センター長メッセージ

[ 編集者:手話言語研究センター       2019年7月23日   更新  ]

 私ども関西学院大学手話言語研究センター(以下、本センター)のホームページにアクセスいただきまして誠にありがとうございます。
 本センターは、関西学院大学内の特定プロジェクトの一つとして2015年4月に発足しました。翌2016年4月より、このプロジェクトに対する日本財団からの助成金を頂くことができ、以降、手話言語研究に関する様々な活動を学内外において展開して参りました。この過程で、日本財団をはじめ学内外の多くの方々からのご理解、ご支援とご協力を得ることができましたことを覚え、ここに厚くお礼を申し上げる次第です。
 本センターの事業は多岐にわたっていますが、それらを以下のとおり大きく3つに分類することが可能だと思います。まず学術研究に関するもので、(A)日本における手話言語学の確立への貢献、が挙げられます。手話言語学の一層の発展に寄与すべく、センターの研究員・教員・専門技術員がそれぞれ学術的な研究を展開しつつ、国内外の研究者の講演会やシンポジウムを開催し、あるいは世界各地の研究者とのネットワークづくりを行って参りました。講演会には多くの手話使用者の方がお越しくださっており、手話言語学の裾野を広げていく意味で一定の意義を果たし得たのではないかと自負しております。
 2つ目は啓発活動に属するもので、(B)手話言語学というよりは、もっと広く手話やろう者を取り巻く様々なトピックスを取り上げ、一般における手話言語・ろう文化への親近感を醸成することを意図したものになります。これまで、例えば、古文書に見るろう者、手話の歴史、手話落語、手話と映画、デフスポーツなどを取り上げてきました。いわば、手話やろう文化に関する広義の啓発活動とでもいえるべきもので、一般はもとよりろう者にもあまり知られていなかった事項も多かったように思います。
 そして3つ目は教育活動になりますが、(C)本学の学生を対象にした手話言語学科目の提供が含まれます。本学人間福祉学部の3年次専門科目という位置づけになりますが、春学期に「手話言語学基礎」を開講し、国内の手話言語学、手話言語教育を専門に研究されている方々を講師としてお迎えし、オムニバス形式で授業を行って頂いています。秋学期には、その上級編である「手話言語学専門」が教授され、一般言語学の枠組みを使いながらより専門的な内容を学生たちは学んでいっています(両科目とも、日本財団の「冠」講座になっています)。2020年度より、全学の1年生向けの、もっと基礎的な内容、例えば「手話の世界入門」のようなものを開講できないか、現在、検討中です。
 センターの今後の取り組みとしては、上記の3つの事業を一層充実させていくことに加えて、香港中文大学を中心としたアジア太平洋での手話言語学を介した大学間の連携(コンソーシアム)の活動にコミットしていき、他国の優れた取り組みを参考に日本の事情に合わせて取り入れるべきところは取り入れつつ、一方で日本の事情や様々な取り組みを他国へ紹介していきたいと思っています。更には、手話がろう者の言語であることを再確認し、ろう者と聴者の密接な協力のもと、以下の6点を本センターの目指すべき主たる点として掲げ、常にセンターの中でも意識しておきたいと思います。
(1)手話言語学の発展に学術面で貢献することを通して、手話言語の言語としての位置づけを確立し、それを社会および学界において周知していく
(2)手話言語(学)や手話、ろう文化を取り巻くトピックスをテーマとする言語学的および、ろう者学をはじめとした学際的な研究の振興を図る
(3)上記(1)(2)の研究成果を手話言語使用者および広く社会一般に還元する
(4)手話言語学をはじめとした手話、ろう文化を取り巻く学術的研究に携わる人材を養成する
(5)自治体や関係団体との協力を深め、それらとの協働の下で、大学を含む各種教育機関、地域社会での手話言語の理解促進、手話教育の発展に寄与する
(6)広く一般に向けて、手話言語やろう文化に関する知識を普及し、多文化社会の実現に寄与する

 以上は、本センターとしての遠大な夢であって、実際にそれを実現させるためには相当なエネルギーと時間が必要であることは間違いありません。それゆえに、その実現のためには多くのご支援が欠かせないと思っています。どうぞ今後とも、本センターについてのご理解を賜り、引き続きご支援、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

                         関西学院大学 手話言語研究センター 
                                 センター長 松岡克尚