園長から「植物だより」(2012年6月)

せいわようちえん・植物だより

森林浴・フィトンチッド

 最近、森林浴という言葉をよく耳にしませんか?
「人は自然の一員」で、人は元々豊かな自然環境・森や草原に住んでいた生き物です。この100年ほどその身を文明環境におきすぎて、自然環境から離れた生活をしています。本来、森や草原に生きることが適している「人」にとって、文明環境に偏ることは不自然なことなのです。だから、現代病として、不安、イライラを募らせる人が増えています。
 森に入って、森の緑を見て、せせらぎや鳥の音を聞いて、自然物にふれて、森の木の実などを食べて、森の香りを感じて人は、心身の恒常性を保ちます。これが森林浴、人が一番うれしい・安定した状態になれる環境です。

そんな森林浴が語られる中、「フィトンチッド」※という言葉を聞いたことがありませんか?最近、芳香剤などでも「森の香り・フィトンチッド効果」などと書かれていたりします。このフィトンチッドというものは、森の中に入ると感じられる馥郁とした香りのことで、樹木は自分の身を周りの細菌などから守るために殺菌する成分を出すのです。これがあの香りの正体・フィトンチッドです。人は、このフィトンチッドを浴びると精神・心を安定させます。
聖和幼稚園の園庭は、フィトンチッドがたくさん出ている場所です。子どもたちは、あの木立の中で心に平安を覚えていきいきと遊んでいます。こんなことも少し考えて、子どもたちを緑いっぱいの環境においてあげたいものですね。

※フィトンチッド(英phytoncide)とは、もともとギリシャ語の“phyto”「植物」と“cide”「殺す」に由来しており、植物から放散される物質が植物を攻撃する微生物、細菌、昆虫などを殺す働きを指す造語である。このフィトンチッドは、1928年に旧ソ連のボリス・ペトロビッチ・トーキン(Boris Petrovich Tokin)によって発見され、当初は、スギ、ヒノキなどの針葉樹系から放散される植物性揮発油成分のα-ピネンが植物の自己防衛をするとともに、人間にも精神の安定に繋がる効果をもたらすという定義であった。しかし、神山、トーキン(1980)によると「すべての植物が産生する揮発性および非揮発性物質で、他の生物に影響を与えるもの」とその定義が広がっており、現在ではフィトンチッドの定義もより広義な意味で使われるようになっている。
 それでは、ここで現在広義な意味で捉えられているフィトンチッドの効果を整理し、以下に記すことにする。
 ○人間の心身に関係する効果
・副交感神経を刺激して精神を安定させ、解放感、ストレス解消に繋がる
・アレルギー性疾患の改善 ・皮膚病の改善  ・高血圧の抑制
・神経系の緩和 ・大脳皮質を活性化し調整力を高める
・肝機能の改善 ・快眠をもたらす ・自律神経の安定
・呼吸器系疾患の改善
 ○人間の生活に関係する効果 
・消臭、脱臭 ・防腐 ・殺菌(人体に影響を及ぼす病原菌にも有効)
・抗菌 ・防虫

        表   フィトンチッド 成分と働き

  成分        働き            その成分を含む植物
α-カジノ-ル    虫歯予防            ヒノキ
カンファー      清涼              クスノキ
シトラール      血圧低下、抗ヒスタミン作用   バラ
チモール       去痰、殺菌           タチジャコウソウ
テレピン油      去痰、利尿作用         マツ類
ヒノキチオール    抗菌作用、養毛         ヒバ、タイワンヒノキ、ネズコ
ボルネオール     眠気覚まし           トドマツ、エゾマツ
メントール      鎮痛、清涼           ハッカ
リモネン       コレステロール系胆石溶解    ローソンヒノキ

(出原 大2008 論文「幼児教育における植物環境の考察」より)

 

(植物大好き園長:いずはら だい)