1 正規分布の利用例

  面積(確率)の求め方

 ジュースやお菓子の袋の重さ,ボルトやナットの長さ,また,身長や体重,月ごとの漁獲高など,大量のものから1つを選ぶとき,その変量の値 X の確率密度関数は,


となります(詳しい説明は,§2の6.チョコっと正規分布を参照して下さい)。ここで,は自然対数の底で,=2.71828・・・,また,μは平均値,σは標準偏差を意味します。


   

 では,次にどのようにして与えられた区間の面積を求めればよいのでしょうか? 


 まず,左の表のように,とおくことにより,標準正規分布へ変換します。

 すると,この標準正規分布には,すでに,積分された表が設けられていて,いちいち積分しなくても,その表より値を求めます。


 左の表の,一番下のプログラムは,

    区間→面積(確率)  面積(確率)→区間

を求めることができるようになっています。数値をテキストボックス内に入れて,リターンキーを必ず押してから,求めたいボタンを押して下さい。


 では,今まで学習した正規分布を,面積と確率という事柄を意識しながら練習問題を解いていくことにしましょう。

例題1 確率変数 X が正規分布 N(4,32) にしたがうとき,次の確率を求めよ。正規分布表呼び出し→

(1) P(4X6)  (2) P(3X5)  (3) P(5X)

[解答]最初に,確率変数 X を標準正規分布 N(0,1) にしたがう確率変数 Z に変換します。すなわち,Z=(X-4)/3 を用います。
(1) P(4≦X≦6)=P(0≦Z≦2/3)=P(0≦Z≦0.667)=0.2486


(2) P(3≦X≦5)=P(3≦X≦4)+P(4≦X≦5)=P(-1/3≦Z≦0)+P(0≦Z≦1/3)=2×P(0≦Z≦1/3)=2×0.1293=0.2586
 正規分布の平均値に対する対称性を考慮しています。


(3) P(5≦X)=0.5-P(0≦X≦5)=0.5-P(0≦Z≦1/3)=0.5-0.1293=0.3707
 正規分布は,平均値に対して対称なので,右半分の面積は 0.5 となります。



練習問題1 確率変数 X が正規分布 N(4,52) にしたがうとき,次の確率を求めよ。

(1) P(3X6)  (2) P(6X10)  (3) P(9X)




 いかがですか? ややこしい積分を用いなくても面積が求められますので,以外と簡単です。では,これを基礎に次の問題に挑戦してみましょう。

例題2 缶ジュース 200 個の内容量の平均値が,150.3g,標準偏差が 5g の正規分布に従うものとする。このとき次の問に答えよ。
(1) 内容量の多い方から 50 番目の缶の内容量はどれくらいか。
(2) 内容量の多い方から 5% の重さはどれくらいか。
[解答]  とおくと,Z は N(0,12) に従う。
(1)  を満たす,u の値を求めればよい。



これを満たす u の値は,正規分布表より,u=0.67 となる。したがって, より, となり,x=153.7(g)となります。

(2) P(Zu)=0.05 を満たす,u の値を求めればよい。

これを満たす u の値は,正規分布表より,u=1.64 となる。したがって, より, となり,x=158.5(g)となります。

練習問題2 ある模擬試験に 5000 人が受験したところ,その成績は,平均値 65 点,標準偏差 10 点の正規分布に従った。
(1) ある生徒が,75 点以上 85 点以下である確率を求めよ。
(2) この試験において,上位 5 %に入るためには,何点以上あればよいか。
(3) この試験において,順位が 100 番以内に入るためには,何点以上あればよいか。




 このように,結構身近な話題にも応用できそうです。次の章では,もう少し違う角度から,正規分布を見てみることにしましょう。