災害復興制度研究所
K.G.
2026.07.31[ニュース]

「令和8年熊本地震」被災地における災害関連死防止のための緊急政策提言

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このたびの熊本地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災されたすべての皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 

関西学院大学災害復興制度研究所は、阪神・淡路大震災以来、「人間の復興」を理念として災害復興制度の研究と政策提言を重ねてまいりました。

災害時には、地震そのものによる直接的な犠牲だけでなく、避難生活の長期化や生活環境の悪化に起因する災害関連死をいかに防ぐかが極めて重要です。

政府は「できることはすべて行う」との方針を表明しています。私たちは、この方針を具体化するために、以下の六項目を緊急提言します。

 

1 八代港への病院船の派遣

八代港に自衛隊の病院船を停泊させ、高齢者、乳幼児、障害者、慢性疾患を抱える人など、健康上の配慮が必要な被災者を受け入れ、医療・看護・介護を一体的に提供すること。

 

2 大型クルーズ船・フェリーの福祉避難所としての活用

八代港は大型船舶の受け入れが可能である。この利点を生かし、政府の支援により大型クルーズ船または大型フェリーをチャーターし、少なくとも八月末まで福祉避難所として活用すること。

船内には個室、空調、入浴設備、食事施設、医療スペースが整っており、避難生活の質を大幅に改善できる。チャーター費用は数十億円規模と見込まれるが、災害関連死を防ぐための費用として十分に検討する価値がある。

 

3 近隣県への「地域ごとの集団避難」の実施

福岡県など近隣自治体の協力を得て、地域コミュニティ単位で避難できる仮設避難村を整備すること。

避難者が孤立しないよう地域コミュニティを維持するとともに、週一回程度、元の居住地との間を往復するシャトルバスを運行し、生活再建や住宅確認を支援すること。

 

4 生活環境改善への緊急投資

災害関連死を防ぐことを最優先課題として、

  • キッチンカー
  • トイレカー
  • 段ボールベッド
  • シャワー設備

を迅速かつ重点的に投入し、避難所環境を抜本的に改善すること。

5 災害ボランティアの活動基盤整備

ボランティア活動を継続するためには宿泊・入浴環境が不可欠である。

風呂付きトレーラーハウスを可能な限り確保し、災害ボランティアセンターや主要活動拠点へ配置すること。

 

6 生活情報を届ける災害情報紙の発行

被災地では、支援制度や生活情報が十分に伝わらない状況が生じやすい。

地元新聞社・放送局・自治体が連携し、生活支援情報をまとめた壁新聞や情報紙を継続的に発行・配布すること。そのための印刷・配送費用については国が財政支援を行うこと。

 

おわりに

本学災害復興制度研究所は、阪神・淡路大震災以来、数多くの被災地調査を通じて、「災害関連死の多くは防ぐことができる」との知見を積み重ねてきた。

今求められているのは、従来型の避難所運営にとどまらず、医療・福祉・交通・情報を統合した新たな避難支援体制への転換である。

政府、自治体、関係機関には、「災害関連死を一人も出さない」という決意のもと、本提言の速やかな実現を強く求める。

 

【注】

本提言は、関西学院大学災害復興制度研究所において、災害関連死を防ぐ観点から検討を行った研究所としての見解(現時点の提案)である。

既に政府・自治体で実施が進められている対策と重なる場合があっても、災害関連死の予防のため、実効性と優先順位の観点から必要性を整理したものである。

なお、本提言は、山中茂樹顧問が中心となって検討・取りまとめたものであり、被災地の状況、支援体制、運用状況等により今後見直しがあり得る。