園長から「植物だより」(2012年10月)

せいわようちえん・植物だより

ひがんばな

 曼珠沙華の別名で知られるヒガンバナ、秋の到来を告げてくれる素敵な花です。みごとなまでに赤く、美しく咲き、また、毒があることなどからいろいろな俗称がついており、「どくばな」「へびばな」「かじばな」・・・。植物画で有名な甲斐信枝さんの「ひがんばな」という絵本には、冒頭に何十もの俗称が書き連ねてあり、子どもたちはその名前を聞くだけで大喜びです。
 さて、そのヒガンバナは有毒植物として有名ですが、アルカロイド系の毒を含み、生食すると吐き気などの中毒症状をひき起こします。特に、強毒というわけではないのですが、球根の形状がサトイモに似ており、誤食の例が多いことから「毒の花」として言い伝えられています。しかし、実際はチューリップやヒヤシンス、スイセンの方が毒性は強く、これらの方が誤食すると命を落とす可能性もあるのです。有毒植物は、薬に用いられるものが多いのですが、このヒガンバナも球根をすりおろして布にくるみ患部の冷湿布にしたり、球根を日干しして去痰薬の製剤として使われたりもします。
 また、ヒガンバナは、他の植物と違った特徴を持っており、花が先に咲いて花後に、球根から葉っぱが出てきます。この葉っぱが、光合成をして根に養分を送り、球根はエネルギーを貯め、どんどん繁殖していく強さ・力を持っています。たとえば、球根を掘り上げて、地面の上に放っておくと、根が勝手に地面に食い込んでいき、球根を地面に引き込んでいく驚くべき力も備えているのです。

 秋の風物詩「ヒガンバナ・彼岸花」も、最近では身近に目にする機会が減りました。昔は、畦道や垣根によく植えられていたのですが・・・。
 しかし、聖和キャンパスには、昔の名残があってヒガンバナが植わっています。今年も子どもたちと観察し、話題に出して楽しんでみたいと思います。
 

(植物大好き園長:いずはら だい)