2013.12.20 関西学院中学部通信 第102号「クリスマスを迎えて」

[ 2013年12月20日 更新 ]

2014年2月1日  中学部長 安田栄三

中学部長 安田栄三
 2013年も終わりに近づきました。様々な場面での生徒たちの姿に、今学期もいろいろとたくさんのことを教えられた毎日でした。私はできるだけ電車で通勤しています。そうすると、中学部の生徒たちの、車内での様子がわかります。後ろからでも挨拶をしてくれる子、時には文庫本を取り出して、読書を始める生徒たちの姿を見ていると、微笑ましく感じます。先日、宝塚の駅を降りた時に、ある女性の方がバランスを失われて、ハンドバックの中身がホームに散らばりました。そこへ中学部の女子生徒がすぐに駆け寄り、落としたものを丁寧に拾ってあげていました。何気ない彼女の行動に、私も嬉しくなりました。女性の方は、何度もお礼を仰っておられました。
 宗教部、文化部、そして各クラスが一生懸命に準備し取り組んでくれた文化祭、合唱コンクールは勿論、ステージや美術展、クラス展はじめ、本当に見ごたえのあるものとなり、中学部生の若々しい力を感じることができました。清掃や道具貸し出しなど他、見えないところで力を尽くしてくれた生徒たちにも改めて感謝したいと思います。
 また、多くの実績を残してくれた三年生の運動部の最後を飾り、タッチフットボール部は七年ぶりの甲子園ボウルの優勝を果たしてくれました。彼らの試合を見ていると、リードしても決して一喜一憂しない、心をしっかりと定めた試合ぶりに感動を覚え、また常に試合後、すぐにスタンドのごみ拾いに走る生徒たちの姿には、感銘を受けました。同日、神戸で行われた私学連合音楽会での吹奏楽部の演奏も立派でした。また、毎日の駆け足では、足の痛みを押して、真っ先に走り始める生徒がいます。みんなのために、毎日早く行って礼拝堂の扉を開けてくれる子、放課後、体育館やグラウンドから響き渡る挨拶の声、クリスマス礼拝のため八十人を超えて集まってくれた聖歌隊。礼拝後、床に落ちた蝋燭の蝋をとるために、黙々と奉仕してくれた有志の生徒たち、その一つ一つの場面に、私は本当に頭の下がる思いでいます。
 クリスマスを迎えるたびに、私の脳裏には、苦労して卒業して行った教え子たちの姿が浮かびます。ある生徒は、中学一年生の春休みに父親を急性心不全で亡くしました。前の夜、いつも通り「おやすみなさい」の挨拶をしていたのに……。一時は経済的な理由から公立への転向を考えていましたが、「お父さんは、あなたたちがせっかく入学した私学で頑張っている姿をいつも楽しみにしていたのよ」との母親の言葉に支えられ、家族で懸命に節約をしながら無事学校を卒業し、今は立派に社会人として働いています。いつも、どんな時も笑顔を絶やさずに、友人と共に学校生活を頑張っていたその子の姿を、私は忘れることはありません。
 中学部でも「感謝」という言葉をよく使いますが、今いる自分の境遇と、自分を支えてくれている周囲の人に、心からの感謝を忘れない人こそが、真の関学生だと思います。かけがえのない命、自分にしかできない役割が必ずある、そう信じて、自分を大切に、周囲の人のために何ができるかを常に考えて、希望に満ちた青春時代を過ごしてほしいと願います。自分が学んできたこと、心で感じてきたこと、苦労してきたこと、涙してきたこと、そのすべてが刻み込まれた自分の足跡を、大事にしてほしい。そして今年も良きクリスマスを迎えてください。神様がいつもみんなの傍にいてくださいますように、心からお祈りしています。