2014年度

[ 編集者:先端社会研究所   2015年3月17日 更新 ]

2014年度第1回先端研ワークショップ

 先端社会研究所では、2014年度第1回先端研ワークショップを開催します。
 参加無料・事前申し込みの必要はありません。

 先端研ワークショップでは、セミナーやシンポジウムのように「研究者の話を聞く」というのではなく、むしろ「人と一緒に考える」という機会をつくります。
 そこで今回は、困難を抱える当事者のお話を聞き、それを踏まえて参加者同士で、ワールド・カフェという対話形式を体験しながら、ケアについて話し合います。それにより「私たちが当事者の方とどのようにしたら十分にコミュニケートできるのか」「私たちが当事者の方を支援するとしたら何ができるのか」について考えようと思います。そして同時に「人と一緒に考える」ための、ワールド・カフェという対話形式を体験することが目的です。とても貴重で、しかも楽しい機会です。ぜひ参加してみてください。

 学部生、大学院生向けの企画です。もちろん教職員も歓迎します。コーヒーを飲みながら、あるいはお菓子をつまみながら、ワールド・カフェを体験しましょう!(コーヒーとお菓子はこちらで準備します。)

日時:2015年3月9日(月) 13時〜16時30分
場所:社会学部棟3階 セミナールーム(関西学院大学上ケ原キャンパス)
カフェ・マスター:野村裕美さん(同志社大学社会学部社会福祉学科准教授)
スピーカー:Aさん(LGBT等当事者)
企画者:榎本てる子(神学部教員)・佐藤哲彦(社会学部教員)

カフェ・マスターとスピーカーの紹介:
 野村さんはワールド・カフェ・プラクティショナーとして経験を積んでこられた方です。最初に、ワールド・カフェの主な特徴や方法を説明していただいてから、ケア・カフェについてのお話を聞き、さらに実際に体験していきます。当事者のAさんには、ご自身が経験されてきた多重な困難を話していただき、その後、みんなでそのことについて話し合っていきます。ワールド・カフェ未経験の方をとくに歓迎します。

2014年度第一回先端研ワークショップ.pdf  [ 76.46KB ]PDFファイル

先端社会研究所2014年度全体研究会

先端社会研究所では2014年度の全体研究会を次のとおり開催いたします。全体研究会では、当研究所共同プロジェクトに携わる3つの研究班からの研究報告と総合ディスカッションが行われます。
みなさまのご参加をお待ちしております(参加無料、事前申込は必要ありません)。

日時:2015年2月10日(火)13:00~17:00
場所:関西学院大学上ケ原キャンパス 社会学部棟3階 先端社会研究所セミナールーム
題目:「排除」と「包摂」の二元論をこえて-日本・雲南・インドのフィールドで考える-

概要:
グローバリゼーションとネオリベラリズムが世界を席巻する現在、わたしたちの社会は「排除型社会」へと向かっているのでしょうか。「排除」か「包摂」か、その二元論の超克は可能なのか?2012年度から開始した先端社会研究所共同プロジェクトの中間報告と位置づける本研究会では、インド、中国国境域(雲南)、日本、それぞれのフィールドから「排除」と「包摂」を超えた社会のあり方を考えます。

プログラム:
<第一部>
各フィールドからの研究報告
13:10 ~ 13:50 南アジア/インド班
        報告者:関根 康正(関西学院大学社会学部教授)
       「排除と包摂を超えて-インド社会をめぐるストリート人類学の視座から-」

13:50 ~ 14:30 中国国境域/雲南班
        報告者:荻野 昌弘(関西学院大学社会学部教授)
        「近代は存在するのか-雲南省新平イ族タイ族自治県から見る社会」

14:30 ~ 15:10 日本班
        報告者:山 泰幸(関西学院大学人間福祉学部教授)
        「排除と包摂のはざまで-パリのコリア系住民のフォークロア研究から-」

15:10 ~ 15:20 休憩

<第二部>
15:20 ~ 17:00 総合ディスカッション
ディスカッサント:奥野 卓司(関西学院大学社会学部教授)
         田 禾(関西学院大学経済学部准教授)

2014年度関西学院大学先端社会研究所全体研究会.pdf  [ 755.77KB ]PDFファイル

2014年度第3回定期研究会(第3回定期研究会「中国国境域/雲南班」研究会)

先端社会研究所第3回定期研究会(第3回 中国国境域/雲南班研究会)を開催いたします。
なお本研究会は、科学研究費・基盤研究(C)「中国雲南省の少数民族における文化変容に関する
社会学的研究」との共催となります。みなさまのご参加をお待ちしております(一般公開・入場無料)。

日時:2015年1月13日(火)15:30~17:30
場所:社会学部セミナールーム2(関西学院大学上ヶ原キャンパス社会学部棟3F:先端研セミナールーム向かい)
講師:李 永祥 氏(関西学院大学社会学部客員教授、中国雲南省社会科学院民族文学研究所研究員)
題目:Ethnic Tourism and Cultural Change in Xinping, Yunnan Province, China

※発表言語:英語、質疑応答:通訳あり

概要:
 This research probes the relationship between ethnic tourism and cultural change in Xinping County, Yunnan Province, China. Based on abundant ethnic culture, tourism obtains full development in Yunnan Province. Xinping is an iconic example in the province. There are Yi, Dai, Hani, Lahu, Hui and Bai people living in the county and their cultures, particularly the Dai costumes and Yi and Hani dances, are unique. Based on the Dai (or Huayaodai, a name from Han people), Yi and Hani cultures, the local government has tried their best to promote local tourism. However, we also see the cultural change in rural of Xinping as many new traditions are created by the government and business people. This may lead us to rethink theories of ethnic tourism and cultural change during modern society in China.

講師紹介:
専門は災害人類学、環境人類学、芸術人類学。ワシントン大学大学院人類学科博士課程修了。Ph.D.
主な著書に、『泥石流灾害的人类学研究:以云南省新平彝族傣族自治县“8.14”特大滑坡泥石流为例』(知识产权出版社、2012年)、『舞蹈人类学视野中的彝族烟盒舞』(云南民族出版社、2009年)、『国家权力与民族地区可持续发展:云南哀牢山区环境、发展与政策的人类学考察』(中国书籍出版社、2008年)など、雲南省少数民族に関する著書多数。

2014年度第3回定期研究会チラシ(中国国境域/雲南班).pdf  [ 685.76KB ]PDFファイル

2014年度第3回先端研セミナー

日時:2014年12月4日(木)17:00~
場所:社会学部101教室(関西学院大学上ケ原キャンパス)
報告者:上野 千鶴子 氏(立命館大学特別招聘教授)
題目:「安倍政権『女性活用』の本気度」

概要:
 安倍政権は、それまでの保守的な家族観を忘れたかのように、このところ「女性活躍」に積極的である。「活用」した女性閣僚たちは、政治資金の不正や公職選挙法違反で辞職したり、そろって靖国神社に参拝したりする「とんでも閣僚」で、女といっても誰でもよいわけでないことがはっきりした。小泉構造改革のネオリベ路線を受け継ぐ安倍経済政策のもとでは、「女性活用」はたしかに本気。というのも、女性は、人口減少期に入った日本に残された最後の資源、寝た子をたたき起こしても活用したい労働力だからである。だが政策を見ると、その「使い方」が完全にまちがっていると思える。働き方のルールを変更しないまま、男並みに使える女は使い倒し、そうできない女は「二流労働者」として使い捨てる...政策パッケージを見ているとそれがよくわかる。本講演では、ネオリベ政策とジェンダーとの関係を、分析する。

報告者紹介:
富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了、平安女学院短期大学助教授等を経て、1993年東京大学文学部助教授(社会学)、1995年東京大学大学院人文社会系研究科教授。2011年4月から認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。立命館大学特別招聘教授・東京大学名誉教授。博士(社会学)。
 専門は女性学、ジェンダー研究。この分野のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。近年は高齢者の介護問題に関わっている。
 1994年『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞を受賞。2012年度朝日賞受賞。『岩波シリーズ ケア その思想と実践』(共編著、全6巻、岩波書店)、『世代間連帯』(辻元清美と共著、岩波新書)、『家族を容れるハコ 家族を超えるハコ』(平凡社)、『老いる準備』(学陽書房)、『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』(法研)、『ひとりの午後に』(NHK出版)、『女ぎらい』(紀伊國屋書店)、『不惑のフェミニズム』(岩波現代新書)、『ケアの社会学』(太田出版)、DVDブック『生き延びるための思想』(講談社)、『女たちのサバイバル作戦』(文藝春秋)、『ニッポンが変わる、女が変える』(中央公論新社)など著書・編著多数。新刊に『上野千鶴子の選憲論』(集英社新書)。

第3回先端研セミナー  [ 441.21KB ]PDFファイル

2014年度第2回先端研セミナー

日時:2014年10月29日(水)15:30~
場所:先端社会研究所セミナールーム(関西学院大学上ヶ原キャンパス 社会学部棟3階)
報告者:谷 富夫 氏(甲南大学文学部社会学科教授)
題目:「都市とエスニシティ――人口減少社会の入口に立って」

概要:
 この30年近く、日本でも数多くのエスニシティ研究がなされ、次第にテーマが結晶化するのを私たちはリアルタイムで眺めてきた。「外国人とコミュニティ」、「外国人労働者問題」、「日本人の対外国人意識」、「在留外国人政策」、「エスニック・ビジネス」、「エスニック文化」などである。セミナーでは、このうち都市社会学が比較的熱心に取り組んできた前三者を取り上げ、これまでの研究をふりかえるとともに、将来の方向性を展望したい。
 日本は今、人口減少社会の入口に立って、移民や外国人労働者の問題がいよいよ切迫感を増している。社会学もこれまで、この問題を巡ってはかなり厳しい意見の対立を経験してきたが、研究の現段階においては対立する意見のどれひとつも無駄にせず、それらを止揚する大きな分析枠組みの構築こそが将来を益するに違いない。

報告者紹介:
1951年、北海道生まれ。専門は、都市社会学、民族関係論、宗教社会学。九州大学文学部哲学科社会学専攻卒、同大学院文学研究科博士後期課程中退。博士(文学、九州大学)。大阪市立大学等をへて、2011年より甲南大学文学部社会学科教授、大阪市立大学名誉教授。関西社会学会・日本都市社会学会会長。主な著書に、『大阪猪飼野フィールドワーク――民族関係の都市社会学』(2015年刊行予定)、『持続と変容の沖縄社会』(共編著、2014年)、『民族関係における結合と分離』(編著、2002年)、以上いずれもミネルヴァ書房刊、『聖なるものの持続と変容』(恒星社厚生閣、1994年)、『過剰都市化社会の移動世代――沖縄生活史研究』(渓水社、1989年)など。

0000061183  [ 598.14KB ]PDFファイル

2014年度第2回定期研究会(第7回共同研究「南アジア/インド班」研究会)

2014年度第2回定期研究会チラシ(南アジア/インド班)   [ 497.06KB ]PDFファイル

日時:2014年10月24日(金)16:00~18:30
場所:先端社会研究所セミナールーム(関西学院大学上ケ原キャンパス社会学部棟3F)
講師:田森 雅一 氏
    (東京大学大学院総合文化研究科・学術研究員、慶応義塾大学・埼玉大学・千葉大学兼任講師)
題目:“再帰的グローカル化” と音楽伝統の再生産
     -インド・ラージャスターンにおける世襲音楽家一族の100 年
概要:
今日のインド世界は、経済自由化以前からのプレリミナルなグローバル化の流れが、交通・通信手段と各種メディアの発達によって、情報の周縁に置かれていた地域の人々も巻き込んで人間の思考や行動に新たな局面をもたらしている状態、すなわち“再帰的グローカル化 reflexive glocalization” の時代にあると考えられる。本発表の目的は、このような“再帰的グロー
カル化” の時代において、社会化の古典的な場としての家族・親族を中心とする実践共同体が人間と文化様式の再生産にどのように向き合い、その系譜と職能を持続させながらローカルな歴史を形成し、トランス・ローカル/ ナショナルな状況に巻き込まれつついかに変容しているのかという点について事例をもとに考察することにある。より具体的には、北インド北西部のラージャスターン州の州都ジャイプルに居住する、ミーラースィーmīrāsī と呼ばれるムスリム世襲音楽家一族の100年の系譜と歴史、特に1980年代以降の彼らの国内外での音楽活動に焦点をあて、“再帰的グローカル化” が進行する世界でのインド音楽伝統の再生産についてローカルでミクロな視点から検討する。

講師紹介:
専攻、専門領域:社会人類学・南アジア研究・比較音楽芸能論。 東京大学大学院総合文化研究科単位取得満了。博士(学術)。
主要論文:『近代インドにおける古典音楽世界の変容― “音楽すること” の人類学的研究』(三元社、2015 年2 月刊行予定)。「インド音楽の近代化とマスメディア ―ラジオ放送が北インド古典音楽と音楽家の生活世界に与えたインパクト」『国立民族学博物館研究報告』36(4):1-33、2013 年。“The Transformation of Sarod Gharānā: Transmitting Musical Property in Hindustani Music” . In Y. Terada(ed.) Music and Society in South Asia: Perspectives from Japan, (Seniri Ethnological Studies 71):169-202. Osaka: National Museum of Ethnology, 2008。「都市ヒンドゥー命名儀礼における主体構築と命名慣習の変容」『民族学研究』63(3):302-325、1998 年。

2014年度第1回定期研究会(第6回共同研究「南アジア/インド班」研究会)

日時:2014年7月4日(金)16:00~18:00
場所:先端社会研究所セミナールーム(関西学院大学上ヶ原キャンパス社会学部棟3F)
講師:田中 鉄也 氏(国立民族学博物館外来研究員、日本学術振興会特別研究員PD)
題目:故郷のための寺院、故郷としての寺院─インド移動商人マールワーリーによるヒンドゥー寺院運営

概要:
インド・グローバル経済で躍進を続けるビジネス・コミュニティ、マールワーリーは、自らの経済的成功を誇示するように巨大ヒンドゥー寺院を建立することで、故郷に錦を飾ってきた。彼らの故郷とは北西インドラージャスターン州に各々存在する。同州出身者である彼らは19世紀から経済的成功を求め大都市に拡散していったのだが、故郷でのヒンドゥー寺院運営を通じて、現在まで地域社会との繋がりを強固に維持してきた。本発表では、同州に存するラーニー・サティー寺院の100年に及ぶ運営史を報告する。1912年から運営が開始されたこの寺院は、70年代には一大巡礼地にまで成長を遂げた。そして現在その名声は分祀という形で全国的な広がりを見せている。本発表では寺院関係者への聞き取りと史料調査を基に、寺院運営によって故郷とのつながりが担保されてきただけではなく、次第にそれそのものが「故郷」とみなされ、いかにコミュニティとしてのマールワーリー・アイデンティティが陶冶されるようになったのか、考察する。

講師紹介:
専攻、専門領域:宗教学、南アジア研究。
主要論文:2014年(11月刊行予定)『インド人ビジネスマンとヒンドゥー寺院運営―ケーリヤー・サバーの100年史(1913年~2012年)』風響社。2012年「ポストコロニアル・インドにおける法と宗教とのかかわり―サティーの法規制の歴史的変遷」『マイノリティ研究』第7号。2009年「ポストコロニアル・インドにおける『伝統』の変革―現代のサティー論争におけるアシス・ナンディと批判的伝統主義」『宗教研究』第360号。

2014年度第1回先端研セミナー

2014年度 第1回先端研セミナーチラシ  [ 260.04KB ]PDFファイル

日時:2014年6月25日(水)15:30~
場所:先端社会研究所セミナールーム(関西学院大学上ヶ原キャンパス社会学部棟3階)
報告者:落合 恵美子 氏(京都大学大学院文学研究科教授)
題目:「現代アジアの家族変容:自己オリエンタリズムの罠」

概要:
日本における家族とジェンダーの変化は、1970年代以降、欧米社会と異なる道をとるようになった。欧米社会では女性の労働力率が軒並み上昇したのとは対照的に、日本ではM字型が残り、いまだに女性の活用が課題とされている。また、出生率低下、離婚の増加など、欧米社会で見られるのと同じような家族の変化が日本でも起きたが、同棲や婚外子出生は少ない。こうした特徴はある程度は他のアジア諸国にも共通している。その原因は何だろうか。文化的要因に答えを求める大方の見方に異を唱え、圧縮近代というアジアの近代の性質に加えて、欧米社会とは別の道をとりたいと願うアジア諸国の政策決定が自らを追い込んでいるという見方を示したい。グローバル化が進行する世界にあって、それへの反発の自己他者化として生じる自己オリエンタリズムの誘惑に抗する知恵について考えたい。

報告者紹介:
専門は、社会学、家族社会学、ジェンダー論。東京大学文学部社会学科卒業。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。同志社女子大学、国際日本文化研究センター等を経て、2004年から京都大学大学院文学研究科教授。2008年から2013年にかけて、京都大学グローバルCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」の拠点リーダー。主な著書等に、『21世紀家族へ:家族の戦後体制の見かた・超えかた』(有斐閣、1994年)、『親密圏と公共圏の再編成:アジア近代からの問い』(編著、京都大学学術出版会、2013年)など。近著に、Leaving the West, rejoining the East? Gender and family in Japan’s semi-compressed modernity (International Sociology 29、 2014)、「近代世界の転換と家族変動の論理:アジアとヨーロッパ」(『社会学評論』64-4、 2014年)など。