2012年度

[ 編集者:先端社会研究所   2014年9月18日 更新 ]

2012年度定期研究会第9回(共同研究「日本班」研究会第4回)

日時:2013年2月28日(木)15:00~18:00
場所:先端社会研究所セミナールーム(社会学部新校舎3階)
報告者:松田有紀子 氏(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
題目:「女の町」の民族誌─花街・祇園町に関する女性史学的研究

報告概要:
本報告では、2013年度提出予定の博士論文「「女の町」の民族誌──花街・祇園町に関する女性史学的研究(仮題)」の概要をもとに、フィールドである花街・祇園町(京都市東山区)について報告する。同論文はお茶屋の女将らが、さまざまな危機的局面──たとえば、公娼制度下における近代組織化、労働基準法の適用と売春防止法の施行、高度経済成長期における娯楽産業の変化、地場産業である繊維業の衰退による贔屓客の喪失など──においても、変わらずに継承してきたお茶屋・屋形と芸妓の親子に注目し、その特性を同地が女系相続により形成されてきたイエの集合体すなわち「女の町」であることと結びつけることで、祇園町を日常世界とは〈異質で豊かな遊興の場〉として記述することを目的とする。
本報告のフィールドである京都は、現在も年季奉公制度にもとづき未成年の芸舞妓を住み込ませて育成しているほぼ唯一の地域であり、同地では花街とはお茶屋の集合地を指す。
本報告では女将らへの聞き取りと史料調査をもとに、明治期から現在に至るまでの「女の町」年季奉公が支える恩と義理にもとづく互酬的な人間関係のエッセンスについて考察したい。

報告者紹介:
松田有紀子 氏
経歴
・立命館大学大学院先端総合学術研究科所属
・2010年4月より日本学術振興会特別研究員(DC1)

専門領域:
女性史、花街研究、歴史人類学

関連業績:
・「「花街らしさ」の基盤としての土地所有──下京区第十五区婦女職工引立会社の成立から」、『Core Ethics』、立命館大学大学院先端総合学術研究科vol.6、pp.401-411、2010年
・「芸妓という労働の再定位──労働者の権利を守る諸法をめぐって」、角崎洋平・松田有紀子編『歴史から現在への学際的アプローチ』、生活書院、生存学研究センター報告17号、pp. 307-332、2012年
・「京都─祇園の女紅場─」、佐賀朝・吉田信行編『近世から近代へ』、吉川弘文館、シリーズ遊廓社会2、頁未定、2012年12月予定(採録決定済み)
・「「女の町」の変貌──戦後における京都花街の年季奉公をめぐって」天田城介・角崎洋平・櫻井悟史編『体制の歴史』洛北出版、2013年4月刊行予定

2012年度定期研究会第8回(共同研究「中国国境域/雲南班」研究会第2回)

日時:2013年2月15日(金)16:30~18:30
場所:先端社会研究所セミナールーム(社会学部新校舎3階)
報告者:田原史起 氏(東京大学大学院総合文化研究科准教授)
コメンテーター:西村正男 氏(関西学院大学社会学部教授)
題目:中国農村へのアプローチ

報告概要:
大きく二つのポイントに沿って報告したい。
第一に,外国人研究者が中国農村を研究する場合の制約と可能性についてである。じっさいに様々な制約があるなかで,いかにして調査地を選び,下準備を行い,フィールドワークを実現させ,現場の情報を収集するか,そして限られたデータをどのように料理するか,という研究手法の問題である。とりわけ,制限を克服するうえで,「比較」の方法が有効である点に注目したい。
第二に,そうした農村調査を通じて浮かび上がってくる,他地域の農村とは異なる中国農村社会の特徴についてである。農村社会というと真っ先に「村」が思い浮かぶ。実際にも中国農村研究の大多数は,当然のごとく村の社会構造や村レベル・ガバナンスをめぐって展開されている。こうした潮流に対し本報告では,村内部の構造と同程度に重要な,村とその外部アクター─たとえば県政府や私営企業家─との関係にも目配りをしてみたい。
以上の二点につき,報告者の個人的な農村調査経験とその成果を題材とし,現在進行中のプロジェクト「比較村落ガバナンス論─中国・ロシア・インドの基層社会」とも絡めながら考えてみたい。

報告者紹介:
田原史起 氏(東京大学大学院総合文化研究科准教授)
専門領域: 中国農村研究、コミュニティ・スタディ
主要著書:
『中国農村の権力構造―建国初期のエリート再編』御茶の水書房,2004年。
『二十世紀中国の革命と農村』山川出版社、2008年。
《日本視野中的中国农村精英: 关系、团结、三农政治》济南:山东人民出版社,2012年。

2012年度定期研究会(社会学研究科大学院「エッジの社会学」研究会との共催)

日時:2013年2月23日(土)13:00~15:00
場所:関西学院大学上ヶ原キャンパス 第一教授研究館会議室1
報告者:植田今日子 氏(東北学院大学専任講師)
備考:本研究会は、関西学院大学社会学研究科大学院生が自主的に企画している「エッジの社会学」研究会との共催となります。本研究会に関するお問い合わせはkgu.socgp@gmail.com までお願いします。

概要:
「エッジの社会学」研究会は、前回に引き続き、津波災害後の社会を考えるための公開研究会を行う。報告者の植田今日子氏はこれまで、社会学・文化人類学の立場から、過疎集落や災害被災集落の調査研究に従事してきた。 本報告では、2011年の東日本大震災によって存続の危機を迎えた宮城県気仙沼市の被災集落を事例とした調査報告を行う。その集落では、被災後極めて早い段階で生存した集落のメンバーによって、被災地区に再びコミュニティとして戻ることが決定された。明治、昭和の津波災害、およびチリ地震などこれまで周期的に津波の被害を受け続けてきた集落にとって、津波という災禍はどのような経験であったのか。「危険」とされる場所に再び戻ることが集落として決定されることはいかにして、どのような実践によって、可能になったのか。
本研究会は、東日本大震災から2年を迎えようとする今日、植田氏の報告から危機 (エッジの状況) に直面するコミュニティがいかに回復し、危機を乗り越えていくのだろうかという問題に迫ろうとするものである。

報告者紹介:
植田今日子 氏(東北学院大学専任講師)
「なぜ被災者が津波常習地へと帰るのか : 気仙沼市唐桑町の海難史のなかの津波 (特集 環境社会学にとって「被害」とは何か)」『環境社会学研究』18:60-81, 2012.
「ムラの「生死」をとわれた被災コミュニティの回復条件--中越地震被災集落・新潟県旧山古志村楢木集落の人びとの実践から」『ソシオロジ』54(2):19-35, 2009.
「過疎集落における民俗舞踊の「保存」をめぐる一考察」『村落社会研究ジャーナル』 14(1):13-22, 2007.など

「エッジの社会学」研究会チラシ  [ 4.02 MB ]PDFファイル

2012年度定期研究会(社会学研究科大学院「メディア・文化のインターセクション」研究会との共催)

日時:2013年1月14日 14:00~18:00
場所:関西学院大学上ヶ原キャンパス 
第二教授研究館(池内記念館)会議室

西宮上ケ原キャンパスマップ(34番)外部のサイトへリンク

報告者:加島 卓(東海大学専任講師)
題目:文化ジャンルの変容とその記述可能性をめぐって
備考:本研究会は、関西学院大学社会学研究科大学院生が自主的に企画している「メディア・文化のインターセクション」研究会との共催となります。本研究会に関するお問い合わせはkgu.socgp@gmail.com までお願いします。

概要:
私たちは日々接するメディアの中で、様々な事象について語る「有名人」のイメージに触れている。彼らはある専門性の中の卓越性によって有名になるが、それと同時にその専門性を逸脱していく。こうした「有名人」のあり方は、ある特定の文化ジャンルを構成しつつもそのジャンルを横断していくゆえに、極めて研究対象として捉えがたいものである。このような変容をいかに一貫した視座のもとに社会学的な研究へと接続することができるのか。また、その変容過程によって生じてしまう、文化ジャンルの歴史的な記述の散逸性そのものを、どのように考えることができるのか。こうした問題意識は、これまでの「モノ」を中心軸に据えることで描き出されがちなメディア研究に対して、新たな分析視角を提示するものであるだろう。
本研究会ではこのような関心のもと、「デザイナー」や「商業美術作家」といった様々な呼称が存在する〈広告製作者〉たちを対象にしてきた加島卓氏をお招きし、メディア文化の中の職業性とその語り方を、さらには近代社会の中で個人に付与される有名性について検討していきたい。

報告者紹介:
加島 卓氏(東海大学専任講師)
編著に加島卓+南後由和(編著)『文化人とは何か?』東京書籍(2010)、共著に『文字のデザイン、書体のフシギ:神戸芸術工科大学レクチャーブックス…2』左右社(2008)、伊藤守(編著)『よくわかるメディア・スタディーズ』ミネルヴァ書房(2009)など。

2012年度定期研究会第7回(共同研究「南アジア/インド班」研究会第3回)

報告者:サラーム海上氏(よろずエキゾ風物ライター/DJ)
題目:南アジア系音楽家のクラブミュージックにおける〈南アジア性〉と〈アンダーグラウンド性〉の変化

日時:2013年1月30日(水)16:00~18:00
場所:関西学院大学 西宮上ケ原キャンパス 関西学院会館内「翼の間」
キャンパスへのアクセス http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_000374.html
キャンパスマップ http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_001086.html
(地図中の9番の施設が関西学院会館)
※当日は入試準備のためキャンパス正門からは入構できない可能性があります。正門から入らずに、正門に向かって右手にある関西学院会館まで直接お越しください。

概要:
エイジアンアンダーグラウンドとは、イギリスやアメリカで生まれ育った南アジア系移民の子孫の音楽家たちが、インド本国の大衆音楽のニーズに迎合することなく、自分たちの感覚を元に音楽を表現したムーヴメント。1980年代末から2000年代初頭まで、電子音楽機材の普及と当時の音楽ソフト業界の後押しもあいまって世界的に注目された。2000年代後半になると、音楽ソフト業界の衰退、および2008年の世界金融危機により、欧米諸国で活動の場を失った多くの南アジア系音楽家たちは経済が好調なインド本国に拠点を移した。
そして、エイジアンアンダーグラウンドは今も膨張し続けるインドの音楽シーンに吸収され、その名をとどめるのみになった。しかし、現在のインド大衆音楽に与えた影響は大きい。著書『プラネットインディア インド・エキゾ音楽紀行』(河出書房新社)などを通じて、インド亜大陸の様々な音楽を調査取材してきた音楽評論家/DJのサラーム海上(うながみ)氏を招いて、エイジアンアンダーグラウンドの四半世紀を探る。

報告者紹介:
1967年生、群馬県高崎市出身。明治大学政経学部卒業。
伝統音楽とエレクトロニック音楽の出会いをキーワードに、 中近東やインドを定期的に旅し、現地の音楽シーンをフィールドワークし続けている。その他、活動領域はラジオやクラブのDJ、料理研究、海外ツアー企画など、多岐にわたる。著書に『21世紀中東音楽ジャーナル』(アルテスパブリッシング)、『エキゾ音楽超特急 完全版』(文化放送メディアブリッジ)、『PLANET INDIA インド・エキゾ音楽紀行』(河出書房新社)、共著に『アラブ・ミュージック その深遠なる魅力に迫る』(東京堂出版)ほか。朝日カルチャーセンター新宿にて、通年講座「ワールド音楽」を開催中。NHK FM「音楽遊覧飛行 エイジアンクルーズ」のナビゲーターを務める。

2012年度第7回定期研究会チラシ  [ 3.28 MB ]PDFファイル

2012年度定期研究会第6回(共同研究「日本班」研究会第3回)

日時:2012 年12 月16 日(日) 14:30~17:00
場所:先端社会研究所セミナールーム(社会学部校舎3階)
著者:山口智美(モンタナ州立大学教員)専門- 文化人類学、フェミニズム
   斉藤正美(富山大学教員)専門- メディア研究、フェミニズム、社会運動史
討論者:山田真裕(関西学院大学法学部教授)
    金明秀(関西学院大学社会学部教授)
題目:『社会運動の戸惑い』(勁草書房)読書会

概要:
山口智美・斉藤正美・荻上チキ『社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』勁草書房(2012 年)が刊行された。本書はフェミニストが反フェミニズム側に対して行ったフィールドワークに基づいた興味深い研究である。この研究会では本書を題材に現代日本におけるジェンダー争点をめぐるイデオロギー対立、政治過程、異なるイデオロギーを持つ者同士の相互接触とラポール形成、日本におけるフェミニズムの現状などについて考察する。
まず山田と金が本書に対してそれぞれ政治学的視点、および社会学的視点から討論を行う。これに対して著者である山口、斉藤が応答する。以後はフロアに議論を開き、著者との質疑応答を行うものとする。

2012年度定期研究会第5回(共同研究「日本班」研究会第2回)

日時:2012 年12 月16 日(日) 13:00~14:30
場所:先端社会研究所セミナールーム(社会学部校舎3階)
報告者:許 南春 氏(韓国済州大学校教授)
題目:済州大学校在日済州人センターの活動と展望
司会:山 泰幸(関西学院大学人間福祉学部教授)

趣旨:
韓国済州大学校在日済州人センターは、10余年に及ぶ準備期間を費やして、在日済州人の生活史を復元した最新の展示施設をともなった研究施設として、今年2012年5月にオープンした。センターは、在日済州人を中心として、ディアスポラ、移民・移住、在外韓国人関連問題を幅広く研究テーマとして掲げている。先端社会研究所指定研究(日本班)と共通するテーマを掲げる在日済州人センターの設立経緯や研究活動、今後の展望について、済州大学校教授の許南春氏に報告をいただき議論を深める。

2012年度 定期研究会第4回(共同研究「南アジア/インド班」研究会第2回)

日時:2012 年12 月14 日(金) 16:00~18:30
場所:先端社会研究所セミナールーム
報告者:栗田 知宏 氏(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)
題目:「エイジアン音楽という「一体性」とその多様性――在英南アジア系ポピュラー音楽の現在」

概要:
在英南アジア系アーティストによるポピュラー音楽は、イギリスでは「ブリティッシュ・エイジアン音楽」もしくは単に「エイジアン音楽」と呼ばれています。南アジア系と一口に言っても、その内部はルーツのある国、地域、言語、宗教、カーストなどによって多様ですが、音楽の文脈ではパンジャービー系によるバングラー(Bhangra)がエイジアン音楽を「代表」する実践として前面に出ることが多く、インドのボリウッド映画音楽とともに幅広い層から人気を得ています。エイジアン音楽のもうひとつの特徴は「クラブカルチャー」や「ダンスミュージック」としての性格で、1990 年代から盛んになった「エイジアン・アンダーグラウンド」と呼ばれるハイブリッドなクラブサウンドが大きな影響力を持っています。それでは、これらの音楽的な諸実践を括る「エイジアン音楽」というカテゴリーの「エイジアン」とは、いったい何を意味しているのでしょうか。本報告は、イギリスにおけるエイジアン(南アジア系)の社会的布置がエイジアン音楽というジャンルの成立とどのように関係してきたのかを、楽曲や近年の動向を紹介しながらお話しします。

報告者紹介:
【専門領域】文化社会学、ポピュラー音楽研究、在英南アジア系移民研究
【関連業績】
「ブリティッシュ・エイジアン音楽とエイジアン・アイデンティティ――ジェイ・ショーンの音楽実践とその解釈を事例として」『移民研究年報』第18 号(日本移民学会、2012 年)pp. 47-65
「ブリティッシュ・エイジアン音楽の『エイジアン』とは何か――ポピュラー音楽のジャンル性をめぐる一考察」『ソシオロゴス』第35号(ソシオロゴス編集委員会、2011 年)pp. 52-72
「表現行為とパフォーマティヴィティ」千田有紀編『上野千鶴子に挑む』(勁草書房、2011 年)pp. 141-161
「エイジアン・アイデンティティin the UK――若者たちの“ 自分” 表現」『パンドラ』Vol.2, SIDE-B(講談社、2008 年)pp. 536-545

2012年度定期研究会第3回(共同研究「日本班」研究会第1回)

日時:2012年11月30日(金)16:00~18:00
場所:先端社会研究所セミナールーム
報告者:川端浩平(専任研究員)
コメンテーター:島村恭則(社会学部教授)
題目:「二重の不可視化と日常的実践――非集住的環境で生活する在日コリアンのフィールドワークから」

概要:
本報告では、筆者の出身地である岡山で2002年からとりくんでいる、在日コリアンの若者のフィールド調査と活動の実践の経験に基づき、既存のアイデンティティ政治やその現場との互酬性のなかで育まれてきた理論によって不可視化されている日常的実践の領域を考察する。第一に、非集住的環境で育った在日の個人化を促す二つの力学である、エスニック共同体の溶解という歴史的過程と、自己責任的主体の構築を促す新自由主義的な価値観について考察する。第二に、戦略的なアイデンティティ政治によって描き出される主体のイメージに内包されることなく、かつ日本社会に同化していく存在として捉えられることによって二重に不可視化されている状況について考察する。第三に、そのような二重の不可視化に対して、戦略的なエスニシティを基盤としつつ営まれる、戦術的な日常的実践の領域について検討する。これらの今日の在日の現状を考察するうえでの分析枠組みを踏まえたうえで、第四節以降では、筆者のフィールド調査の経験を振り返り、これまで捉えきれなかった日常的実践の即興性を明らかにし、調査者と対象者の関係性を問い直すことによって深まるフィールドのリアリティについて述べる。

報告者紹介:
【専門領域】 エスニシティ、差別・排除、ジモト研究、Japanese Studies
【主要著書・論文】
「二重の不可視化と日常的実践――非集住的環境で生活する在日コリアンのフィールドワークから」『社会学評論』250号、2012年
「不可視化されるマイノリティ性――ジモトの部落、在日コリアン、ホームレスの若者たちの研究調査をめぐる軌跡から」『解放社会学研究』25号、日本解放社会学会、2012年
「スティグマからの解放、「自由」による拘束――地方都市で生活する在日コリアンの若者の事例研究」『解放社会学研究』21号、日本解放社会学会、2010年
『多文化社会の<文化>を問う――共生/コミュニティ/メディア』青弓社、2010年(共著)

2012年度定期研究会第2回(共同研究「南アジア/インド班」研究会第1回)

日時:2012年11月9日(金)16:00~18:30
場所:先端社会研究所セミナールーム(社会学部新校舎3階)
報告者:若松 邦弘 氏
(東京外国語大学大学院 総合国際学研究院・教授)
題目:イギリスにおける南アジア系移民の政治へのかかわり

概要:
イギリスにおける南アジア系市民はその多くが、第二次大戦後の1950年代に本格化したイギリスへの大量移民に起因する。今日その存在はインド系とパキスタン・バングラデシュ系とに分けて認識されることが多い。イギリス各地の都市部に地縁・血縁ごとのコミュニティを形成し居住するこれらの人々については、イギリス社会での顕著な上昇が見られる前者に対し、後者の場合はその遅れが広く指摘され、また1990年代以降、後者はイスラムという属性に投射されるイメージからも注目されるようになっている。本報告はイギリスで「アジア系Asian」との呼称によって一括りにされるこれら南アジア系市民について、イギリス社会における注目の位相と政治的関与の特徴を概観する。とくにパキスタン・バングラデシュ系の人々の間では、コミュニティという集団と個人との関係について世代間の意識差が大きく、近年それが社会活動とのかかわりや政治への参画を巡る摩擦として表面化している。今日イギリスの政党システム変容が顕著に進行するなか、コミュニティ内でのこの対立は一般のイギリス政治のなかでも無視できない要素となっている。

報告者紹介:
・専門領域
西欧政治、イギリス政治
・主要著書、論文
「改革の制度的矛盾と政治問題への展開-イングランドにおける交付金制度改革の執行過程」
『国際関係論叢』(東京外国語大学国際関係研究所)第1巻第1号、2012年
「1990年代における都市政治の再編-クライエンテリズム的編成への批判と自由主義的個人性へのシフト」『東京外国語大学論集』第83号、2011年
『国境を越える政策実験・EU』東京大学出版会、2008年(共著)
『地域のヨーロッパ-多層化・再編・再生』人文書院、2007年(共著)
『ポスト代表制の比較政治-熟議と参加のデモクラシー』早稲田大学出版部、2007年(共著)

2012年度定期研究会第1回(共同研究「中国国境域/雲南班」研究会第1回)

第1回先端社会研究所定期研究会(共同研究「中国国境域/雲南班」研究会第1回)

日時:2012年7月10日(火)17:00~19:00
場所:先端社会研究所セミナールーム(社会学部新校舎3階)
報告者:蘭 信三氏(上智大学外国語学部国際関係副専攻&大学院グローバル・スタディーズ研究科国際関係論専攻)
題目:「20世紀東アジアの帝国をめぐるひとの国際移動について─朝鮮と沖縄を中心として」

概要:
東アジアの人の移動は、清・露・日の三帝国の盛衰と深い関わりがあり、とりわけそれは朝鮮と沖縄に集約されています。19世紀末から20世紀半ばまでは、清の満州への入植解禁、ロシアの近代植民都市建築、日本帝国の膨張と崩壊ならびに中華民国の近代化によって規定されます。しかし、日本帝国崩壊後は戦後の東アジア秩序の再構築の過程で模索されます。それを朝鮮と沖縄の事例から大きな見取り図を描いてみます。

報告者紹介:
上智大学外国語学部教授、国際社会学・歴史社会学専攻、単著に『満州移民の歴史社会学』
(行路社1994年)、編著に『日本帝国をめぐる人口移動の国際社会学』(不二出版、2008年)『帝国崩壊とひとの再移動─引揚げ、送還、そして残留』(アジア遊学145号、勉誠出版、2011年)ほか。