応用心理科学研究センター
K.G.
2026.05.01[研究活動・イベント]

第72回KG CAPSセミナー 5/14 平岡大樹先生(神戸女学院大学)

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講演者: 平岡大樹先生 (神戸女学院大学)

日 時:  2026年5月14日(木)16:50〜18:20

場 所:  関西学院大学西宮上ケ原キャンパス  F号館104教室

講演タイトル: 長期縦断調査と経験サンプリング法から迫る産後の養育者感情の動的変化:個人内プロセスの解明

要旨
産後の母親のメンタルヘルスにおいて,抑うつ症状や児への絆感情の障害は重要なリスク因子である。これまで,これらの関係性は個人間差を中心に検討されてきたが,近年は同一人物内の経時的変化を捉えることの重要性が指摘されている。特に,乳児の泣き声という進化的シグナルに対する養育者の感情的・神経生物学的な応答は,日々の感情のダイナミクスを駆動する重要な背景となっている。
本発表では主に,産後の養育者感情の動的変化に焦点を当てた2つの研究を紹介する。研究1では,数ヶ月間隔の長期縦断データを用い,絆感情と抑うつ症状の間に個人内での双方向的な関連があることを示した。
次に研究2では,よりミクロな時間スケールでの感情変化を捉えるため,経験サンプリング法を用いて各時点1日5回のデータ収集を行った。本研究では,産後2か月時点および8か月時点のデータに基づき,日内の感情間の関連性,その変動の長期的変化についての検討を行っている。
長期的なパネルデータと高頻度なESMデータによる調査を通じて,養育者感情の動的変化を定量的に評価するとともに,乳児の泣き声の処理メカニズムなど認知神経科学的知見との接続可能性についても触れ,その安定性や構造の変化が持つ意義,および今後の方向性について議論したい。