2014.4.4 第68回入学式式辞「今を誠実に輝いて」

[ 2014年4月4日 更新 ]

2014年4月4日  中学部長 安田栄三

中学部長 安田栄三
 おはようございます。新入生の皆さん、関西学院中学部入学おめでとうございます。
 今は、しっかりと返事をしてくれて、嬉しく思います。今からの話を心で聞いてほしい。
 人の目を見て、心で話を聴くことを、生涯大切にしてください。

 中学部の正門を入ると、校舎の前に少年像があるのに気づいただろうか。
 少年の名は白木真寿夫。1933年4月1日、 旧制中学の五年生であった白木君は、東京からやってきた大学生のいとこと須磨の海岸でボートに乗った。二人は海岸から沖へ漕ぎ出して行ったが、不幸にも通行する汽船の横波と突風を受け、いとこは海に放り出されてしまった。
 大学生のいとこは泳ぐことができない。それを見た白木君は、制服のまま海に飛び込み、いとこを後ろから抱えつつ、海岸で見ていたお姉さんの連絡により助けに近づいた船にいとこをまかせると、自分は力尽きて海中に沈んでしまった。
 4月1日といえば、まだ寒い中、冷たい海につかって体の大きいいとこを抱えて泳ぐことが、どんなに苦しかったか君たちにはわかるでしょう。白木君はついに海底に沈んだまま上がってこなかった。
 白木君のご両親は、悲しみの中にも、ご自分の息子がこのような美しい関西学院精神を発揮したことを記念し、関西学院に桜の木を植えられた、人はこれを白木桜と呼んでいます。この桜は毎年美しい花を咲かせ、自分の命と引き換えにいとこの命を救った白木君の美しい精神を讃えているかのようです。
 みんなは、一人一人の命を大切にしてほしい。ご両親から、神様から授かった大切な命を、そしてここに集う他の仲間の命も自分の命と同じように大切なものであるというあたりまえのことを、しっかりわきまえておいてほしい。だからこそ、白木少年は自分の命を掛けていとこを救うことができたのです。

 みんなの書いてくれた感想文を読ませていただきました。
 「勉強を頑張れたのは、おいしいご飯を作ってくれた母と祖母や、仕事でどれだけ遅く帰ってきても勉強を見てくれた父のおかげだと思います。私は、1点、2点の差で不合格になった人がいると聞き、目の前で泣きながら帰っていく人を思い出しました。そんな中で自分が合格し、関西学院という新たな環境で活躍する場を頂けたということをしっかり受け止めて、ここから前進してゆけるように頑張りたいです。」
 「私は小さいころから読書が好きで、読んだ本の数は数千冊にのぼります。4年生からは自分で小説を書き始めました。中学生になったら、それぞれの専門の先生が私の実力を伸ばしてくださると信じています。」
 「先輩のように美しい笑顔ができる、自分から進んで物事を行うことができる、そんな美しい人間になって今まで支えてくれた方々全員にお礼ができるようになりたいです。」
 どうか、今の新鮮な気持ちと感謝の心を、生涯大事にしてください。
第68回入学式
 
 「あすという日が」この曲は、2011年の東日本大震災の年、仙台市の八軒中学校の生徒たちが歌い、全国に広がった歌。生徒たちが考えたこと、それは、復興を祈って、歌で人を励ますこと。
 中学生の純粋な歌声が、苦しんでいる多くの人に生きる希望を与え続けた。中学部では、歌声を大切にしています。歌は人に勇気を与えます。大きな声で歌うことを、みんなの誇りにしてください。

 中学部では「あいうえお」という言葉を大事にしています。
  →挨拶とは相手の存在を認め、心を開くこと。まずは自分から相手の目を見て、大きな声で、笑顔でできるように。挨拶は人を幸せにします。
  →祈り 人のことを大事に想う。
  →歌声を伝統として受け継いでほしい。
  →笑顔は世界共通の言葉。
  →思いやりの心を大切に。さりげない優しさのあふれる学校にしよう。

 関学は派手な学校ではない。質素な生活を心がけよう。
 電車通学になる子も多いと思う。3年間、バスや電車の中で絶対に座らない、その誓いを守り続けた先輩もいた。自分から気持ちよく人に席を譲れる関学生になろう。
 制服に誇りを持とう。
 たくさん本を読もう。読書は自分を成長させてくれる。
 駆け足も頑張ろう。僕も一緒に走る。
 毎朝きみたちに挨拶する。挨拶と返事がしっかりできる人間になろう。
 たとえ苦しいことがあっても弱音を吐くな。希望を持って、立ちはだかる壁を乗り越えてゆける人間になろう!
 125年前に種がまかれて、小さな教室から始まった関西学院の教育、「感謝・祈り・練達」そして、マスタリーフォアサーヴィスを合言葉にしたこの学院で、感謝の気持ちと謙虚さを忘れず、本気で心と体を鍛え、やがては人のために尽くせる人間になれるよう、人の痛みのわかる美しい心を大切にしてください。

 保護者の皆様、本日は、本当におめでとうございます。
 我々教職員は、皆さんとの出会いを感謝し、かけがえのない魂を持つ生徒たちと一緒に成長してゆきたいと思います。 
 共に学ぶ子どもたちを、関学の子として見守ってあげてください。保護者の方にとっても、お互い一生の付き合いになります。素晴らしい出会いを大事になさってください。
 今日という、神様が下さった新しいスタートラインを、今ここに集う関西学院の仲間全員で大切にしたいと願います。本日は、本当におめでとうございます。