生物機能基材研究開発センター

[ 編集者:研究推進社会連携機構       2018年3月16日   更新  ]

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業:2012年度〜2016年度

生物による無機固体形成(バイオミネラリゼーション:以下BMと略)は、歯や骨の生成に見られるカルシウムの固体形成など、医学的には古くから知られた現象であるが、自然界全体を見渡すとBMを行う生物、原料、生成物は極めて多様であり、BMを基盤とした応用の可能性や方向は極めて高くかつ幅広いことが分かる。例として貝の歯舌、一部のバクテリアに見られるマグネタイトなど鉄を原料とするもの、好熱菌や一部の巻貝など硫黄フィルムや硫化鉄など金属複合体を生成するもの、或いは海綿、珪藻類などにみられる酸化ケイ素固体(バイオシリカ)形成するものなどが挙げられる。これらのBMでは自然水中に希釈された原料分子を効率的に取り込み、細胞内外において濃縮・固体化するが、この過程でナノスケールの微細構造自己組織化を伴うことも多く、BMは細胞と生体高分子の機能に裏打ちされたインテリジェントプロセスの究極例と言える。本プロジェクトでは、BM原理を理解し、その数理科学的な理論化をおこない、BMを制御する技術基盤とこれに必要な基礎知見・解析法の深化・精密化をはかることにより、機能性基盤・基材を創成するための技術開発をおこなう。

母体となる組織

生物機能基材研究開発センター

研究プロジェクト名

特殊生物の自己組織化能を利用した新規機能基材の開発

代表者

松田 祐介(理工学研究科 教授)

研究者

金子 忠昭(理工学研究科 教授)
藤原 伸介(理工学研究科 教授)
大崎 浩一(理工学研究科 准教授)
平井 洋平(理工学研究科 教授)
田中 克典(理工学研究科 教授)
今岡 進 (理工学研究科 教授)
佐藤 英俊(理工学研究科 准教授)
増尾 貞弘(理工学研究科 准教授)
Peter G. Kroth (ドイツ コンスタンツ大学 教授)
Chris Bowler(フランス パリ高等師範学校 教授)
Nils Kröger(ドイツ ドレスデン工科大学)
跡見 晴幸(京都大学大学院工学研究科 教授)

研究目的・特色

生物は様々な精密構造固体を自己組織化によって形成することができ、次世代の機能素材開発技術にその機能の有効利用が期待されている。本研究の目的は、生物による無機固体形成作用(バイオミネラリゼーション:BM)を制御する基盤技術の確立および様々な機能基材・機能素子の開発である。珪藻類細胞をモデルとして位置付け、BMとその作用による精密構造形成原理を理解し、これを利用する技術開発を行う。珪藻は細胞壁としてケイ酸固体を自己組織化するという特異稀で高次元な能力を持ち、細胞に外来遺伝子導入が可能なモデル生物である。本研究の意義は、数理科学、表面プロセス物理、物理化学、細胞生物・生化学など分野横断的にこの課題に取り組み、本学を珪藻による機能素材研究開発の日本における研究拠点に発展させることである。

期待される効果

本研究により以下の成果が期待される。自己組織化バイオ基板の創成を目指すことで、常温における構造自己組織化理論の構築、これに基づく新規電子・光学材料、機能埋め込み型素子等の開発、および様々なBM利用に応用可能な基盤技術確立が期待できる。また、表面提示シリカ基材の作製により、珪藻を用いて安価・安定的に繰り返し生産可能な医療、創薬、環境浄化、発酵工業、エネルギー産業等に有用な生物機能基材の開発が期待され、環境保全に対する技術的貢献も見込まれる。一方、微細構造解析技術のブレークスルーを目指すことにより、様々な自己組織化利用に資する分析技術の分野横断的な集約と精密構造観察技術の醸成が見込まれる。さらに、珪藻は地球環境科学やバイオ燃料開発など、様々なグリーンイノベーションに資する細胞としても注目を集める。珪藻細胞の高度ツール化を目指すことにより、これら諸分野にも新たな原理と方法論の提供が期待される。

研究成果報告書PDFファイル   [ 886.97KB ]