[SGH]海外フィールドワークを実施しました。<カンボジア>

2018.09.25

日 時:2018年8月10日(金)~16日(木) 5泊7日
訪問先:カンボジア シェムリアップ
目 的: カンボジアの歴史・文化や、日本が現地で実際に行っている国際協力の現場(NGOや海外協力隊)の活動などを学ぶ。今後の課題研究に取り組むうえで、国際協力に関する実践の場を体験する。
参加生徒:GLP2年生16名 


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GLP2年生16名が参加

 8月10日(金)から16日(木)の7日間、GLP2年生16名が海外フィールドワークに参加し、カンボジアのシェムリアップ市を訪れました。現地では、アンコール・ワットやアンコールクラウ村、バイヨン中学校などを訪問し、カンボジアの歴史や現状を学んだり、農村部に住む子どもたちとの交流を深めました。アンコール高校では、同世代の学生たちとゴミ問題や環境・貧困についてディスカッションを行いました。また、NPO法人SALASUSUが運営する工房や遺跡修復作業など、国際協力の現場も視察しました。
 以下に、主な活動内容と参加した生徒の感想・振り返りをまとめました。

事前学習

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メアス博子氏の講話

 第1回 自己紹介&行程内容の確認
 第2回 カンボジアについての勉強会
    カンボジア在住19年、2000年からシェムリ
    アップにて児童養護施設「スナーダイ・クマエ」
    の運営に携わるメアス博子氏よりお話を伺う
 第3回 映画鑑賞・現地語の学習・しおり作成
 第4回 最終確認・学校交流会のリハーサル

1日目 シェムリアップ着

  日本を出発 
   ハノイ経由でシェムリアップ国際空港に到着、その後市内へ

2日目 カンボジア概観

 ◆日本国政府アンコール遺跡救済チーム(*JASA)オフィスにて、*JST代表チア・ノル氏による
  ガイダンス
 ◆キリングフィールド、アンコール・ワット見学

【生徒の感想・振り返り】
 「ポル・ポト時代の話を始めて詳しく聞き、知識層の虐殺だけでなく家族制度も解体されて、カンボジアの発展を阻止する大きな原因となったことが分かりました。さらにフランスの植民地支配も原因であったことを知り、二度とこのようなことがあってはならないと思いました。世界中に行って視野を広げることで、相手を理解する大切さを身をもって感じました。上智大学チームの三輪さんもおっしゃっていたようにその国のことを学ぼうとする姿勢が大切だと思いました。」

 「現在、多くの国がアンコール・ワット修復に携わっている。日本もその一つだ。しかし、修復・保存へのアプローチは国によって異なる。ヨーロッパの国は最新の技術を用いての補強を進めている。一方、日本はアンコール・ワット建設時に使われたオリジナルの技法を解析し、修復に使用している。日本には災害に強い耐震技術がある。しかし、カンボジアは自然災害がほとんどないということを考慮して、日本が誇る技術をあえて使わず、カンボジアの風土に合った独自の技術を尊重し、使っていた。それがその国を第一に考えるということなのだと思った。実際に、このような日本の姿勢はカンボジアの人から共感され、今ではカンボジアの技術者もアンコール・ワット修復の意義を自分の言葉として後輩技術者に熱心に伝えるようになっているそうだ。今までは国際協力と聞くと相手に何をしてあげられるかを考えがちだったが、今回の研修を通して、国際協力とは相手にとっていいことだと決めつけて一方的に与えることではなく、相手から学びそれを活かして共に考えることだとわかった。また、現地の人たちが意義を感じ、彼ら自身が担っていけるように機会と技術を共に学び、支えることが国際協力なのだとわかった。」

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チア・ノル氏によるガイダンス

3日目 国際協力視察① 

  アンコールクラウ村コミュニティセンター(*AKC)

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 ◆村落散策(村の生活を視察)
 ◆笠原知子先生の「村の小さな絵画教室」見学
 ◆村の青年たちとカンボジア料理づくり・昼食
 ◆村の子どもたちとの交流
 ◆地雷博物館見学
 ◆アプサラダンス(民俗舞踊)鑑賞

【生徒の感想・振り返り】
 「『子供達の笑顔がキラキラしている』-この言葉の意味がわかった気がします。村の子供達は私たちの行動に興味を示してくれたり、私たちが喜べば一緒に喜んでくれたりしました。純粋に私たちと遊ぶのが楽しいと感じてくれたようですごく嬉しかったです。言葉が通じなくても他のものを使って楽しさをシェアできるのだと実際に経験できました。」

 「カンボジアという国を一言で表すとするならば可能性の宝庫。アンコール村訪問で出会ったカンボジアの子供たちの目はキラキラしていて、日本の子供たちとはまるで見えているものが違うかのようだった。何を見ても興味津々で何をしていても一生懸命そのものだった。彼らのその姿を見た時、国や文化、そこに住む人々は言葉では語れないと感じた。また、子供達と私たち、それぞれ話す言葉はクメール語と日本語で全く違っているのにも関わらず、通じ合えたことに言葉にできないような喜びを感じた。」

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アンコールクラウ村での交流

4日目 同世代との交流

 ◆アンコール高校訪問 高校生との交流
 ◆バイヨン中学校訪問 中学校校長からのガイダンス、中学生との交流
 ◆オールドマーケット見学

【生徒の感想・振り返り】

 「私は今回の研修を通じて、自分の『甘さ』を痛感しました。アンコール高校の生徒たちとの交流の中で、彼らの英語のレベルの高さ、また英語だけではなくフランス語や中国語まで勉強をしていることを知り、彼らがどれだけ勉強を熱心に取り組んでいるのかが伝わりました。自分が高校生になった今、一体何をしてきたのかとすごい自分自身が恥ずかしくなりました。将来海外で活躍できる仕事につきたいなら、もっと色んなことを学ばなければいけないと深く感じました。上智大学の三輪先生の『自分の足で歩き、見て、感じる 本物に感動する体験を積むこと!』という言葉通りに私はこれから自分で何かを学ぶことをしたいと思います。」

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アンコール高校の生徒たちと交流

 「中学・高校訪問で交流したカンボジアの学校に通う生徒たちの学ぶ意欲の強さと姿勢、吸収力には圧倒されてしまった。日本で見る、“教卓で呆れながら授業をする先生のさきにただズラッーと座っているやる気のない生徒たち”のような風景はまるで存在しなくて、“やる気に満ちたキラキラした目が並んでいるだけ”だった。上智大学教授の三輪悟教授の講義にもあったように、私たち日本人のように先進国に生きる人間は発展途上国に住む人々を軽視したり、上から目線で見がちである。しかし、実際私が現地に足を運んで感じたのは表向きではわからない活気や力強さ、秘められた大きな可能性だ。私がこの研修旅行を通して感じたことはその国に実際に自分で足を運んで行かなければ、その国の美しさや持っているパワー、可能性はわからない。だから、ニュースや新聞、テレビだけの情報に迷わされず、今後何をするにおいても、自ら足を運んで感じ、自分の目で確かめなければいけないということ。そして、人間というのはどれだけ遠くに住んでいようと、話す言葉が違えど、通じ合えるということ。現代はSNSが流行し、相手の顔を見なくても話したり、繋がったりすることができる。だから、カンボジアを訪れ、改めて出会いの大切さに気づくことができた。」

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バイヨン中学校の生徒たちと交流

5日目 国際協力視察② 遺跡修復を通した人材育成

 ◆日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JASA)の修復現場訪問
 ◆バイヨン寺院見学、修復体験
 ◆Moi Moi農園にて昼食、散策
 ◆タ・プローム寺院見学
 ◆上智大学チームの修復活動訪問(市内オフィス)

【生徒の感想・振り返り】

 「なぜ遺跡修復を全面的に推し進める必要があるのか私は疑問に思っていたのですが、古き良き文化を後世に残すことによって時代の基盤がつくられ、国のアイデンティティを守ることになり、平和な社会をつくるのに繋がることが分かりました。また、アンコール・ワットやタ・プローム寺院などを見学して、当時の宗教や王に対する認識を知ることができ、寺院見学からもカンボジアについて知ることができました。」

 「印象に残ったのはカンボジアでボランティアをされている日本人の方々についてです。どの団体でボランティアされている方も皆さんしっかりと自分の目標や、やりたいことをしっかりともっていらっしゃってとてもすごいと思いました。カンボジアで暮らしていくことは、日本人にとって決して楽しいことばかりではないと思いますが、それでも少しでも自分の技術や知識を現地の人たちのために使おうという姿勢にとても心を動かされました。一番印象に残ったのは、上智大学アジア人材養成研究センターの三輪悟さんの、『カンボジアの文化を尊重する国際協力を心がける』というお話です。日本人は国際協力をする際に現地の人たちを見下していないかという問いかけに、もしかしたら自分も無意識にそうなってしまっているのではないか、と気づかされました。国際協力する際にはまず、現地の人たちから学ぶことを考えるのが大切だ、と三輪さんはおっしゃっていましたが、これは日本で生活するにあたってもとても大切なことなのではないのかなと思います。様々な考え方や生活をもっていることをしっかりと理解して、お互いに尊重し合いながら生活していくことが大切だと改めて考えさせられました。今回の研修旅行で得た知識や経験をこれからの生活に生かしていきたいです。」

6日目 国際協力視察③ 農村自立支援

 ◆SALASUSUの工房訪問(旧かものはしプロジェクト)
 ◆トンレサップ湖の水上集落見学クルーズ
 ◆日本ユネスコ協会が支援するトンレサップ湖にある寺子屋を視察(ホテイアオイコースターつくり体験

【生徒の感想・振り返り】
  「研修の目標の1つとして挙げていた環境問題について、村の子供達との交流場所やトンレサップ湖の水上集落クルーズを通して学ぶことができました。村の交流場所では、日常生活で出たゴミを1つの場所にまとめて置いてあるところを見ました。そのゴミの量を見ると、短期間で回収されているようには見えず、市内に比べて村まではまだ手が届いていないということが分かりました。村では1年前に電気が通り始め、道も舗装されている部分もあったので、これから少しずつ村のゴミ問題も解決の方向に向かってくると思いました。またトンレサップ湖のクルーズでは、水がとても濁っていました。この原因もまた、日常生活で出たゴミをそのまま水に流しているからだと分かりました。」

 「私はMoi Moi農園の景色がとても印象に残り、日本とは違う広大な自然を感じることができ嬉しかったです。遺跡修復や最終日のSALASUSUの工房訪問からカンボジア人の生活を応援しようとする日本人が多くいることを知り、思っていたよりも身近に国際協力に携われることが分かりました。この研修旅行で、自分が恵まれた環境に置かれていることの他にも、世界の多様性や国際協力について学ぶことができました。この経験を学校生活、将来に活かせるようにしたいです。」

シェムリアップ出発、ホーチミン経由で日本へ

7日目 帰国の途へ

  無事に帰国、関空にて解散

 注記:
  *JASA(日本国政府アンコール遺跡救済チーム)JAPAN-APSARA Safeguarding Angko
  *JST (アンコール遺跡の保全と周辺地域の持続的発展のための人材養成支援機構)
      Joint Support Team for Angkor Preservation and Community Development
  *AKC(アンコールクラウ村コミュニティセンター)Angkor Krau Community Center