっていく姿が想像できます。血液検査の結果も案の定ひどいものでした。コレステロールは異常値を示し、中性脂肪に至っては正常上限が160なのに825まで上がっていました。見た目はそれほど太っておられない方だけに、この結果は衝撃的でした。早速奥様にその結果をお伝えし、その日から食生活を変えていただきました。まずは油分の摂取を控えてもらいました。肉を減らし、その分魚を多く摂ってもらいます。コーラはお茶に変えます。最近はノンカロリーのコーラが出ていますが、たとえノンカロリーでもコーラを飲むとそれに合った食事はどうしても高カロリーのもの(ピザ、ハンバーガー、揚げ物など)に走りがちです。だからお茶にすることで食事内容を和風に持っていく工夫です。当然スナック菓子も制限します。基本的には食べない、どうしても食べたいときは小袋ひとつと決めてしまいます。もともと車に乗られない方で運動は普段からしっかりされていましたので、その点はよかったです。こんな風に食生活を180度転換し、食事に対して常に意識を持ってもらうようにしました。すると、1か月後の検査で驚くべき結果が出ました。まず採った血液がサラサラで、そのまま置いていても上澄みがドロドロ油で占められていません。採血結果もコレステロールは正常範囲内に入り、中性脂肪もほぼ正常のところまで下がっていました。当然ご主人の体調も良好で、体重は5キロ以上減りました。特に薬も使わず、とにかく食生活を変えるだけで劇的によくなったのです。

 今回はご夫婦で協力して食事の改善に取り組まれて、成功した例を挙げさせていただきました。ただ悪かったころのご主人の食事を見直すと、まさに今のこどもたちが好んで食べているものと一致します。となると、ファーストフード好きや小さい間にすでに肥満になっているこどもの血液も、あのドロドロ血液であることが想像されます。それが長年積み重なったらと思うだけで、私は身震いしてしまいます。こどもの好きなものを与えるのでなくこどもの体にいいものを与える、そんな食事の原点に立ち返っていただきたいと思います。
 
 

芦田 乃介 (関西学院 聖和幼稚園園医)