機能性ナノ単一サイズ有機分子創製センター

[ 編集者:研究推進社会連携機構       2015年7月10日   更新  ]

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業:2013年度〜2017年度

物質をナノメートルのサイズにすることで現れる、新しい現象や機能に期待が持たれている。ナノサイズ化では、機械、電子系の分野では、そこまで「小さくする」努力をする。一方、化学系では逆で、原子や分子を正確に組み立ててナノサイズへと「大きくする」。フラーレンなどの有機ポリマーは容易にナノサイズに達し、様々な応用研究が進行している。しかし、ポリマーには分子量や形状に分布がある。ナノサイズに達した有機分子の性質を基礎から理解しようとすると、単一サイズ=単一分子量の分子が欲しくなる。しかし、このサイズになると、入手できる化合物は非常に少ない。理由は明らかで、ナノサイズは現在の有機合成化学には「大きすぎて」、その合成法が乏しいからである。

本研究では、新しい現象や機能が期待されるものの、合成的供給が難しいナノ単一サイズ有機分子の合成方法論の開発、測定・解析法の開発、及び、機能開拓を目的とする。有機合成化学を専門とする研究者と解析法を専門とする研究者が協力して、ナノ単一サイズ有機分子の合成法と合成した分子の構造決定法を開拓する。また、合成し構造を明らかにした化合物を、様々な分野の研究者に機能探索・解明の研究材料として供給する。これらの研究を通して、新しい学術的知見を得、科学発展への寄与に努めたい。

母体となる組織

機能性ナノ単一サイズ有機分子創製センター

研究プロジェクト名

機能性ナノ単一サイズ有機分子創製研究

代表者

山田 英俊(理工学研究科 教授)

研究者

羽村 季之(理工学研究科 教授)
田辺 陽 (理工学研究科 教授)
畠山 琢次(理工学研究科 准教授)
山口 宏 (理工学研究科 教授)
金子 忠昭(理工学研究科 教授)
栗田 厚 (理工学研究科 教授)
大谷 清 (理工学研究科 教授)
中山 健一(山形大学大学院理工学研究科 准教授)
Dulce PAPY-Garcia(Universite Paris XII Profeßor)
伊東 秀之(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 准教授)
島本 啓子(サントリー生命科学財団生物有機科学研究所 研究員)

研究目的・特色

本研究の目的は、新しい機能の宝庫と目されるナノ単一サイズ有機分子の合成方法論の開発、測定・解析法の開発、及び、機能開拓を行うことであり、以下のような特色がある。

(1) 独自性=ナノ単一サイズ有機分子は、合成法の欠如のため構造解析や機能評価を適切に行う手法が確立されていない、未開拓の分野である。

(2) 柔軟性=有機合成化学が基軸であるため、柔軟な分子設計と構築が可能である。

(3) 二つの視座=ナノ単一サイズ有機分子の設計には、有機合成班メンバーの実績のある分野、すなわち天然有機分子および人工分子であるπ電子系分子をモチーフとする。

 ①天然有機分子をモチーフ:柔軟な糖の構造や剛直なポリフェノールの構造を分子設計に活か
  し、生理学的機能の発現を目指す。

 ②人工分子をモチーフ:多様なπ電子系分子の特徴的な電子構造を活かし、有機太陽電池・EL
  をはじめ、有機フォトニクス・エレクトロニクス材料の創製を目指す。
(4) 機能探索=ナノ単一サイズ有機分子に新機能を付与する「分子進化」を並行する。分子進化は、構造解析班・機能探索班からのフィードバックを基にした分子再設計、合成、構造解析・機能探索の繰り返しである。探索された機能によって進化の方向に柔軟性を持たせる。

期待される効果

本研究により以下の5つの効果が期待される。

(1)構築が難しかったナノサイズの有機分子を、三次元空間を精密に制御して合成できる革新的な有機合成方法論の開発。

(2)小分子や高分子にない、ナノ単一サイズ有機分子独自の大きさと形状に基づく新しい物性と新機能発現。

(3)複数の機能を同一分子内に付与したナノ単一サイズ有機分子の合理的な設計指針の獲得とハイブリッド材料の創製。

(4)ナノサイズ空間の立体構造解明に関する精密解析法の開発。

(5)有機合成、構造解析、機能探索の研究サイクル循環による、ナノ単一サイズ有機分子の進化と機能発現の理解に基づく学術的価値の創出。また、関連する研究領域への波及効果。