園長から「植物だより」(2012年5月)

せいわようちえん・植物だより

ムクロジ

 「ムクロジ」という名前の木をご存知ですか?めずらしい木ですが、聖和幼稚園の園庭にこのムクロジの大きな木が植わっています。私が本園に勤めた25年前にはすでに幼木が植えてありました。先達の植物通の方が植えたのか、偶然に種から育ったのか?事情はわかりませんでしたが、小さい頃からこの木の実を遊びに使っていた私は喜んで見ていました。
 25年経ってあの幼木のムクロジが大木といえるほどに生長し、ここ数年たくさんの実を落とすようになりました。昨年は、ちょうど生り年だったようで、落ちた木の実を子どもたちとたくさん拾い集めたので、この春もこの実を存分使っていろいろな遊びを楽しんでいます。
 さて、その実を使っての遊びを紹介します。実は、こげ茶色のブヨブヨの果皮の中に黒くて、固く、丸い種が入っています。この黒い種は、羽根つきの羽根の先に付いている黒いもので固くてよく跳ねます。また、数珠やネックレスなどの装飾品にも使われているものです。だから、これを手にした子どもたちは、喜ばずにはいられません。ビー玉がわりに転がしたり、はり絵に使ったり・・・子どもたちはいろいろの遊びに使っています。
 そして、この実のこげ茶色の皮(果皮)も、泡が作れるという特徴があり、子どもたちの遊びに使っています。この皮には、サポニンという成分が入っており、水をかけて擦ったり、たくさんの皮をたらいなどに入れて水につけておき、ここに水を勢いよく入れると驚くぐらいに発泡します。昔は、この泡を用いて洗髪もしたとのことです。子どもたちは、この泡で「ソフトクリームみたい!」「せんたくごっこ!」などと喜んで遊んでいます。こんな遊びが楽しめるのも本園にこのムクロジの木があるからですね。
 かつて、兵庫県にもこの木は、たくさんあったそうです。しかし、この実が落ちて踏むと固い実で転びそうになったり、また、この実の匂いが酸っぱい香りがするという理由で、その多くが伐採されたようです。以前、本園でも目にした光景なのですが、子どもが、「わっ!くさい実みつけた!」と喜んでこのムクロジの実を実習生のところに持ってきました。知識と好奇心を持たなかったのか、その実習生はその子に「くさいね!これかぶれるかもよ!さわらんとき!」と言いました。その子どもは、その実習生の言葉を聞いて実を放り投げてしまいました(その後、私が対応しましたが)。
 大人が、どんな姿勢で自然に向き合うかが子どもたちに影響します。幼少期は人生で一番心を動かす時期です。子どもたちが、自然の中でいろいろな発見をしてきます。どうぞそんな子どもたちとともに心を動かす体験をしてください。これが人生の豊かさに繋がります。

 

(植物大好き園長:いずはら だい)