第67回入学式式辞「今を誠実に輝いて」

[ 2013年4月4日 更新 ]

2013年4月4日  中学部長 安田栄三

中学部長 安田栄三
 おはようございます。新入生の皆さん、関西学院中学部入学おめでとうございます。
 今は、しっかりと返事をしてくれて、嬉しく思う。今からの話を心で聞いてほしい。人の目を見て、心で話を聴くことを、生涯大切にしてください。

 中学部の正門を入ると、校舎の前に少年像があるのに気づいただろうか。
 少年の名は白木真寿夫。1933年4月1日、 旧制中学の五年生であった白木君は、東京からやってきた大学生のいとこと須磨の海岸でボートに乗った。二人は海岸から沖へ漕ぎ出して行ったが、不幸にも通行する汽船の横波と突風を受け、いとこは海に放り出されてしまった。
 大学生のいとこは泳ぐことができない。それを見た白木君は、制服のまま海に飛び込み、いとこを後ろから抱えつつ、海岸で見ていたお姉さんの連絡により助けに近づいた船にいとこをまかせると、自分は力尽きて海中に沈んでしまった。
 4月1日といえば、まだ寒い気候の中、海中につかって体の大きいいとこを抱えて泳ぐことが、どんなに苦しかったか君たちにはわかるでしょう。白木君はついに海底に沈んだまま上がってこなかった。
白木君
 白木君のご両親は、悲しみの中にも、ご自分の息子がこのような美しい関西学院精神を発揮したことを記念し、関西学院に桜の木を植えられた、人はこれを白木桜と呼んでいます。この桜は毎年美しい花を咲かせ、自分の命と引き換えにいとこの命を救った白木君の美しい精神を讃えているようです。

 北海道では、この三月の猛吹雪の中、9歳の女の子に自ら覆いかぶさって身体を温め、自分の命と引き換えに娘の命を守った父親がおられた。残された女の子は、10日前に退院し、今、多くの人の励ましを受けて歩き出そうとしている。

 みんなは、一人一人の命を大切にしてほしい。ご両親から、神様から授かった大切な命を、そしてここに集う他の仲間の命も自分の命と同じように大切なものであるというあたりまえのことを、しっかりわきまえておいてほしい。それがわかっていたからこそ、白木少年は自分の命を掛けていとこを救うことができたのだ。間違っても、一生懸命頑張っている人の心を踏みにじるような人間になってはいけない。

 みんなの書いてくれた合格感想文を読ませていただきました。
 「今回の合格は、決して私一人で勝ち取ったわけではない。私を支えてくださった家族や先生みんなで勝ち取った合格。何かお礼しようと思うけど、塾代を返すにも長い年月がかかるし・・・私は考えてある答えにたどりつきました。それは、私が楽しく関西学院で生活することで、家族に安心感や喜びを与えられるのではないかということです。先輩のように美しい笑顔ができる、自分から進んで物事を行うことができる、そんな美しい人間になって今まで支えてくれた方々全員にお礼ができるように、この合格を無駄にしないように関西学院で努めていきたいです」

 「いっしょに関学を受けた友達全員が合格したわけではありません。自分だけが笑ってよいものかと悩みましたが、その気持ちを母に伝えると『その子の分まで頑張りなさい』と言われました。なので、自分は合格できなかった人の思いも背負っているんだという気持ちで頑張ろうと思います」
 どうか、今の新鮮な気持ちと感謝の心を、生涯大事にしてください。
第67回入学式
 中学部では「あいうえお」という言葉を大事にしています。
  →挨拶と返事が響き渡る学校。挨拶とは相手の存在を認め、相手に対して心を開くこと。まずは自分から相手の目を見て、大きな声で、笑顔でできるように。挨拶は人を幸せにします。
  →祈り 友だちのこと、他者のことを大事に想う。
  →大きな歌声を伝統として受け継いでほしい。
  →笑顔で生活しよう。 笑顔は世界共通の言葉。
  →思いやりの心を大切に。感謝の心をいつも大事にし、そこから自然と生まれるさりげない優しさのあふれる学校にしよう。

 関学は派手な学校ではない。質素な生活を心がけよう。人間としての内側から輝く中身で勝負しよう。
 電車通学になる子も多いと思う。3年間、バスや電車の中で絶対に座らない、その誓いを守り続けたみんなの先輩もいた。せめて、気持ちよく人に席を譲れる関学生になろう。
 制服に誇りを持とう。みんなの先輩が心を込めて作ってくださっている制服だ。
 たくさん本を読もう。読書は必ず自分を成長させてくれる。
 駆け足も頑張ろう。僕も一緒に走る。毎朝、きみたちに挨拶する。挨拶と返事がしっかりできる人間になろう。
 たとえ苦しいことがあっても弱音を吐くな。希望を持って、立ちはだかる壁を乗り越えてゆける強い人間になろう!人に偉そうにものを言う人間や、人の陰口を言う様な人間になってはいけない。
第67回入学式
 「明日に夢を持とう 今を誠実に輝いて生きよう」
 124年前に種がまかれて、小さな教室から始まった関西学院の教育、「感謝・祈り・練達」、そして、マスタリーフォアサーヴィスを合言葉にしたこの学院で、どんなときも感謝の気持ちを大事にできること、謙虚さを忘れないこと、友のために祈る心、本気で学び、本気で心と体を鍛え、やがては人のために尽くせる人間になるために、人の痛みのわかる美しい心を大切にしてください。希望にあふれた君たちの未来に向かって、大きな夢を持って関西学院から羽ばたいてほしい。

 保護者の皆様、本日は、本当におめでとうございます。
 我々教職員は、皆さんや生徒諸君との出会いを感謝し、かけがえのない魂を持つ生徒たちと一緒に成長してゆきたいと思います。
 共に学ぶ子どもたちを、関学の子として見守ってあげてください。保護者の方にとっても、お互い一生の付き合いになります。素晴らしい出会いを大事になさってください。
 今日という、神様が下さった新しいスタートラインを、今ここに集う関西学院の仲間全員で大切にしたいと願います。本日は、本当におめでとうございます。