リサーチコンペ 2017年度

[ 編集者:先端社会研究所   2018年5月9日 更新 ]

2017年度先端社会研究所リサーチコンペ採択者による成果報告書

先端研リサーチコンペ2017年度採択者4名より提出された成果報告の概要は、以下の通りです。

母国で出産した外国人に対する母子保健研究―多文化ソーシャルワーク領域におけるアクションリサーチを通して

西原 雅子

1.研究成果(経過)および2.発表論文、学会発表等

 本研究では、多文化ソーシャルワーク領域において脆弱性の高い外国人母子に着目し、母国で出産した外国人女性が日本での生活においてどのような育児を行い、日本の制度を活用しているかについて明らかにした上で、行政に対し母国で出産した外国人の実態を訴え、アドボカシー活動を行うことを目的に進められた。研究手法としてCBPR(コミュニティを基盤とした参加型リサーチ)を用い、研究成果を活用しニーズに対応したサービス設置を訴えるアドボカシー活動の展開を目指す。対象者は関西圏在住で、母国で出産を目的に一時帰国し、日本で育児経験のある外国人女性とした。研究は、半構造化面接法を用いたインタビューによりデータを収集した。日本語によるインタビューが困難な場合は、面接場面に通訳を導入した。分析は、録音したインタビュー内容を逐語録に起こし、各対象者の妊娠・出産の様子、帰国後の子育て、母子保健サービスの利用、子育てのニーズを語っている部分を抽出しコード化する。コードの意味内容から類似性のあるものを集めてカテゴリーに分類した。研究の信頼性と妥当性の確保のために、データ収集および分析過程においてスーパービジョンを受けた。
 インタビュー調査では、大阪府近郊の外国人支援団体や教会などに調査依頼をし、インタビュー調査を実施した。インタビュー調査では、韓国、台湾、フィリピン、タイ出身の対象者11名に協力していただいた。インタビュー時間は1時間から2時間程度であった。半構造化面接法を用い、母国で出産した要因、帰国後の子育て、母子保健制度の利用、必要と考えられるニーズに着目し聞き取り調査を行った。これらのインタビュー調査から得られたデータに対して、質的な分析を行い、カテゴリー分類した結果、【コミュニケーション】【文化】【制度】【子育てサポート】【情報収集】【連絡手段】が示された。これまでの分析から、母国で出産しようと考えた要因や、帰国後の子育てについて明らかにし、外国人の子育て支援のあり方について考察し、検討を行った。
 母子保健調査全体の研究課題としては、外国人母親が母子保健サービスを利用する際に情報を得にくいといった課題や、保健師や医療従事者とうまくコミュニケーションがとれないといった課題、現場の保健師も外国人への対応経験に困っているという課題が明らかになった。そこから、外国人母親は国籍に関わらず、それぞれに不安や困難を抱えていることが示された。外国人母親は母国との文化の違い、制度の違いを感じながら、日本で出産するか母国で出産するか悩んでいた。外国人母子の対応経験のある保健師も同様に様々な場面でうまく伝えられないなどの困難を感じており、日本で子育てをする外国人母親に対しては、多言語整備や通訳、理解できる言葉での情報提供が必要であると考えられる。保健師の日本語での説明が外国人母親に伝わっていないことがあった。外国人母親に十分な理解を得るためには、通訳による説明が必要である。また、言葉が通じないだけでなく、保健師が夫や家族に向かって話をするため、それが結果的に母親に伝わらないこともある。このように調査を通して、外国人母親自身が理解できる言葉で書かれた子育てサービスについて説明しているものの必要性が明確となった。そのため、母子保健調査におけるアクションリサーチでは、外国人母子が日本で安心して育児が出来るように、手当てや日本の子育てサポート制度を紹介し、妊娠から育児までサポートを行う専門職である保健師・助産師についても紹介する多言語パンフレット『日本で出産・子育てする外国人親のみなさんへ』を作成し、外国人の妊婦のために配布する予定である。

郊外住宅地再編へ向けた拠点性の再考―拠点機能立地の変遷と居住者の生活行動実態分析から:三木市緑が丘町・志染町青山地区を対象に

青木 嵩

1.研究成果(経過)

本研究は、人口減少ならびに高齢化が進む郊外住宅地の在り方を、それら住宅地が備えるべき生活拠点の施設と機能の立地に着目し検討する。研究対象地域は、兵庫県三木市緑が丘町地区・志染町青山地区を取り上げ、戦後および高度経済成長期に画一的に開発された郊外住宅地が、人口減少社会において変化してきた居住者ニーズに即した再編の方法を、その地域における生活拠点施設・機能の変遷と居住者の生活行動実態から分析を行う。具体的には、1)各種施設の変遷から地域内での施設と機能の集約/分散傾向を把握し、2)家族構成などの属性の違いから居住者を分類して、生活行動実態とニーズを整理した後、それら二点から郊外住宅地の在り方を考察する。
2018年3月末時点で一通りの調査は終わっており、自身の修士論文としてまとめている。
実施した調査事項は下記のとおりである。

1)各種施設の変遷から地域内での施設と機能の集約/分散傾向把握
・ゼンリン住宅地図を用いて住宅地の開発期当初からの変化を追い、人口減少がはじまる1995年以降の20年間の立地変遷を施設の種類別、立地地点別で集計・分析
・地域内における同種の施設郡の集約性と分散性をGISを用いて数値化し人口減少課程における変化をまとめる
2)家族構成などの属性の違いから居住者を分類して、生活行動実態とニーズを整理
・地元自治会との兼ね合いで緑が丘町地区のみアンケートを全戸配布
・それらアンケートの回答結果を元に住民の属性別で地域内外の利用傾向を整理・分析

2.発表論文、学会発表等

本研究の結果は修士論文のみでなく建築学会の2018年度全国大会でも2編に分けて発表予定
また寄稿論文のページの制限もあり施設変遷とアンケート調査にそれぞれに分けて本年度中に寄稿予定
 

死と死別に関する新しい文化としての「遺品整理」と専門業種に関する社会学的研究

藤井 亮佑

1.研究成果(経過)

 採択以後、まず文献研究として、主に遺品整理業者が出版する書籍、また遺品整理業が取り上げられている(その他遺品の処理が登場する)ものの収集・分析を行った。その結果、遺品整理を専門とする業者「A」による新書が2006年に登場するのを契機に、関連書籍が現れ始めていた。そして、遺品整理業と名乗る業者は、まずリサイクル品回収業、廃棄物産業などモノの処理能力を持つ業者らから現れたことがわかった。2011年には「遺品整理士認定協会」による遺品整理という技術の資格化がみられ始めるが、このころより廃棄物処理業者、リサイクル産業の関係者ではなくとも、法的な効力はないが資格をうたい、事業を立ち上げる事が可能となっている。この資格化にみるように、廃棄物処理業者が独占していた物理的な遺品処理能力よりも、むしろ家の中にたちいった遺品整理作業技術の特殊化が進んでいることがわかった。その後の展開としては、法的な遺品の処理に関する解説書のみならず、ドラマ、映画等に遺品整理業に登場しはじめ、マスメディアにも題材として取り上げられていることがわかった。
 また、遺品整理業者「A」へのフィールドワークからの検討も行った。「A」代表のT氏から遺品整理の現場に立ち会うときについて言及されたことの一つが、遺品に所有者の「生き様」が見えるということだった。「A」の会社倉庫には、行き場をなくし引き取られてきた遺品の家財道具が並んでいた。これらの回収された使い古された形跡のある遺品の様子からは、もはや特定はできないが、かつての所有者の生活が示されている。そして、「A」では遺族に継承されることのないこうした遺品をただ廃棄物として処分するだけではなく、供養する場所として自社に祭壇を設けていたことが観察された。これを検討するに、遺品に見出される死者を遺品自体とともに片付けるのが遺品整理であり、それが遺品整理業の期待される役割であることがわかった。
 今後の課題として、遺品整理業の登場に見るような遺品の処理の商品化により、遺族間での無償の遺品整理が行われなくなることの問題について理論的な検討を進めていきたい。

2.発表論文、学会発表等

FUJII, Ryosuke, “Dealing with the Dead’s Possessions: A Case Study of “Memento Disposition” Business in Japan”, Postgraduate Conference in Japanese Studies 2017, The University of Melbourne, August 2017.
藤井亮佑,「所有物と死――なぜ遺品整理業は登場したのか」第90回日本社会学会大会一般研究報告I,東京大学,2017年11月.

多言語と多民族台湾社会の言語に見る共生の有り方―家庭内における多言語の語り合いの事例より

齋藤 幸世

1.研究成果(経過)

 本研究は、申請者自身のかつての台湾現地での生活の中で、3世代家族で複数言語が飛び交い、通じ合っている光景が研究の動機付けとなり、現代の多言語・多民族の台湾社会において、例え家族や親族間でも、個々の使用言語が異なりながら会話が成り立っている状況に着目した。そこで、家族や親族間の成員における言語の種類を問い直し、台湾社会の中で、特に台湾の3世代家族の日常の語り合いの事例を通して、多言語を共有しながら共生している家族の有り様を明らかにすることを目的として進めることとなった。 そこで、この目的を達成するため、2017年9月及び12月台湾に直接赴くにあたり、事前に現地の知人や言語や民族の研究者などに協力を仰ぎ、対象家族の使用言語の組み合わせや居住地域の偏りを考慮しつつ選択した。そして、現地でのフィールド調査として参与観察とインタビューを実施し、対象者の承諾の下撮影も可能となった。ちなみに、アポイントや研究の説明及びインタビューなどは、申請者自身が現地の言語である中国語や台語(閩南語)を使用し、通訳なしで実施したことで、対象者の生の声と微妙なニュアンスなどを直接感じ取りながら、調査することも可能となり、申請者の研究にとっての独自性が増したと考えられる。
 今回のフィールド調査の内訳として、渡航1回目(9月19~24日)及び渡航2回目(12月7~12日)の期間中、参与観察7件・インタビュー14件・視察5箇所を実施した。この観察対象者は結果的に、異なるエスニック・グループ(①外省人②本省人③客家人④16先住民)、異なる居住地域(台湾北部から南部:台北市・新北市・中壢市・苗栗県・高雄市)、異なる条件(年齢・職種・教育水準・経済状況・生活環境・階層)となった。また、インタビュー対象者は、言語や民族が専門の大学院、大学、小中学校、幼児所(幼稚園と託児所が合体)教員、大学院生と大学生、言語研究者、伝統文化継承者、参与観察対象者である。そして、視察先は、主に現地で昨今特に著しく活動している客家民族関連施設(博物館・民族館・文化館など)である。
 これらのフィールド調査を終えて、実際に得た撮影やインタビューのデータ分析を既に開始し、まとめの作業に入っている。現時点で、そこから明確になった内容として、まず、参与観察対象者の各々の年齢層、階層、職種、居住環境なども異なり、その家庭内外の教育や地域環境が与える家庭内での言語使用の差異も浮き彫りとなった。例え、同じ民族の家庭であっても顕著な差異が見られた。しかし、今回の観察の着目点としているコードスイッチングについては、彼ら自身無意識や習慣による使い分けのルールと解釈しているが、実際には彼ら自身も気付いていない要因があるかも知れない。そこで、目下撮影記録をテープ起こしし、その会話から言語の使い分けのタイミングをさらに読み解くことを試みている。

2.発表論文、学会発表等

2018年12月開催予定の台湾史研究会と台湾歴史学会との共催の日本台湾学会関西部会で報告し、台湾史研究会の機関誌『現代台湾研究』及び先端社会研究紀要に投稿する予定である。

2017年度先端社会研究所リサーチコンペ採択者の研究計画要旨および審査講評

採択者による研究計画要旨と審査の講評は、以下の通りです。

母国で出産した外国人に対する母子保健研究―多文化ソーシャルワーク領域におけるアクションリサーチを通して

西原雅子(人間福祉研究科)

研究概要

 本研究は、多文化ソーシャルワーク領域において脆弱性の高い外国人母子に着目し、「母国で出産した外国人女性が日本での生活においてどのような育児を行い、日本の制度を活用しているのか、また脆弱性の高い外国人母子に対する多文化ソーシャルワーク支援とは何か」について明らかにした上で、行政に母国で出産した外国人の実態を訴え、アドボカシー活動を行うことを目的とする。研究手法としてCBPR(Community-based participatory research=コミュニティを基盤とした参加型リサーチ)を用い、研究成果を活用したニーズに対応したサービス設置を訴えるアドボカシー活動の展開を目指す。
 近年、外国人の定住化・長期化に伴い、多様な外国人への対応が必要不可欠となっており、特に母子保健・医療の分野では重要な課題となっている。日本に在住する外国人は言葉や文化等の違いから医療・保健上ハイリスクグループにあり、その母子保健指標(周産期死亡率・乳児死亡率など)は日本人に比べ高いことが明らかにされている。
 出産を目的に母国に帰国し、出産後日本で育児を行う外国人女性の課題やニーズと日本で出産した外国人女性のものと比較・分析し、そこから外国人の母子保健領域に求められるニーズについて提言を行う。

講評

先行研究において深く研究されていなかった「母国に一時帰国して出産した経験を持つ外国人」を対象とした聞き取り調査から、日本における外国にルーツを持つ人々の抱える課題を明らかにし、当事者との協働による支援体制の整備、改善を目指すという研究目標は具体的であり、アドボカシー活動を通じた実践的意義を強調する点も興味深い。文化的多様性を尊重する社会の構築という本公募の目標に照らして一定の成果が期待できるが、他方で「外国人」といったコア概念に関する考察が不足していることや、対象者の選定方法を再検討すべきとの意見もあった。結論や実践を性急に求めるのではなく、調査からしか見えてこないことを大事にして研究を続けてもらいたい。

郊外住宅地再編へ向けた拠点性の再考―拠点機能と立地の変遷と居住者の生活行動実態の分析から:三木市緑が丘町・志染町青山地区を対象に

青木 嵩(総合政策研究科)

研究概要

 本研究は、人口減少ならびに高齢化が進む郊外住宅地の在り方を、それら住宅地が備えるべき生活拠点の施設と機能の立地に着目し検討する。研究対象地域は、兵庫県三木市緑が丘町地区・志染町青山地区を取り上げる。
 これら住宅地は大都市圏の郊外住宅地と異なり、過大な人口流入による再開発が行われる可能性は低い。また近年コンパクトシティの形成を目的として立地適正化計画が進められているが、これは都市間での相互扶助ならびに機能集約を目的としている。その為、高齢化が進む郊外住宅地では、地域内における相互扶助および機能の再配置を検討することが必要であると考える。
 故に本研究では、戦後および高度経済成長期に画一的に開発された郊外住宅地が、人口減少社会において変化してきた居住者ニーズに即した再編の方法を、その地域における生活拠点施設・機能の変遷と居住者の生活行動実態から分析を行う。具体的には、1)各種施設と公民館を中心としたアクティビティの変遷から施設と機能の集約/分散傾向を把握し、2)家族構成ならびに居住地への関心の違いから居住者を分類して、生活行動実態とニーズを整理した後、3)それら二点から郊外住宅地の在り方を考察する。

講評

人口減少が進む中、地域の再編が喫緊の課題となっていることを踏まえ本研究では、兵庫県三木市のニュータウン地区を対象に調査を行い、その生活実態を把握するとのことであった。調査によって明らかにすべき仮説が明確に示されていることや、既に予備調査を通じて地域の人々との協力体制があること、企業との産学連携の取り組みの可能性が示されたことなど、総じて評価の高いプレゼンテーションであった。対象と仮説が明確であるだけに、予定以上の成果が見られないことも考えられるので、可能な限り先端的な課題に踏み込んで考察することができるような研究を期待したい。

死と死別に関する新しい文化としての「遺品整理」と専門業種に関する社会学的研究

藤井亮佑(社会学研究科)

研究概要

 現代日本は少子高齢化による人口減少という社会構造の変容があり、死に関する問題の増化が想定される。井上俊・大村英昭らは、死の発生にともない行われる死者の処理を「別れの文化」と呼んだ。たとえば、葬儀のような死者儀礼は死者との別れを生者に意味付ける文化的装置である。資本主義社会では葬儀業というように産業化・商品化され、その消費とともに享受されてきた。
 しかし、これら死者の処理を終えても、処理できないものが残っている。それが遺品である。現代日本社会においては、死者の処理に関する文化的装置だけでなく、「死者の所有物」である遺品との別れを意味付ける文化的装置としての業種・商品が新たに要求される。ここに新しい文化が現れる。それが「死者の所有物の処理」である「遺品整理」、およびそれに関する専門業種「遺品整理業」の登場である。
 本研究は、現代日本社会における死の発生と所有物をめぐる問題を遺品整理業の登場から読み解く。遺品整理業を調査対象とし、関連文献の理論的整理、参与観察に基づく資料の分析をもとに明らかにする。

講評

遺品整理業者を対象に、なぜ遺品整理業という仕事が登場したのかを聞き取りし、遺品整理業のフィールド調査と並行させながら、いま立ち上がりつつある「業」としての遺品整理業について考察する手がかりを得たいとの趣旨であった。研究の対象そのものが先行研究の乏しい先端的な分野であるため、調査に当たっての仮説を構築することは難しいが、そこには日本社会の縮図となるような要素が見られるのではないかといったコメントも出されるなど、研究内容への期待は高かった。専門業者への聞き取りは、今後の調査においても重要なつながりになると思われるので、是非フィールドへの継続的な関わりが期待できる調査・研究を目指してもらいたい。

多言語と多民族台湾社会の言語に見る共生の有り方―家庭内における多言語の語り合いの事例より

齋藤幸世(社会学研究科)

研究概要

 日本におけるこれまでの家族の研究において、家族の成員の中では一種類の言語或いは共通の言語で会話が成り立っていると想定されている。つまり、家族や親族同士での多言語や多民族という想定はされていない。
 しかし、多言語で多民族の台湾社会に目を向けた時、例え家族や親族間でも個々の使用言語が異なりながら会話が成り立っている状況が見られる。
 これは、台湾が約400年の被統治の歴史の中で、統治者が変わる毎に異なる言語政策を受けていた社会から開放され、現代社会が言語と言論の自由を得たことで引き起こされた現象であると考えられる。それにより、3世代の世代毎の主な使用言語に差異が生じている。
 そこで、本研究の目的は、家族や親族間の成員における言語の種類を問い直し、台湾社会の中でも、特に台湾の3世代家族の日常の語り合いの事例を通して、多言語を共有しながら共生している家族の有り様を明らかにすることにある。

講評

台湾の家庭における会話の分析から、台湾社会における多言語状況の一面を明らかにしようという研究計画であった。審査員からは、会話分析で明らかになるものが何であるのかについて質問があったが、家庭内における会話の見えない規則であるとの回答があった。確かに社会の状況や政治的な背景へと一足飛びに分析をすすめることは慎まなければならないが、単に会話を記録するだけでは、それが調査者のバイアスのもと選ばれた家庭における「規則」なのか、より広い社会的背景のもと影響を受けた、意識的・無意識的な「使い分け」なのかを判断することは難しいだろう。研究を通じて、台湾社会の言語的・文化的・社会的な様相が明らかになることを期待したい。

総評

プレゼンテーション審査については、例年、研究計画や予算の使途について明らかにすることが求められている。しかしながらこうした形式での競争的資金の獲得において求められる種々の「お約束」については、研究科によって指導の有無が異なるため、プレゼンテーションの質に大きな開きがあったように思われる。リサーチコンペは広く開かれた研究支援事業であるため、当然、分野の異なる相手に対して可能な限り具体的に、研究の意義や到達目標を示すことが必要になる。今後は応募者が、将来的にそのような場に直面する可能性があることを意識して研究計画の整理・具体化を進めていけるよう、募集の仕方を改善するよう検討したい。

2017年度リサーチコンペ プレゼンテーション審査会のお知らせ

先端社会研究所が取り組む「大学院教育支援事業」の一環として、全研究科大学院生・研究員を対象に、本研究所の「文化的多様性を尊重する社会の構築」というテーマを理解し、将来それに貢献することが期待される「優れた先端的な研究」を募集しました。厳正な書類選考に基づき、以下6件の研究課題のプレゼンテーションが行われます。助成受領者は、この中から、申請書類と、研究計画に関するプレゼンテーションの審査によって決定されます。

2017年度リサーチコンペ審査会  [ 180.40KB ]PDFファイル

プレゼンテーション審査会当日スケジュール

09:30  開会挨拶

09:40  西原 雅子(人間福祉研究科)
       母国で出産した外国人に対する母子保健研究
       ―多文化ソーシャルワーク領域におけるアクションリサーチを通して
09:55  質疑応答

10:10  青木 嵩(総合政策研究科)
       郊外住宅地再編へ向けた拠点性の再考
       ー拠点機能と立地の変遷と居住者の生活行動実態の分析から
       :三木市緑が丘町・志染町青山地区を対象に
10:25  質疑応答

10:40  加藤 仁彦(社会学研究科)
       未来と貧困―経済的貧困論をこえて
10:55  質疑応答

11:10  藤井 亮佑(社会学研究科)
       死と死別に関する新しい文化としての「遺品整理」と専門業種に関する社会学的研究
11:25  質疑応答

11:40  お昼休憩(30分)

12:10  李 素煕(商学研究科)
       食の国際化・多様化のメカニズムの研究
       ―食国際化を支える調味料メーカーの役割
12:25  質疑応答

12:40  齋藤 幸世(社会学研究科)
       多言語と多民族台湾社会の言語に見る共生の有り方
       ―家庭内における多言語の語り合いの事例より
12:55  質疑応答

13:10  閉会挨拶

2017年度先端社会研究所「大学院教育支援事業」リサーチコンペ募集

2017年度先端社会研究所「大学院教育支援事業」
リサーチコンペ 募集要項

2017年度 先端社会研究所<リサーチコンペ>研究計画申請書  [ 44.00KB ]XLSファイル

1.本事業の趣旨

先端社会研究所が取り組む「大学院教育支援事業」の一環として、全研究科大学院生・研究員を対象に、本研究所の「文化的多様性を尊重する社会の構築」というテーマを理解し、将来それに貢献することが期待される「優れた先端的な研究」を募集する。そして、採択者(個人、もしくは数名のグループ)に対しては、一定額の研究助成を行い、当該研究のより一層の発展を支援し、研究者の養成を図る。

2.応募期間

2017年5月8日(月)~6月5日(月)16:30(時間厳守)

3.応募方法および採択決定までの流れ

1)応募
「2017年度 先端社会研究所<リサーチコンペ> 研究計画申請書」【様式1、2】に必要事項を記入のうえ、先端社会研究所事務室に提出。英文での申請可。
申請書は、先端社会研究所HP(http://www.kwansei.ac.jp/i_asr/index.html)よりダウンロード。

2)書類審査
「2017年度先端社会研究所リサーチコンペ審査委員会」において、次の評価ポイントにより書類審査を行い、「4)プレゼンテーション」に進む課題を選考。
  ①先端性 ②親和性 ③計画性

3)リサーチコンペウィーク
2017年6月19日(月)~24日(土)をリサーチコンペウィークとし、「研究計画申請書」を先端社会研究所ホームページにて公開する。

4)プレゼンテーション
書類審査を通過した応募課題について、公開でプレゼンテーションを実施する。
開催日 2016年6月24日(土)
場 所 先端社会研究所セミナールーム(社会学部棟3階)

5)採択決定
書類審査およびプレゼンテーションを通じて、先端社会研究所が取り組む「文化的多様性を尊重する社会の構築」というテーマを理解し、将来それに貢献することが期待される「優れた先端的な研究計画」を採択する。

4.応募資格者

2017年度の時点における関西学院大学各研究科所属の大学院生ならびに大学院研究員・研究科研究員

5.助成内容と採択件数

個人研究の場合は1件につき20万円、共同研究の場合は1件につき40万円をそれぞれ上限とする。採択件数は、2016年度予算枠80万円の範囲内で決定する。
※なお、本制度による助成は、主として調査・研究活動に必要な経費を対象としているため、設備・備品等の購入は原則として認めない。

6.助成年限

2017年度内(研究期間:採択通知日~2018年3月31日)

7.申請書提出期限/提出場所

2017年6月5日(月)16時30分/社会学部棟3階 先端社会研究所事務室
※なお、提出時に学生証(研究員証)にて本人確認を行います。

8.採択決定通知

2017年6月28日(水) 申請者宛にEメールにて通知します。

9.研究成果の公表

本制度に採択された者は次のとおり研究成果を公表しなければなりません。
①「中間報告」の提出
 先端社会研究所紀要(2017年度発行予定分)に掲載されます。
②研究成果報告書」(研究所所定様式)の提出
 2018年4月末日までに提出してください。なお、研究成果報告は一括して先端社会研究所のホームページに掲載します。
③「リサーチコンペ報告会」(2018年5月頃開催予定)での報告
④『先端社会研究所紀要』(2018年度発行予定分)への投稿

10.問い合わせ先

本募集に関する問い合わせは、全てEメールにて受け付けます。
問い合わせ先メールアドレス: asr@kwansei.ac.jp