パイスター分子制御研究センター

[ 編集者:研究推進社会連携機構       2020年5月22日   更新  ]

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業:2015年度〜2019年度

本プロジェクトは光活性化を特徴とする未来型の物質変換技術を創出するため、「合成プロセス開拓・励起構造解析・機能性材料創製」の三分野を基幹研究として位置づけ、分野横断的な研究組織を構築することによって、上にあげた本学の特長・特色を相乗的に強化するものである。特に、三つの基幹研究に共通の課題である「パイスター分子制御」のため、トップレベルの学内の人的資産を最大限に活かし、これをダイナミックに相互交流させ、最先端の知識と技術の交換に基づく飛躍的な進歩をはかることによって、世界をリードする未来型の物質変換研究拠点を形成しようとするものである。

母体となる組織

パイスター分子制御研究センター

研究プロジェクト名

パイスター分子制御による未来型物質変換研究拠点

代表者

羽村 季之(理工学研究科 教授)

研究者

増尾 貞弘 (理工学研究科 教授)
森崎 泰弘 (理工学研究科 教授)
白川 英二 (理工学研究科 教授)
田和 圭子 (理工学研究科 教授)
小笠原 一禎(理工学研究科 教授)
関 修平  (大阪大学大学院工学研究科・教授)
河合 壯  (奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科・教授)
中山 健一 (山形大学大学院理工学研究科・准教授)
小畠 功久 (キシダ化学株式会社・執行役員、生産部長)

研究目的・特色

地球環境問題が顕在化している現代社会では、有限な化石燃料を用いた熱エネルギーや電気エネルギーによる“熱的”な分子活性化に依存した物質生産に代わり、すべての合成反応が常温・常圧で起こるような新たな分子活性化に基づく究極の合成プロセスの開拓が必要である。本研究では、太陽光を中心とする“光”活性化に基づいてパイスター分子(π*分子)を適切に発生させ、これを分子構造構築の切り札とする未来型の分子変換手法の開発を目的とする。これまで光を用いた合成法は種々開発されてきたが、そのほとんどが単純な分子構造の利用に終始し、汎用性の高い変換反応は熱反応に比べて圧倒的に少ない。これは、光反応の開発が反応様式の開拓に力点が置かれ、合成的有用性に関する視点に乏しいところに本質的な問題がある。高ひずみ構造の構築など本来、光活性化が得意とする素過程を化学エネルギーとして取り出すことができれば、これまで困難であった分子構造の構築を可能にする独創的な分子変換手法の開発が期待できる。合成プロセス開発・励起構造解析・機能性材料創製の分野で世界をリードする研究者がパイスター分子制御のために強力に相互交流し、研究拠点を形成することによって、多様な分子構造の創出と新機能の創発が可能となる。本研究の推進によって得られる知見は学術的に新しく、今後の物質科学の発展に大きく寄与するなど、その意義は極めて大きい。

期待される効果

光活性化によるパイスター分子の制御を基盤として熱的プロセスでは難しい、「化学エネルギー貯蔵」や「化学エネルギー伝搬」を駆使した独創的な分子変換法が編み出される。すべての合成反応が “常温・常圧”で進行するような究極の合成プロセスの開拓や通常ではアプローチが困難な分子構造の構築を通じて、新物性・新機能の開拓に繋がる様々なπ電子系分子供給の道が拓ける。また、分野横断型の材料創製研究により、電気的・光学的に優れた機能性材料創製が可能になる。具体的には、(1)太陽光エネルギーの化学エネルギーへの直接変換システムの開拓、(2)マルチ触媒システムの構築と自在分子変換法の開発、(3)励起構造解析技術の進歩と新しい分光法の開拓、(4)多様な分子構造の創出に基づく機能探索技術の革新、(5)励起構造や物質機能の理論的予測のための計算精度の向上や新しい計算手法の開拓、(6)高効率有機太陽電池、有機トランジスター、有機発光材料の創製、(7)企業との出口を見据えた連携による実用性を兼ね備えた物質科学の創発、である。

研究成果報告書PDFファイル   [ 139.8 MB ]